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「ナイトメア・アリー」1941年の古臭い教訓話。これを同じ時代の日本に置き換えても面白いですね

この題名、訳すと「悪夢の路地」というらしい。そのままの映画ですね。予告編を見た時には、単なる見世物小屋の映画かと思っていたので、情報なしに最後まで見て、この題名の意味を確認して、納得しました。

とはいえ、結構、古臭い、教訓物語ですよね。「嘘はつくな」「いい気になるな」ということなのだろう。これも、アカデミー作品賞候補である。それなりの映画の重厚感はあるが、どうも、現代の映画という感じがしない分は損な気がする。とはいえ、女たちが、主人公の男を潰していく感じは現代の女の強さを見せつける感じ?途中で、カーニバルにいた女がタロット占いをするが、こういうタロットは結構当たったりするんですよね。まさに、吊るされた男だね。(この後はネタバレあるので、見る予定の人は読まない方がいいです)

時代は1941年。この時代に意味はあるのだろうか?開戦のニュースが流れている雪の12月である。まあ、この時代だからこそ、最初のカーニバルのシーンが存在するわけであるけどね。日本で言えば、これはお祭りの見世物小屋みたいなものだろうね。まだまだテレビなど普及してない時代、こういう見せ物は世界的にあったのだろう。しかし、目玉の見せものが「獣人」っていうから何が出てくるのかと思ったら、生きてる鶏を齧るという趣向。これでも当時は、ウケたのかな??気色悪いだけですよね。

他も怪力男とか、電気を纏う美女とか、そして、この映画の話の中心となる読心術。ある意味、最初のこのカーニバルシーンは古臭いもののオンパレードで少し眠たくなる感じではあるが、主人公が読心術のカラクリを学び、このカーニバルから抜けようとするところからは、映画としては結構よくまとまっていた。この映画も最近の映画の通例になってきた2時間半あるのだが、まあ、後半はそれほど時間を感じなかった。

まあ、一緒に逃げてきた女のサインで読心術をやって、街で売り出していくのだが、そんなにうまくいくわけないだろうと思う。これ、現代に移し替えたら絶対成立しないのだろうな。とはいえ、それでいい気になって、悪い女に絡まれて、一緒にビジネスをやろうと誘われて、結果的には全て女が騙していたという流れは、ここも昔からよくある話。まんまと引っかかった男は本当に情けないわけである。

そしてラスト、カーニバルに戻るも、主宰者は変わっていて、アル中の彼は、甘い誘いをかけられる。映画の途中であった会話と同じ会話が繰り返される。それを聞いた主人公の笑顔のアップで終わるのは、どうなのでしょうか?間抜けな話ですよね。

最後の方で人が死んでくシーンの銃弾の音がなかなか印象的に耳に残る。死んでいくのは金持ちだったりするのだが、そういう貧富の差がある中での生き死にの意味みたいなものも、この映画のテーマなのでしょうな。話が古臭くシンプルなだけに、観終わった後に、色々考えることも多かったりしました。

そう、1941年、同じ年の日本に舞台を変えて、同じような話を作っても面白いですよね。そうなったら、戦争や軍人も描かないといけなくなるけどね。


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