ダイソン軍曹

我が家にダイソン軍曹がやってきた。

正確にいうと、ダイソンの空気清浄機、ピュリファイヤー ビッグ+クワイェットだ。
その名の通り、ビッグでクワイェットなクールガイでダイソン史上最大で最強の空気清浄機である。

そもそも何故そんな強力な空気清浄機を購入したのかという点だが、話が長くなるのでここでは割愛、いつか気が向いたらその理由についてお話ししようと思う。（決して胡散臭い話ではない）

ダイソンピュリファイヤー ビッグ+クワイェット通称ダイソン軍曹（あくまで我が家の通称です）は、その名に恥じぬビッグサイズで多分みんなが想像する空気清浄機の2-3倍デカい。
ダイソン軍曹の凄いところはその大きなボディで約30畳くらいの空間は短時間で完璧に空気清浄する実力があるところだ。ちなみに我が家のリビングはそんなに広くないので宝の持ち腐れ感は否めないが、とにかく私は完璧で究極の空気清浄機が欲しかった。古今東西ありとあらゆる空気清浄機を訪ねて周り（訪ねてない）、私の求める理想の空気清浄機像にピッタリのダイソン軍曹にようやく出会う事が出来たのだ。
ダイソン軍曹キミに決めた！ダイソン軍曹ゲットだぜぇ！

我が家にダイソン軍曹が届いた時、大人2人がゆうに入りそうな巨大なダンボール箱が玄関に鎮座しており、さすがにビッグ過ぎて、あれ、これ失敗したかも…と若干憂鬱になった。
しかし、さすがダイソン、組み立てがとてもシンプルで、ダンボール開けたら2分で完成した。
単純なのでその達成感にさっきの憂鬱は忘れた。

しかし、デカい。大人1人分ぐらいの存在感がある。家電というより新たな同居人だ。
「今日からこの家の空気のことは私に任せろ、お前が空気を汚したら直ちに清浄化してやろう、そしてお前の家がどれほど汚れているのか24時間記録してレポートしてやろう、私を満足させられるようせいぜい励むことだ。」
そんな感じの事言ってそうな威圧的な外観。軍曹感。
うまくやってゆけるだろうか…。

このダイソン軍曹、何が凄いってスマホアプリで現在のリビングルームの空気の状態をリアルタイムで教えてくれるだけでなく、その感度も震えるほど鋭敏で、万がの一っちゃん、オナラの一つでもしようもんなら、空気質レベルがぐぐぐと汚いの方向へグラフが傾くのだ。軍曹は汚い空気を感知するや否や突風を吹かせ素早く汚れた空気を浄化するのだ。1匹残らず駆逐してやる！的な狂気を孕んだ強風で。


はじめはその仕事ぶりにただ凄いと感心していたものだが、私が料理をしたり、猫がトイレをする度に、聞こえてくるゴーー！という轟音。
あ、今ダイソン軍曹がお怒りだ…（汗）、静かな風が急激に爆風に変わる瞬間
「おい！空気が汚れているぞ！」と叱られてる感じがしてビクビクしちゃう自分がいる。

仕事中ダイソン軍曹から送られてくる自宅の空気質のレポートを眺めると、あ、今空気が一瞬悪くなってる、猫ちゃんがトイレしたな、軍曹お怒りだわ。
と職場にいながらも自宅の様子が分かるレベルでダイソン軍曹の仕事は徹底している。それでいて夜になると軍曹の通り名であるビッグ+クワイェットのクワイェットモードが発動し、あんなに神経質に豪風を吹かせてた鬼軍曹は突如静まり、星空の下で子供達に子守唄を歌う樫の木おじさんみたいな包容力を発揮するのだ。臭くたっていいじゃないか、さあ、みんな静かにお眠り…。

まさかの二面性にギャップ萌えするか、といえばそうでもないが、こんなダイソン軍曹をお迎えして我が家の生活に新たな緊張感が生まれていることは間違いない。
「軍曹、部屋の空気綺麗にしといてね」から始まったはずが、
「部屋の空気を汚したのは自分であります！申し訳ありません、以後善処します！」になっている。
ただ、私は清潔な空気を求めていただけなのに。気がつけば軍隊に入隊しているかの様ではないか。

ダイソン軍曹との同居生活はまだ始まったばかり。軍曹との今後が不安じゃないといえば嘘になる。
しかし、確実に我が家の空気は綺麗になっている。
もう後戻りは出来ない。
だってこれは私が始めた物語だろ？


〈続く…かもしれない〉