天然のディフューザー

こんにちは、瑠璃唐です。
秋が来た！と思っていたら、結構寒いので驚いて
います。
この季節、夜は寒いのですがベランダの扉を開け
放します。そうすると、近くにたくさん植わって
いる金木犀の香りが、風に乗ってふんわりと部屋
に流れてくるのです。

あふれるように咲いた小さな花から立ち昇る、
まさに天然のディフューザーだなと思います。
少し甘くて懐かしいような、好きな香りです。

植物そのものから拡散した香りは、採取して
凝縮された精油の香りとはまた違います。
香りの強弱だけではなく、植物が生きる自然の力
そのものを感じます。

冬の終わりの沈丁花や梅、少し春を感じる頃の
辛夷や羽衣ジャスミンなど、いつも歩く道の生垣
やお庭に天然のディフューザーが在り、良い香り
を届けてくれます。

今では土のままの道や場所は減ってしまい、便利
良くなりましたが、前回お話しした緑の香りの
ように、身近な自然に触れることでいつのまにか
疲労が軽減されていたりするのであれば、木や草
や土も、もっと近くにあれば良いなと思います。

以前、こんなことがありました。

駅の側に倉庫が並んでいて、通ることの出来ない
閑散とした場所がありました。
そこに商業施設を作る為工事が始まったのです。
季節はちょうど今頃でした。

毎日駅まで通いながらその様子を見ていました。
驚いたのは数軒のお店の合間に、植栽スペースを
作り始めた時です。

全く何も無い場所だったところに土が入り、
樹木が植えられ少し経った夜、
虫の声が一斉に響きだしたのです！

いや驚くことではなく、それは生きる虫たちに
とって生息する領域を得たという、ごく当たり前
のことなのですが、いきなりのオーケストラに
感動してしまったのです。

普段自分が、如何に自然を絵のように捉えている
かと言うことを思い知り、自然とはこういうこと
なのだと痛感した出来事でした。

それからお店も綺麗に立ち並び、雑貨屋さんに
可愛いお人形やお菓子が飾られ、お花屋さんには
ミニかぼちゃをあしらったオレンジや赤のブーケ
が並んで、季節を楽しませてくれました。

普段目にする景色もそうですが、鳥や虫の声、
花の香りや空気の気配など、自然のものがそこに
あると五感が冴える思いがします。
それらはきっと、感じることで時間に彩りを添え
豊かなものにしてくれているのでしょう。