沈黙にたたずむ月
「饒舌よりも沈黙を…」
教室の中の
太陽にはなれなくて
本が友達だった
インフォーマルな時間
日の光にきらめく
教室の支配者達から
沈黙の理由を
幾度となく
問われた
空間を埋める
談笑の嵐
床の上に散らばる
黒い糸くず
幼き頃のmutism
過ぎ去りしあなたも
初対面のわたしに
グレーのラベルを
張り付けた
じめじめと
二項対立が
支配する
世の中
起業女子
ワーキングマザー
そういったものからは
どこか蚊帳の外で
天候は慢性的曇天
メーターの針は
左寄り
それでも
「話し言葉よりも
書き言葉を…」
保存中の
ドキュメントを
開くと
糸くずから
変貌を遂げた
文字達が
ずらりと並ぶ
そして
新たな
組み合わせを探し
紡ぎ始め
出来上がった
それに
酔いしれる
そのことばの連なりが
金剛石なのか
石ころなのかは
預かり知る所ではない
ただ
<こっち側>でなら
生きていける
そんな気がする
わたしは
わたしの色で
歩んでゆく
「太陽よりも月を…」
マットの上に立ち
部屋の窓から
夜の沈黙の中にたたずむ
月を見上げる
よろこびにしろ
かなしみにしろ
メーターは
右へとふれてゆく
いのちのエネルギー
満月に捧げる
チャンドラ・ナマスカーラ
よろこびにしろ
かなしみにしろ
メーターは
左へと戻ってゆく
手離すエネルギー
新月に捧げる
チャンドラ・ナマスカーラ
今なら肩を並べられそうな
かつての太陽の申し子達は
まだ輝きを放っているだろうか
天井や壁が
取り払われた今
同じ月ぞらのもと
祈りを捧げる
この月のめぐみが
そこらじゅうに
降り注ぎ
そして
めいめいの色で
輝きを放つように…
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