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詩【蜘蛛の糸】

私たちは
細い蜘蛛の糸に
しがみつき
必死に生きていた

少しでも疲れて
手を離したら
真っ逆さまに落ちて

ただ
それでおしまい

左手で
蜘蛛の糸を掴み
右手で
互いの手を強く握った

暗闇の中
心が恐怖に支配されても
互いの温もりだけを信じて
朝を待った

ほんの小さなすれ違いから
互いの手を離してしまう
そんな日が来るとは
思いもしないで

でもね

例え

私がいなくなったとしても

あなたが自ら
糸から手を
離すことはないと
信じていたのに

あなたがいなくなった今

私は
細い蜘蛛の糸に
両手でしがみつき
必死に生きている

残された人の
悲しみを
知ってしまったから

るりん❦

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