見出し画像

なにものでも、ないということ。

もう、後半に入った紅白歌合戦をぼんやり眺めながら、この文章を書いています。「お願いします」と「申し訳ないです」を繰り返して、ひたすらに頭を下げていた、2024年。

ふりかえりを書こうにも、色々なことが、テーブルの上の有線イヤホンみたいにぐちゃぐちゃに絡まってしまっている。

高校を卒業して、大学に落ちて、浪人を決めて、起業した。

昼間は予備校に行って、土日や、帰ってから会社のことをやる毎日。過去ないくらいに睡眠時間も削って、体調を壊しかけたこともあった。
自分の感情とは裏腹に、失敗だらけで、うまくいかないことだらけで、

Instagramをひらけば、山ほどのロールモデルがあって、
成功した同世代の姿があって、
上には上がいて、
自分よりよっぽど恵まれた環境にいる人たちもいて、
言い訳だけは、やらなきゃいけないことより、よっぽどたくさん思いついて、

そんな中で、自分が頑張る理由は何か、自問する毎日でした。

いっそ、一般人になれたら、
普通の大学に行って、普通に就職して、そこそこ稼いで満足できる、
そういう人生だったら、楽だったのかなぁと、考えたこともありました。

もう一度、やり直せるとしても、二度と戻りたくない1年ではあったけど、
「浪人生」という、社会的に曖昧な存在になったことで、

あらためて、なぜ自分がここにいるのか、
自分がどうしたいのか、を考えるきっかけになった1年だった。

「名前をつける」と言う行為はまるで、ケーキを切り分ける作業のようなもの、と言うような文章が国語の教科書にあったけれど、全くその通りだと思う。

「大学生」「起業家」「留学中」「インターン」帰属意識の強い日本で、それは特に顕著だ。「あなたは何者なの?」「何をしているの?」といった問いへの明確な答えが、どこに行っても求められるし、そうしたカテゴリーを名乗る上では、多かれ少なかれ、明確なステレオタイプであることが、要求されがちだなぁと思う。

何者かわからない目の前の「誰か」を自分にとっての距離感で識別する。

2023 年の自分は、そして2024年のはじめの自分は、止まれなくなっていた。坂道を一度転がり出したボールが、自力では止まれないように、走り出してしまったから、自力では、立ち止まれなくなっていた。

もともと、「ふつう」であることが嫌で、自分が、これと言って得意なことがないのが嫌で、得意だと思いたいことでは、何一つ実績を残せていないことが嫌で、「なにもの」でもないことが、ただひたすらに怖かった。(実際、ビジコンでも、写真でも、文章でも、参加賞以上の賞に引っかかったことがない。)

失敗して、失敗して、失敗して。

自分が得意だと思っていたことは、大したことがないのだと、目の前に突きつけられ続けて、要は、「お前は無能だ」という事実と向き合い続けて、そんな中で、2024年、もらった言葉たちを反芻して、気付いた。「なにもの」かになろうとすること自体が間違いなのかもしれない。

「わざわざ、起業なんてしなくてもいいのに、自分から苦しい道に足を突っ込むなんて、物好きだね。ようこそ、こちら側へ。」

「1回、何もかもうまくいかなくなってからがスタートだよ」

「スタートアップは失敗する奴が悪いんじゃない。失敗するビジネスに出資する人間が悪い」

なにものでもいいじゃん、って。そもそもスタートアップってそんなもんじゃん。社会的にはまだ価値のないものに、価値づけをしていく。

だから、すでにあるカテゴリーを当てはめようとする必要なんかなくて、何者かわからない、自分の生き方を通じて、新しい名前をつくる最中なんだとふと思った。

もちろん、何をどうすればいいかなんて、未だにわからないし、
もう一度同じ人生が歩めるとしても、自分は決して選ばないと思う。

不安定な生き方に不安を感じることも、もちろんあるけれど、それはそれで、突っ込んでしまった足をどうすることもできないんだから、楽しんでみたいなぁと思っている。

年の瀬にして、こうやって、2024年を振り返ってみて、自分の世界はまだまだ狭くて、知識も、実力も、経験も何もかも足りていないけれど、井の中の蛙だって、時々、空の青さが嫌になったっていいんだなぁ、とそんなことを思った。

うまくいかないなら、もう一度やればいい。
なにか違うと思ったならやめてしまえばいい。
惨めでも、地味でも、醜くても、ひたすらあがけばいい。

ということを、実感した1年でした。
だから、すごい、精神的に余裕ができた。これまで以上に。
うまくいかないことを、心から笑えるようになった。

今年1年を通じて唯一、この切り替えだけは、自分だけの強さだといえるので、これからもこのマインドだけ全開で走って行こうかなと。

要するに、2025年はもっと自由に生きてみようかなと思います。

支えてくださった皆さん、出会ってくれたみなさんに感謝を。
来年も何卒よろしくお願いいたします。

取り止めのない、振り返りになってしまったけれど、こんなところで。2024年末、あと2時間で、2025年だねぇと言う話をしながら。

大澤瑠真

いいなと思ったら応援しよう!