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「明日が10億円以上の価値がある」とは本当か?

「もし私があなたに10億円をあげる」と言ったら、「もらう」と答えるでしょう。
しかし、「10億円をもらう代わりに明日起きられないとしたら?」と聞くと、多くの人は「もらわない」と答えるでしょう。

このことから、「明日には10億円以上の価値がある」と結論づける考え方があります。

動画はこちら

私もとても好きなお話で、明日を生きる希望や自分の価値を再認識させてくれるお話でもあります。

しかし、直感的には納得できても、この論理には違和感を感じませんか?

なぜ「明日起きられないなら10億円を選ばない」という判断が、
「明日は10億円以上の価値がある」ことを証明することになるのか?
そして、他のものと比較するとどうなるのか?

この疑問を紐解いていきます。

1. このロジックの違和感とは?

一見納得できるこの考え方ですが、よく考えると論理的に飛躍があります。
「10億円 vs. 明日生きる」という選択肢で「明日生きる」を選んだとしても、それが「明日が10億円以上の価値を持つ」ことの証明にはならないからです。

なぜなら、この選択肢ではお金の価値を比べているのではなく、生きるか死ぬかの問題になっているためです。
人間は生存本能を持っており、どれほどの対価を積まれても「死ぬ選択」を避ける傾向があります。
つまり、「10億円と明日」を天秤にかけているのではなく、単に「生きることの方が重要だから選ぶ」という結果になっているのです。

しかし、この話を聞いた多くの人は「明日は10億円以上の価値がある」と直感的に納得してしまいます。
なぜなのでしょうか?

2. なぜ「明日は10億円以上の価値がある」と納得してしまうのか?

この考え方に納得する理由の一つは、「失う恐怖」 にあります。
普段、私たちは「明日が来ること」を当然のものと考えています。
しかし、「明日が確実に来ない」と言われると、急にその価値を強く意識し始めます。

具体的な例:

  • もし医者に「余命1日」と宣告されたら?
    → どれだけのお金を払ってでも、もう1日生きたいと思うかもしれない。

  • もし飛行機が墜落しそうになったら?
    → 10億円どころかお金以外の全財産を持っていたとしても捨てても助かりたいと思うかもしれない。

このように、私たちは普段「明日」の価値を意識していませんが、「確実に失う」となった瞬間、それが計り知れない価値を持つものだと気づくのです。

しかし、この論理を突き詰めると、10億円以上の価値があるものと比較したときに矛盾が生じます。

3. 他のものと比較するとどうなるか?

「10億円 vs. 明日」ではなく、他のものと比較してみると、このロジックが持つ矛盾がより明確になります。

①「100億円 vs. 明日」

  • もし「100億円をもらう代わりに明日起きられない」としたら、ほとんどの人が「もらわない」と答えるでしょう。

  • では、「明日は100億円以上の価値がある」と言えるのでしょうか?

②「フェラーリ vs. 明日」

  • 「フェラーリをもらう代わりに明日起きられない」としたら、誰も選ばないでしょう。

  • では、「明日はフェラーリ以上の価値がある」と言えるのでしょうか?

③「Tシャツ vs. 明日」

  • 「Tシャツをもらう代わりに明日起きられない」としたら、当然「もらわない」と答えます。

  • では、「明日はTシャツ以上の価値がある」と言えるのでしょうか?

こうして比較対象を変えてみると、どんなものと比較しても「明日」を選ぶことになります。
この結果、仮に「Tシャツ vs. 明日」でも「明日」を選ぶなら、「明日はTシャツ以上の価値がある」となってしまいます。
これでは、明日が何と比べても価値があることになり、結局「明日の価値を測る」ことが難しい ことがわかります。

4. なぜ「明日」と他のものを比較するのが難しいのか?

このように、どんなものと比べても「明日」を選ぶため、
結局「明日は10億円以上の価値がある」と言っても、それを厳密に証明することができません。

その理由は、「明日」という概念が、他のものとは比較不可能な存在だからです。

  1. 明日は「お金」や「モノ」と違って代替できない

    • 10億円は交換可能だが、「明日」は交換できない。

    • お金は後から得ることができるが、「明日を失う」ことは不可逆的

  2. 「生きること」は主観的な価値を持つ

    • 価値の感じ方は人それぞれ異なる。

    • 10億円を選ぶ人もいれば、何百億円でも明日を選ぶ人もいる。

  3. 「明日がない」と言われると、生存本能が優先される

    • 私たちは「お金 vs. 明日」ではなく、「生きるか死ぬか」を無意識に考えている。

    • そのため、どんなに大金を提示されても、生存本能によって「明日」を選んでしまう。

5. 結論:「明日の価値は人によって違うが、多くの人は『生きること』にお金以上の価値を感じる」

こうした論理を整理すると、「明日は10億円以上の価値がある」という結論には慎重になるべきですが、
「多くの人は『生きること』に対して、お金以上の価値を感じる」ということは確か だと言えます。

☑ 「明日の価値は人によって違う」
☑「どんなにお金があっても、生きる時間を最優先する人が多い」
☑ 「だからこそ、明日が来ること自体に価値を感じるべき」

つまり、「明日は10億円以上の価値がある」と結論づけるのではなく、「明日があることの価値を改めて考えよう」というメッセージの方が適切 なのかもしれません。

「明日はただの1日ではなく、計り知れない価値を持つ」
だからこそ、その価値をどう使うかが大切なのです。

結論としては、明日の自分とその時間は過去からの延長線の続きとしてではなく、いま手にしている一見掛け替えのないものや自分で変えられないことという認識をもう一度見直すこと。

明日の自分とその時間は計り知れない価値にできると認識し、どう使うか、という視点をこの短い動画では問題提起してくれているから心に響くんだろうな、と思います。

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では、また次回!

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