和書で既読の小説を洋書で読む 〜 洋書ステップアップ(4)
前回の記事では、自分の英語力と興味が持てる内容がマッチしづらく、書籍選びがしんどいよ、というお話を書きました。で、このままでは洋書の読書をやめかねないということで、「なんとかせねばなるまい」と考えました。
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こんにちは!
この記事は洋書経験ゼロから習慣的に楽しめるようになるまでの回想録を書いています。マガジンでまとめてありますので、他の記事へは、そちらから辿れます。
(1)準備段階(疑心暗鬼。私に英語で小説が読めるのか?)
(2)初めての洋書(よろしくお願いします)
(3)ページ数を増やす(本らしい厚さに挑む)
(4)和書で既読の小説を洋書で読む(苦肉の策です) ◀︎ ここです
(5)映画本に挑戦(背伸びしてみた)
(6)Kindleとヤングアダルト(身の丈にあったものを読む)
(7)実用書を試す(気分転換)
(8)映画本、再び(楽しいぞ!)
和書で既読の小説を洋書で読む
書籍の英語レベルを上げれば選択肢の幅は広がります。それは同時にレベル上げてはたして自分が読めるのだろうか? と不安にさせます。でも選択肢を増やすためには避けて通れないのでは? とも思いました。
どこからか「自分の英語力のレベルアップが先! それが本筋でしょうが」みたいな声が聞こえてきそうです。
それができれば苦労はないのじゃ...
では、書籍の英語レベルは上げるが多少の下駄を履かせてもらおう!
和書で既読済みの小説の英訳本はどうでしょう? 日本語で読んだことがあるストーリーなら、英語のレベルが多少上がっても理解しやすいのではないか?
そして、できることならその既読済みの小説は原作が英語でないもの。あくまでもオリジナルは日本語で、それが英語翻訳された本です。
英語から日本語へ翻訳された本はすでにたくさん読んでいます。それら日本語の文章には翻訳本ならではの独特の雰囲気がありませんか? では、その逆ってどんな感じなんでしょうかね? がぜん興味がわきます!
(違いを感じるとは思えないけど :-p)
そして見つけ選んだ英語翻訳本
それはまさかの本でした。こんな本が出版されていたのかと驚きました。
表紙のイラストを見た瞬間に原作本を予想できた方、いらっしゃると思います。日本では老若男女、幅広く支持されているファンタジーです。
そう!「十二国記」です。
私はファンタジーは苦手なので読みませんが「十二国記」は例外です。
実際これはファンタジーカテゴリーなんでしょうかね? しかも最初、このシリーズはライトノベルに分類されていたそうです。随分重いライトノベルです。
18年ぶりに発刊されたシリーズ4巻、あれを喜んで読んでる人は絶対に読書慣れしてますよね! (^^)
この英語本、日本では販売されていないし、講談社も案内など告知もされていません(今の版権は新潮社ですが、この当時は講談社)。しかし決して海賊版ではございません。アメリカの小資本の出版社からのようです。山田章博さんのイラストもしっかり掲載されています。
Amazon US から購入しました。英語のレベルはヤングアダルト扱いなので多分高校生なら読めるレベルでしょう。辞書はほとんど必要ないかと思います。
「十二国記 〜 月の影 影の海」でお気に入りのシーンがあります。
慶国に来たばかりの陽子はひ弱でした。どうしようもなく弱々しい女子高生そのものでした。それがいつしか血まみれの戦いに慣れ、肉体的にも精神的にも完全に陽子は変わってしまったんだと気づかされ、驚嘆したシーンです。
初めてここを読んだ時、戦慄しました。特に3行め。私にとってはもっとも印象的な一行です。
ー 獣だ。
ー 私は、間違いなく妖魔だ。
だから、敵に出会って、これほど嬉しい。
この文章がどう英訳されているか、とても楽しみでした。
そして、読んだ感想は、
「あー、絶対に僕にはこんな英作文できないな」... でした。
そうそう、これ読んでいた頃、英語で日記ブログを書いていたのです。
文句なく楽しめました
既刊の4巻、タップリ楽しめました。書籍の英語レベルが上がっても止む無し、と覚悟して購入しましたが、かえってちょうど良いレベルでした。英語学習者のリーディングに最適です。
正直、高校の先生方は生徒に紹介したら良いのではないかと思うぐらいです。生徒たちの食いつきが半端ないと思う。
しかし、紙の本の弱点が!
さて、この本はハードカバーでした。さぞかし品質の良い紙で印刷され、変色の危険性も少ないのだろうと期待していたのですが...
見事に変色しております。特に「風の万里 黎明の空」(左から二番め)は激しいです。あまりの酷さに他の本も変色してしまうのではないかと想像してしまいます。冷静に紙を見るとヤバいです。
変色が激しいと綺麗にスキャンもできなくなってしまいます。今のうちなら美しい紙面で残しておきそう。悲しいですが PDF への自炊を泣く泣く敢行いたしました。写真は断裁された本たちです。断裁された本はいつもは廃棄していたのですが「十二国記」だけはこうして残しております。