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「私がフードレスキューと出会った日——世界4カ国12のフードバンクを巡って」
私が2018年から食品ロス削減と食料支援をおこなっていることは、先述した。この活動を深め、この分野から日本を変えようとの決意で、岡山大学大学院にて公共政策の観点からこの分野を研究している。その中で1つ、確かな違いを見つけた。そしてそれは私の経験と重なり合い、1つの確信を得ている。
フードレスキューである。
アメリカでは、「フードレスキュー」が「フードバンク」と並ぶ重要な役割を担うものとして認識され、国の報告書にも明記されている。しかし、日本ではまだその認識が広まっていない。もちろん国のウェブサイトなどで明記されてはいない。私はココを変えなければならないと考えている。
私が 「フードレスキュー」 という概念に出会ったのは、2020年の1月から2月にかけてのことだった。
その頃、私は日本の食品ロス削減と食料支援の可能性を探るため、世界4カ国、12のフードバンクを巡る旅 に出ていた。
そこで出会ったのは、国ごとに異なる「食品を活かす」ための仕組み だった。
そして、それぞれの考え方が、今の私の活動の原点になっている。
イギリス——「コミュニティフリッジ」に出会う
ロンドンやスコットランドの街を歩いていると、あるカフェの片隅に 「Community Fridge」(コミュニティフリッジ)と書かれた冷蔵庫が置かれていた。
店の人に聞くと、それは地域の誰でも自由に食品を持ち寄り、必要な人が持ち帰ることができる「共有の冷蔵庫」だという。
食品ロスを減らすだけでなく、地域のつながりを生み出し、人々が助け合う場にもなっていた。
「食べ物を無駄にしないために、地域でシェアする」
このシンプルな考え方に、私は強く共感した。
ドイツ——「フードシェアリング」の仕組み
ドイツでは 「Food Sharing」(フードシェアリング)というシステムが根付いていた。
レストランやスーパー、パン屋で余った食品を、ボランティアがすぐに回収し、地域の人々へ分配する仕組みだ。
印象的だったのは、食品をただ「寄付する」「受け取る」のではなく、
「食べ物をシェアする」という考え方が根底にあったこと。
「助ける側」と「助けられる側」という線引きがなく、みんなが対等に、食を分かち合う。
それは、私が日本で考えていた「支援」とは、少し違う形だった。
オーストラリア——「フードレスキュー」の概念を知る
そして、オーストラリアで出会ったのが、「フードレスキュー」 という考え方だった。
OzHarvest(オズハーベスト) という団体が、レストランやホテル、食品メーカーから、まだ食べられるのに廃棄される食品をレスキューし、
すぐに福祉施設や食を必要とする人々へ届ける活動をしていた。
ポイントは、「倉庫に保管しない」「スピードを重視する」 という仕組みだった。
例えば、ホテルで余った朝食用のパンやサラダが、昼には困っている人々の食卓に届く。
スーパーの規格外野菜が、その日のうちに子ども食堂に届けられる。
倉庫で管理する時間がなくても、スピーディーに届けることで食品ロスを削減し、より多くの人に「新鮮な食材」を届けることができる。
この瞬間、私は確信した。
「この仕組みこそ、日本に必要なものだ。」
この出会いが、私の活動の原点になった
2020年のこの旅が、私の人生を変えた。
イギリスの「コミュニティフリッジ」、
ドイツの「フードシェアリング」、
オーストラリアの「フードレスキュー」。
それぞれの国で、食品ロス削減と食の支援が、地域とつながりながら進められていた。
私は日本に帰り、この経験を活かした活動を始めた。
それが 「ジャパンハーベスト」 という、倉庫を持たないフードバンクの仕組みだ。
「フードレスキューの視点を、日本の常識にしたい」
日本には 275のフードバンク がある。
しかし、ほとんどが常温保存できる食品を扱い、倉庫に保管してから支援先へ届ける仕組みだ。
📌 冷蔵食品を扱うフードバンク → 全国の約50%
📌 回収後すぐに食品を配布するフードバンク → 約30%
📌 焼きたてのパンや惣菜を扱うフードバンク → わずか3%
私たちジャパンハーベストは、これらすべてを実施している数少ない団体だ。
倉庫を持たず、レスキューした食品をその日のうちに支援先へ届ける。
「フードバンク」ではなく、
「フードレスキュー」として、日本の食品ロス削減の仕組みを変えたい。
私は、この国を変えたい。
私が出会った 「フードレスキュー」 という概念を、
日本のスタンダードにしたい。
それは、食品ロスを減らすだけでなく、
「食を分かち合う社会」を作ることでもある。
イギリス、ドイツ、オーストラリアで学んだ考え方を、日本の未来に活かしたい。
私は、この活動を通じて、日本を変えていく。
🍽 皆さん、一緒にこの輪を広げませんか?
食を通じて人と人をつなぎ、支え合い、笑顔があふれる社会へ!
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