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第5回 歴史資料の扱い方・地域づくりへの活かし方
2012.09.06
板垣貴志・坂江渉
神戸大学大学院人文学研究科
概要
史料の扱いに関する基本的な作法を学んだ上で、歴史資料を活かした地域づくりにはどのようなものがあるのか、大学生をも含む様々な立場の人々とともに考えました。
今回は、
神戸大学文学部が主催する古文書合宿in篠山に参加している学生も含め、
学生39名、教員9名、一般22名、スタッフ6名の合計76名で
セミナーをおこないました。
これまでとは趣向を変えて、
合宿で編成された学生班に地域からの参加者が加わり、
班毎にテーブルに分かれ討論する形式で進めました
歴史資料も含めた地域歴史遺産は
地域社会の人々の結びつきを強める重要なものであるが、
近年コミュニティの崩壊等により急速に地域から失われつつあります。
そういった背景から、
歴史資料の継承保存を行いながら地域づくりへと活かしている事例
もあるようです。
この点についてまず坂江さんに話題提供していただきました。
次に、
板垣さんから、身近にたくさん残っている歴史資料の調査方法と、
篠山市で現在採用されている調査手法について紹介していただきました。
最後に、
「膨大に眠る地域の歴史資料をまちづくりに活かす方法はないのか、
その可能性を考えてみたい」
と会場に問いかけて班ごとのディスカッションがスタートしました。
篠山にちなんだお茶とお菓子をいただきつつ、
意見を書きとめ、整理をおこないました。
話しあった内容を、
『知識・経験・印象に残ったこと』
『もっと知りたい・疑問・考えたこと』
『アイデア・やってみたいこと』
の3つのカテゴリーに分け、各班の意見を紹介してもらいました。
各班から出た主な意見は…
【知識・経験・印象に残ったこと】
・敷居が高いイメージ
・以外と多くの地域で歴史資料を活かした活動がある
・大学に資料持っていかれるイメージがある
・祖先に不都合な情報があるかもしれないので公開したくない
・古文書の印象は強いが読めない難しい
・世代交代・家の建て替えで失われる資料の多さへの共感
【もっと知りたい・疑問・考えたこと】
・人材は足りているのか(古文書の読解能力など)
・どの程度勉強すれば、古文書の解読ができるようになるのか
・地域住民の関わり方が難しいのでは?素人作業による破損の可能
性など
・中西家の古文書の活用方法、公開予定などはあるか?
・新旧住民の意識の差をどうするか。やる気のある新住民がいて
も、よそ者扱いされるなど
【アイデア・やってみたいこと】
・地理学など他分野と連携する
・GISの活用
・紹介文や看板を立てる等遺産について地域全体で共有する
・デジタルアーカイブ化する
・古文書に乗っていた料理を再現するなどしてビジネスに活かす
・小学校の授業と連携する
・地域で古文書を保存整理出来る人材を育成する
・解読だけでなく、全ての行程にてついて地域の人にやってもらう
などでした。
会場では、
玉置さん(神戸大学人文学研究科修士課程)による
古文書の新しい記録手法の実演が行われました。
滅多に見られない機会ということで、
多くの参加者が実演を興味深く見学していました。
時間の都合もあり、
会場から出た意見に対して深い議論までは到達できませんでしたが、
活発に意見交換がなされていました。
普通はあまり日の目をみない古文書が、
地域づくりのツールとして今後活かされるような展開を期待しながら、
セミナーは終了しました。