淡い色彩の和菓子と浜辺美波の見事な融合。さらに複雑を呈するサスペンス「私たちはどうかしている(第三話)」
このドラマ。初回を見る限りは古臭い話なのかと思い、「まあ、浜辺美波を観るための一作」としか考えなかったのだが、なかなか複雑な心理劇になってきている。浜辺もそれに答え、サスペンスの中にいることを楽しんでいるようである。徐々に、演技にエンジンがかかっている感じがいい。
舞台が和菓子屋ということで、繊細なお菓子作りが、うまくドラマの内容に食い込んでくる。そして、淡い和菓子に合わせるかのように、浜辺美波の和装ファッションショーは艶やか。そして、身体が小振りだからか、よく似合う。毎回のキスシーンは余計な気はするが、浜辺美波を観るには本当によきドラマである。
その淡い和菓子に対し、ドラマは思った以上にドロドロの、様々な心の交錯の中で、先に何が待っているのか見えない。個人的には特に好きな世界ではないのだが、この辺りはテレビドラマとしての本領発揮である。そして、淡いテイストの画調の中で、過去の事件シーンは思いっきり彩度とコントラストをあげて視聴者にきついくらいに訴えかける。
それに合わせるかのように、濃い印象を与えるのが、いじめ役の観月ありさである。彼女の着物と浜辺の着物のコントラストの差がドラマに不穏さを醸し出す。今回の椿の着物を浜辺に着せるシーンはなかなかのおぞましいシーンである。だが、観月に対する浜辺の演技はまだまだ負けている。観月ありさは、歳をとって、今までとは違う意味でしたたかな演技をするようになり、相対する浜辺を寄せ付けない存在感はこれからも期待!二人の身長差もドラマには良い影響を与えている。
誰が味方で誰が敵なのかも、だんだんと明確になり出してはいるが、皆の意識のベクトルが恋と怨恨の間で揺れるのはスリリングである。そんな心の持ちようを毎回、和菓子の中にシンクロさせているのもこのドラマの面白さではある。毎回、出てくる和菓子が美しく美味しそうに見えるのは、見終わった後に満足感を与える。
高杉真宙が何か握ってるだろうなとは思ったが、観月とつるんでいるとは驚きではある。彼、結構良い演技をしているのだが、まだまだ脇に回される感じですね。映画「糸」でも最後には小松菜奈に振り向いてはもらえない役だったが、なかなか存在感のある好演。今後、どういう位置になるのかは興味があります。
しかし、浜辺美波、まだまだ成長期。この素材に様々な意識の演技をさせていく演出家は本当に楽しいだろうと思う。まだまだドラマは始まったばかり、さらに彼女が濃く変身していくのを見守ろうと思う。本当にこんな娘が周囲にいたら、たまりませんよね。