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「不都合な記憶」理想的なアンドロイドを作ろうとする恋物語であり、恋とは何かという命題に挑むSF

Amazonプライムで今日から配信になっている作品。こういうのも映画と呼ばれるものにに入れてもいい気はする。映画館で見ることが絶対の時代ではないし、それなりに金をかけ、有料媒体に出ている作品ということでは、映画と同じだろう。

そして、監督は、石川慶。以前に「Arc」という不老不死の身体を持つ話があったが、これも似たようなSF。一度失った女のコピーのアンドロイドを作り、宇宙で生活する男(伊藤英明)が、その女の記憶を移植する際に、常に、消すところを要求して、自分のためだけの彼女(新木優子)を作ろうとする話。そして、自分に合わないものは破壊して捨てていくのだが、開発者は壊れたものを皆残しておいて、最後には多くの新木優子が、伊藤と対峙し、彼を否定するという話。

ここで出てくる「宇宙」がリアルなのか、バーチャルかなのかもよくわからない。このまま、世の中がAIなどの技術によりかかっていけば、こんな感じに、自分の生きるところを設定し、そこで生き続ける的なことが起こるのだろう。そして、バーチャル空間の宇宙があれば、それはそれでさまざまなデザインができるということ。

で、男役の伊藤英明。私生活的にも最近はあまりいいように書かれることが少ないが、そういういらないことを思い出すような、女々しく、すぐ感情的になる男。まあ、ある意味、似合ってるのだろう。そして、アンドロイドの新木とSEXをするのか?というシーンがあるが、結果できないのは、彼女がアンドロイドだからか?

こういう人口皮膚のアンドロイドの話で思い浮かんだのは、この間、事業終了のニュースがあった、ラブドールの「オリエント工業」。あの技術を引き継ぐ人はいるのだろうか?ロボットがビジネスになるだろうこれからには、とても需要な技術だ。ただ、いわゆる擬似性器の開発はまだまだ追求するところがあるとは思う。少子化社会にとって、ロボットとSEX 時代など考えてはいけないのだろうが、世の中は、性風俗も潰すロボット社会に進んでいる気がする。私も新木優子のアンドロイドなら試してみたい。

そう、そういう社会になっても、人間は相手の感情のありかにこだわり、自分に合致しないものはなかなか受け入れないという面倒臭さがある。その辺りをうまく描いているといえばそうなのかもしれないが、実際に人間の脳のコピーが全て可能になったところで、そこに潜在能力的なものを入れることができるかというところも大事ですね。記憶のデータだけでなく、それをどう生かしてどう世界を構築するか?そのあたりまで追求できるのはまだまだ先だろうなと思った、この作品の鑑賞後のイメージだ。

で、もう一人の主役の新木優子。最初の方で、SEXしそうになるので、下着になるのだが、スレンダーな体型からは、ある意味、男でも女でもない雰囲気を醸し出し、だからこそ、この役には似合っていると思った。そして、アンドロイドとして、機械的に動く演技はなかなか良かったし、彼女にとってはもらい役という感じ。新木優子ファンの方は見たほうがいいですよ。

監督、石川慶は、劇場映画より自由に撮らせてもらった感じがするし、彼が好きそうな題材を、哲学的にそれなりの料理をしている。ただ、全体的に彼のそういう思いがわかりやすくできているかといえば、そうはなっていないのは、残念というところか。


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