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ロマンポルノと対峙した日々(「あの頃、文芸坐で」外伝)【23】美保純の本格的なデビューはまだまだ怪しげな雰囲気だった

1982年2月15日、池袋北口にっかつで封切り三本立て「女事務員 色情生活」「看護婦日記 獣じみた午後」「下半身美人・パンティのうずき」まあ、よくこのような題名の映画が並んでいたものだと、書いていて思う。だが、これを見ると、今のAV のタイトルなど本当にセンスが足りないと思ったりもする。

この時期に他の映画は何を観ていたかというと、1/19には日経ホールで東映版、青春の門自立編の試写会。この原作、東映製作に移ってこの後も映画化されると期待したのだが、結局ここで終わり。まだ原作の執筆が続いている作品、私の生きている間にNetflixでもいいから全編映像化していただきたい(無理かな?)。2/6には日比谷みゆき座で「さよならジョージア」13日には日比谷スカラ座で「ベストフレンド」と洋画を観ていたりする。しかし、この映画館の名前をいうだけで、今でもワクワクする。映画館がシネコンになってしまい、そういうワクワクが失われてしまったことは映画産業にとって本当に罪だとは思う。

そんな、結構メジャーな映画鑑賞を試みているこの年の初めだが、まあロマンポルノも封切りを見ることが主流になっていき、何をやってるのかよくわからなくなっていた青春映画館放浪である。

「女事務員 色情生活」(白鳥信一監督)

新人の歌川やす子という女優の主演作だったのは覚えている。あまりパッとしないなと思ったら、出演作はこれ一本だけだった。助演が太田あや子だったから、それで締めたという感じなのだろう。図書館を舞台にした愛欲話で、あまり面白くなかったのだけは覚えている。キャストを確認すると少年の役で金田明夫が出ている。彼にも少年を演じていた時代があったのだ。まあ、白鳥監督の作品だし、期待する様なものではなかったということ。とはいえ、白鳥監督って吉永小百合の映画なんかでよく助監督として名前出てくる日活のたたき上げなんですけどね。

「看護婦日記・獣じみた午後」(黒沢直輔監督)

この日は、この映画が観たくて行ったのだと思う。当時、黒沢監督にはすごい期待していた。風間舞子主演の病院もの。「ドリームリング」なる発明品をめぐってのコメディポルノであるのだが、私的にはあまり記憶がない。黒沢監督の色彩を基調とした構図などもこの作品の記憶としてはない。ある意味、凡庸な作品だったのだろう。そして、美保純のロマンポルノ出演2作目。まだ主演ではなく助演だが、ポスターに写真が出てるので期待はされていたのだろう。膣痙攣で病院に運ばれてくる役だったらしい。美保はこのあとまだ買取作品に出たりもしている。そういう意味では、この頃はロマンポルノで主役を張らせる予定もなかったのだろうと思う。それが今も残る女優さんですので、世の中本当にわからないと、彼女を見るたびに思うのであります。

「下半身美人・パンティのうずき」(平川弘喜監督)

キャストを見ると、松原玲子 杉佳代子 美野真琴 下元史朗。まあ、名前だけ見て懐かしい。主演の松原玲子という人の顔は覚えているが、内容はほぼ記憶にない。まあ、三本立ての中で買取作品が記憶に残ることは20本に一本くらいだったと思う。その記憶に残らない映画があった事も、時代の記憶なのだと、今だと思うわけであります。

まあ、こういう三本立てを封切りで観てたんですものね、学校の勉強などしてたわけないですよね。とはいえ、この時期は期末テストの後だったと思います。ある意味開放感の中で、ロマンポルノが清涼剤になっていたという事もあったのでしょうな。

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