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「ネクスト・ドリーム ふたりで叶える夢」視点の違う音楽劇。こういうオチが格好良く作れるのがハリウッド品質

とにかく、今年の後半は、ハリウッドの大作も、小作も公開ができない状態で、シネコンに並ぶ映画は日本映画ばかりという状況。さすがに日本映画を見続けると、心がどんどん貧乏くさくなってくる気がする。ということで、久々にハリウッド作品をスクリーンで観る。これ、2020年制作作品なんですね。

音楽ビジネスを描いた世界で、バックステージものといってもいいのだろう。プロデューサーを目指す人を主役にするという視点は、変わっているが、やはり地味だよな、と言う感じで映画を観ていた。

でも、最後のオチを観ると、これは家族の絆の映画だったりもする。そう言う着地点を日本映画でやると、浪花節と言われる方向に行きがちだが、ここは、さすがハリウッドの終わり方で、結構素敵なシーンだった。こういうのを観て心がホワッとすると、やはりハリウッド映画は必要だと思う次第でした。

映画の冒頭、大歌手の付き人の主人公(ダコタ・ジョンソン)が、車を飛ばして動くシーンから入り、結構、スピード感を感じる導入部。でも、主人公は雑用係と言うところもあり、どうも色々と指示されるシーンに、観客もあまりテンションが上がらない。そして、大物歌手(トレイシー・エリス・ロス)も、さすがにダイアナ・ロスの娘というだけあり、歌声はなかなかだが、大物感が今ひとつという感じ。

まあ、そんな中でダコタが、トレイシーの仕事に色々に意見を言う。だが、それは正論であっても、説得力を持たない。ここの空気感はなかなか上手い。大きなビジネスと言うものの中身はアメリカでも日本でもそれほど変わりがない。

そして、街でナンパされた男(ケルヴィン・ハリソン・Jr)に、音楽の才能を見出し、嘘をついてにわかプロデューサー業を始める。この、付き人とプロデューサーを一緒にやると言うことが、彼女の若さだと最後にはわかるのだが、若く未来を駆け上がろうと焦る気持ちはよく描けていると思う。レコーディングでダコタとケルヴィンが一緒に歌うシーンはなかなか良い

結果的には、主人公は大きな挫折を味わう。しかし、彼女の気持ちは色々と周囲に通じていて、不思議な結果をもたらす。それは、彼女の縁がもたらしたものであり、運命だ。そして、とても映画的な中にまとまっている。

映画の中で交わされる音楽話、さまざまな有名なアーティストの名前が出てきて、一緒に話に加わりたい!と言う人も多いのではないか?アメリカは音楽が集まる街。そこで、有名になること、いい作品を残すことは、まさに宝石を探すことだ。コロナ禍でそんなマーケットも一回リセットがかかっていると思うが、それでも、その中の才能が明日を目指しているのだろうな!というイメージが最後に残った。

映画としてよりは、一本のミュージックビデオを観るように楽しめばいい作品である。良いものに気付くセンス、探すセンス、作るセンス。生きてく上で、そう言うものを持っていれば、誰かが観ていてくれるという希望を感じたりもした。主人公が友人に「あなたは恵まれていることに気づいていない」と言われるが、確かにそう言う環境を得られることも才能の一つである。この不景気なコロナ禍で、生き残るの者は、自分の環境をよくできた者なのかもしれない。



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