令和6年度の診療報酬改定から、今まで外来患者の主な医療点数であった慢性疾患管理料から生活習慣病管理指導料に移行することになりました。
この生活習慣病管理指導料というのは、高血圧、糖尿病、脂質異常症に算定でき、当診療所では外来患者の8割程度が生活習慣病管理指導料に移行していく予定です。
生活習慣病管理計画書を患者ごとに作成して、4ヶ月に1度のペースで発行することが必要となりました。
多職種連携での指導を推奨していますが、当診療所では看護師の手も足りないので、医師が計画書を診察室の中で作ることになってしまいました。
計画書を作る大変さ
私の心の声です。聞き流してください。
この計画書を作る大変さよ・・・複写用紙作ったりしているところもあり医療DXに逆行する医療機関もありそう。慢性疾患外来半日で20-30人来るのに、一人一人に計画書を発行するってあなた、普段それぞれの患者に合わせて説明するのだけでも時間足りないのに、むしろ外来の質下がるよ〜〜!計画書を作ったことで患者の疾患管理の質あがるとかエビデンスあるんですか!?
ぼやいていても仕方がないので、
今回の診療報酬改定が決まった流れを確認してみた。
そもそも、診療報酬改定はどう行われているのか?
2年に1度改定されています。(2年前はそこまで意識が行っていなかったな反省。)
ふむふむ、基本方針に則って、中医協で審議されるんだね。
今年の基本方針を見てみよう。
生活習慣病、外来診療に関わるところだけ見繕ってみました。
質が大切であることは医師であれば皆同意するところですよね。
中央社会保険医療協議会(中医協)というのは、支払側の代表、診療側委員の代表で決められている。
なるほど、診療側はむしろ再診料を上げてほしいと言っているのに、支払側の意見が大きく取り上げられている改定だということはわかった。
まあ、診療報酬改定全体のバランスがあるだろうし、どこを診療側に譲ってどこを支払側に譲るなどの交渉があるだろうと推測はされるし、この問題単体の問題ではないだろうが・・・
もうちょっと詳しい資料が出てきた。
以下からの引用です。
https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/001176510.pdf
うーん?生活習慣病管理指導料をとるって、計画書を策定するだけのことだけど・・・その管理は果たして本当に専門的なのか?
かかりつけ医機能は地域包括診療料で評価できるのか?うちのグループ病院の家庭医診療所みんなとってないけど・・・
一つの準拠として、医療法の改定により、策定と説明が義務付けられたよう。入院診療計画書は現時点で形骸化している(必要な書類だから作成しているのであって、特に意味があるものではないと臨床医は皆判断しているのでは?)のと同じように、生活習慣病管理計画書も形骸化するのでは・・・?むしろ今からその予感しかしていない・・・。(事前に用意しておいて渡すフローをXで観測した)そこに質はあるのか・・・?
おっ、エビデンスのページだ・・!
こんなことは医師ならば皆知っているし、外来で指導もしているでしょう。そもそも栄養・運動指導が外来の中でなされていないということを前提に作られており、それを質の担保と見なしているということでしょうか??
外来の中で行動変容へのアプローチを凝らした対話をしても実際に行動を変えるのは難しいのに。それを紙切れ1枚計画書を渡したら解決するとは到底思えないし、むしろ計画書作成のための時間により、患者さんとの対話に割けなくなるのでかえって質は下がるのではないか危惧します。
計画書作成して渡すときに、行動変容を起こせるような説明の仕方になるように努力してみる。
なんとか自分の中で腹落ちさせて、日常診療の質を上げる説明に変換できるよう取り組んでみる。(時間足りないけど・・・)
思いつくのは、
・行動変容のどの時期にいるのかの評価
どの時期にいるかを評価して、それに合わせた声掛け、説明の仕方を心がける。
無関心期から進まない人も一定数おり、その方々に対して管理計画書で殴りつけて治療中断は一番避けたい。
一番この時期で計画書が使えそうなのが、準備期→実行期。署名して宣言してもらうことは実行に有用。
・患者のヘルスリテラシー教育
説明したことをどのように患者個人が理解しているのかの確認、Ask Me 3の形での再確認。
・動機付け面接
https://www.jahbs.info/TB2017/TB2017_1_6_all.pdf
面接者の正したい反射を抑え、両価性を理解し、チェンジトークを引き出すような質問をする。(計画書は面接者の正したい反射を増強しそうなので注意)
これらをうまく組み合わせつつ、計画書発行しつつ、やってみてかなあ・・・
こういうのって、実際に質が上がったかって評価されるんだろうか。できないよね。ぼやきでした。