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「沈黙の艦隊」今の時代にシンクロしつつある気持ち悪さ。そしてこの映画化、これからどうするの?

かわぐちかいじの原作が発表されたのがいつだったかと調べたら1988~1996年。連載された当初、社会的にもその存在が結構ニュースになっていたのを覚えている。そして世紀が変わり、社会自体の姿が結構かわってからの初の実写映画化。何を今更と思った方も多いのではないだろうか?だが、制作がAmazonスタジオとのことで、そんなちゃちなものは出てこないだろうと思った私である。

そして、実際、この面白い話をみせるところはしっかり見せながら、映画として面白く構成されていたという印象だった。監督は「ハケンアニメ!」の吉野耕平。やはり、映画作りはなかなか上手い人だ。これだけお金かけても無駄なシーンがない感じに好感が持てた。

そして、プロデューサーも勤めている主役が大沢たかお。責任もあるということか、このクールな役を上手く演じている。そして、彼の潜水艦を追う役が玉木宏。この二人の対峙する姿がなかなか格好良く描かれていて、アメリカ軍も交えての戦闘シーンでの彼らの心理的描写はなかなかでした。

そして、首相が笹野高史という弱々しさも現代ではリアルだし、防衛大臣が夏川結衣というのもありそうな人事。官房長官が江口洋介なのは少し現実とは違うが、ポンコツさがあまりリアルすぎても映画としては辛いですものね。

で、映画としてすごく不安だったのは、この映画の舞台が潜水艦だということだ。そう、潜水艦映画は主要舞台が艦内が狭いし暗いし、閉所恐怖症の人など、映画でも辛いのではないかという部分がある。若い頃「Uボート」の映画を観て以来、そのあたりは私も苦手である。だが、この映画、水中シーンを上手く使いながら、艦内シーンも意外に広く感じて、観ていて辛さは感じなかった。水上の空母なども出てくるし、脚本は上手い流れで作られているなと思った次第。

そして、その内容は、30年も前に書かれたものなのに、今の軍事力ばっかり上げていこうと考える日本政府にうまくシンクロした内容。まあ、この主人公のような、できる潜水艦の艦長が実際にいればの話ではあるが・・。実際のところ、自衛隊にはどのくらいのスペシャリストがいるのか、気になるところ。ドラマ「VIVANT」に出てきた別班の話もそうだが、日本が戦闘に巻き込まれた時に、実際に使える人材はどのくらいいるのだろうか?気になるところだが、まあ、そんな人がいっぱいいるとは思えませんよね。

とはいえ、私は戦争など、防衛であっても絶対にやるべきではないと思っています。そういう立場からは、こういう映画が反戦映画として成立して多くの人に見てもらえることを期待するわけです。

しかし、話の途中で2時間終了という感じでプツンと終演してしまったが、これは何部作として作る気でいるの?to be cotinued のお知らせもなかったが、最後に出てきたアナウンサーの上戸彩が喚いている感じは、彼女も含め、ドラマは広がっていくわけで、映画としてどうなるのでしょうか?出だしはそこそこお客さん入っていたようだが、作ってるのAmazonだから、いろんな作品提供の仕方があるわけで、まあ、最後まで作られないとかにはならないと思いますがね・・。

とにかく、エンタメとして楽しめました。あと、ラストのAdoの歌も良かったです。まずは、続きは映画として見たいです!




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