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娘と私の長い長い帰り道

一昨日、保育園から帰宅まで3時間もかかってしまった。

自宅から徒歩5分の保育園に通っているので、教室まで娘を迎えに行く時間も含めて、寄り道なしの抱っこで往復20分程度。いつも(最短)の9倍! 何があったか?

まだ外が明るい午後5時を過ぎた頃、ポケットにお財布とスマホを入れて、首から下げた保護者カードケースに鍵を入れて、いざお迎えへ。カードタイプの我が家の鍵は、ポケットだとお財布やスマホを出した時にぽろっと落ちてしまう可能性もあるし、抱っこ紐をつけているとポケットから取り出せないこともある(送りの際に保育園の登園バッグのポケットに入れたまま帰ってきたことも何度もあった)ので、カードケースに入れるのが無難だという結論に至った。が。

教室から私の顔を見た瞬間に、すべてのものをほっぽり出して、尻尾を振るように、手をブンブン振って、満面の笑みをたたえて全力で駆け出してくる我が子。その姿に笑みが溢れ、心が弾む。何年かぶりの再会を果たした遠距離恋愛中の恋人さながら、ぎゅーっと抱き合う。おかえり、大好きだよ、と心の中でつぶやきながら。お迎えに行く度に訪れる、1日のなかでもっとも昂る瞬間だ(これ、いつまで続くんだろう?どうか、続いて)。

保育園を出ると、週に1〜2回ほどいるパンのフードトラックを見つけた娘は「パン!パン!パン!」と一目散に駆け出していく。こうなると止められないので、大好きなぶどうパンを購入。今朝、実家自家製味噌を切らしたことを思い出し、近所の商店で味噌を吟味して買って、「パン!パン!」とせがむ娘を「家に帰って手を洗ってからね」と制して、帰路につく。

ところが! カードケースの中に鍵がない! ポケット、鞄の中身を全部出してみても、ない。え、落とした? まさか。家に入れない。途方に暮れて、とりあえず、呆然と、ぶどうパンを解禁して、娘の腹ごしらえを。

道路を隈なく見渡しながら来た道を辿り、商店と保育園に戻り、レジのおっちゃんと先生が一緒に探してくれたけれど、ない。鍵をかけずに出てきた? 自分の記憶を疑い、もう一度自宅へ戻るも、しっかり鍵はかかっている。ない!!また、やってしまった(鍵を落とすの2回目)。

仕方がないので、夫へ電話して、会社まで取りに行くことに。一縷の望みをかけて、再度来た道を戻り、商店のおっちゃんに電話番号を託し、念のため警察で届けを出して、駅の忘れ物相談室にも問い合わせて。

着替えが足りずに保育園で借りたピンクの水玉のシャツ(背中に割と大きくマジックで○保の文字入り)に、ピンクのボーダーズボン、薄ピンクの靴下。ピンクが好きなわけではないのに、なぜか全身ピンク、ペーパー子スタイルの娘は、「パパー!あいいくー」(パパに会いに行く)と甲高い声で叫んでる。対する私は(特に取材や打ち合わせがなく自宅作業だったため)すっぴん眼鏡、家着用のワンピースにスニーカー、抱っこ紐もベビーカーもなく、10kgを超えた娘を抱っこして、鞄には500gの味噌!とほほ、な気分。

20分弱電車に乗って、夫の会社へ。パパではなく、後輩のあおいちゃんがビルの下まで鍵を届けてくれた。久しぶりにあおいちゃんに会えて、牛乳ヒゲつき鼻垂れパー子を「かわいい〜」と連呼してくれて、それだけでここまで来た甲斐があった! 報われた。いや、違う。鍵よ、鍵! まだ私たち、帰宅途中なんだった。

無事夫の鍵をゲットして、帰りのホームに着いたところで、商店のおっちゃんから「鍵があったよー」という電話が! ほっと胸を撫で下ろすも束の間、娘、踏ん張ってる!! 替えのオムツ、持ってないよー!しかも、乗り込むのは、帰宅ラッシュの満員電車! ぎゃー。明らかに臭う。どうか、これ以上押し込めないで。あわわ、もう、ごめんなさい(合掌)。

なんとか駅について、今にもうんちがはみ出そうなオムツを替えにすぐにでも帰りたい気持ちを抑えて、本日3回目の商店へ。「ありがとうございます!」と笑顔で受け取った鍵は、なんと、我が家のではない!(誰かの自転車の鍵っぽいよ!おっちゃん!カードタイプって絵まで描いたけどな!笑)

我が家の鍵は一体何処へ? 神隠しにあったような気分だけれど、ただの私の失態です、はい。落とし忘れ失くし癖が母になって一層勢いを増している…!うーむ。

うっかり母に長時間も付き合わされているというのに、娘は商店からの帰り道、何かが弾けたように、ケラケラ爆笑して千鳥足で駆けていた(たまに舞い降りる酔っぱらいモード)。状況的には、笑えない。けど、もう笑うしかない。ということで、私も一緒に笑いながら娘を追いかけた。ちょっと奇妙な娘と私の笑い声が静かな住宅街に響き、暗闇に溶けていく。そんなこんなで家に着く頃には、なんだか楽しい気分になっているから、あら不思議。笑うって、いいね!イエス、単純!

と、結局鍵は見つからないまま、私と娘が帰宅したのは、とっぷり日が暮れた午後8時過ぎ。長い長い帰り道。お疲れ!! ごはんを食べて、お風呂に入って、ギリギリまでテンションが高かった娘は、操り糸が切れた人形みたいにぱたっと眠りに落ちた。私もバタンキュー。いつもより遅い朝までぐっすり眠り、わりと爽やかに朝が明けた。

はっ! 勢いでここまで書いてしまったけれど、特になんのオチもない。夫に妻がその日あったことをただ延々としゃべりたいだけ、のようなテンションだ。消す? いや、こんな、誰の役に立たない、ただ鍵をなくしただけのとりとめのない話を書けるのがnoteのいいところ。noteの懐の深さを私は知っている(←あんた、誰?)。鍵はいまだに見つからず、なんの解決にもなっていないけど、noteを書いたらスッキリした! noteよ、ありがとう。

写真は、週末に気の置けない友人と代々木公園でビールとサンドウィッチを買い込んでピクニックをした時のもの。ちょうど1歳違いの娘たちがシャボン玉をして、手をつないで、ぎゅっとして、最高にかわいかった。

子育てをしていると、やわらかな愛に心が満たされる瞬間もあれば、白目をむきたくなるほど途方に暮れることもある。我慢を知らない娘は感情を爆発させて、天使になったり怪獣になったり(に伴い私も聖母になったり、鬼になったり?)。そんなジェットコースターのように揺れ動く感情が彩る日々がなんだかんだ愛おしい。あっという間に過ぎていく慌ただしい日々の中で、記憶からこぼれ落ちてしまいそうな、幼い娘と過ごすなんでもない愛おしい日々の記録をnoteに残していけたらいいな。誰の役にも立たないかもしれないけれど。いつかの自分のために。

読んでくださりありがとうございます。とても嬉しいです。スキのお礼に出てくるのは、私の好きなおやつです。