「教場Ⅱ」これを見て、警察とは何か?警察官とは何ものか?という問いを想起させるドラマ?
昨年も、新春にこのドラマについて書いている。昨年は、4、5日の放送だったようだが、今年は、3、4日の放送。いずれにしても、新年に重いドラマは昨年と変わらない。最近の視聴者はそういうことは考えずに観るのかもしれないが、重い年の初めだけに、重い。そして、今年のは人の生き死にの話が多く詰まっていてさらに重い感じもした。
木村拓哉としては、今までにない暗めの役柄ということであるが、どうもそれだけに終わっている感じもする。つまり、内在する人間への優しさと厳しさを両方持つ男なのだろうが、性格がストレートでない分、やはりあまり興味が持てない主人公なのだ。彼が同じ職場にいたら、私は自ら退職届を出すのだろう。退行届で脅すなど、最低の上司である。
そういうふうに考えれば、ここの生徒たちはマゾヒステックにしか見えない。本当の警察学校というところがどのようなところかは知らないが、そういう部分がないとやっていられない場所なのかもしれない。この舞台がもし自衛隊だったらなおさらであろう。
ここは、そういう異次元世界であると言いたいのかもしれないが、最後に出てくる明石家さんまもこういう教育を受けていると思うと、なんか違うんじゃないかと感じる。
前編では、濱田岳と福原遥が主人公、後半は松本まりか、上白石萌香、岡崎紗絵が主人公という感じ。矢本悠馬は全般的に目立って入るが、そのために工藤阿須加を殺さなくても良いのではないか?と思ったのは私だけではないだろう。これは、昨年のキャストを集めるためのネタでしかない気がする。
個々の生徒の話にしても、窃盗や、いじめなど、こんな奴らが警察学校にいること自体がおかしいのではないかと思うのは私だけだろうか?そう、原作者の視点、脚本家の視点がどうもよくわからない。多分、主人公の風間公親というキャラクターを成立させるための周囲の話を描いているというだけで、それが、観ているものの興味をそそるような話になっていないのが原因だろう。
人の生き方、職業の中でのプロのあり方というのがあるのはわかる。それを徹底的に教えるのがこの教場だろうことはわかる。しかし、本来のそこがドラマ自体の空気感と同じように、こんな息もまともにできないようなところだったとしたら、人間は成長できない気がするのだ。結果的には、皆、ここでのことを糧にして、警察官になっているという話なのだが、とても古臭く感じる。
そして、木村拓哉も新しい役どころなのかもしれないが、そこに未来に重厚な年相応の役ができるという感触は見えない。ラスト、義眼になった種明かしが何故か入っているのだが、「だから、こんな人になった」という説得力はなかった。色々と、ちゃんと描けていないのだ。そう、これは警察学校という怖いところがあるという話でしかない。
これを観て、警察官になりたいと思う人もいるのですかね?そして、なんかまだ続編作る気十分な気がしますね。もし作るのなら、せめて、放送するの、正月にするのはやめて欲しいものです。