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いやだ、かぶってるもん【ショートショート】
何か頭にかぶらないと、外に出られない法律ができました。
ご機嫌ネコのえぴは、いつも帽子をかぶっていました。
お気に入りの帽子をいくつか持っていて、それを交代でかぶっていました。
ある日は、灰色の帽子。
また別の日は、黒い帽子をかぶっていました。
街中には、帽子以外の色んなものを、かぶっているネコがいました。
コックネコのルリッペは、コック帽をかぶり、看護師ネコのルリニャ―は、ナースキャップをかぶっていました。
「おや、あいつは何もかぶっていないぞ。見つかったら、警察に捕まるぞ」
「シー、おい、よく見てみろよ、ちゃんと、カツラをかぶっている」
一見、何もかぶっていないように見えるネコも、ちゃんとかぶっていました。
「あれ、今度こそ、カツラもかぶってなさそうなネコが歩いているぞ」
と街中のネコたちが、ざわついていました。
そこへ、警察ネコのパトニャーが、やって来ました。
「ピピーッ、こらこら、何かかぶりなさい」
「いやだ、もうかぶってるもん」
「かぶってないじゃないか」
「いいや、かぶってるもん」
「かぶってない、いいかげんに本性を現せ」
「いやだ、かぶってるもん」
しばらくの間、何度も押し問答をしているうちに、ようやくパトニャーが気づきました。
「はは~ん、そっか、おまえは、ネコかぶりだな」
(了)
お題:「ねこ」「帽子」
今回の企画はこちらです。
えぴさん、楽しい企画をありがとう。
初企画、たくさん作品が集まるといいですね。
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