「約束のネバーランド」浜辺美波と北川景子が同時にスクリーンに映る至福の時。
「鬼滅の刃」が思いっきりヒットしているので、目立たないが、この映画も少年ジャンプで連載された漫画原作で、鬼が世の中を変えてしまっているのは同じような世界。ただ、こちらは、思いっきり無国籍なファンタジー。
映画としては、怖い話なのだが、異次元感があるので、それほど怖さはなく、勇気をもらえるファンタジーとして、それなりに面白かった。
私は、アニメを少し観ていたが、ほとんど話は理解していないでこの実写版を見た状態。映画全体の雰囲気、テイストはなかなかよくできていると思う。主人公のエマを演じる浜辺美波、レイの城 桧吏、ノーマンの板垣李光人と、それぞれ印象的に描かれ、他の子供たちも生き生きとしていることで映画自体には活気がある感じ。そして、日本人がこれを演じて違和感がないのは、現代のいいところかと思う。
私的には、浜辺美波、北川景子というキャストがなかったら観なかっただろう。それほど、内容的にそそるものはなかったということだ。その中で楽しめたのだから、及第点の映画。
浜辺は今年成人式らしいが、ここでは15歳の役、まあ不自然さはないが、こういう役は多分最後だろう。そして、この映画に関しては浜辺の明るい表情がとても心地よく生かされている。本人もこの原作のファンだということだが、見事な演技と言っていい。最後、果てない未来を見つめる表情は記憶に残る。特に現在のリアルの世界の陰鬱さがあるので、そこから抜けでたような笑顔が心地よかった。こんな笑顔がいっぱいの社会に早く復帰したいものだ。
そして話の中では、昔は浜辺美波と同じ境遇だったママ役の北川景子。もう、彼女は、存在するだけで、その美しさゆえに怖い雰囲気を醸し出す。お芝居は、まだまだ貫禄はないものの、今の年齢だから故の美しさを映画のスクリーンで観られるのは贅沢でさえある。そして、新しい美女である浜辺美波と同じスクリーンの中にあるシーンに、私は震えた。美しい女優は、どの時代でも必要だ。(これは、差別的な話でなく、映画の中ではビジネスとして、時代を表現するためには必要なことだ。)その二世代の美女が映し出される姿はただ輝きに満ちていた。浜辺は、これから一気に大人になっていくだろうから、こういう絵面を観られるのは今だけだろう。監督もテンションが上がったはず。それを観るだけでも貴重な一本になった気はする。
話は、人間が生きるために、鬼とともにかわした約束のために、飼われる子供たちがいるということ。そして、美味しい優秀な脳みそを生産するために、そのために頭のいい子供を作るという、歪んだ世界。でも、これは、私たちが優秀な人を選別したり、そうでない人を罵倒したりしたりする末に、できた世界と何ら変わらないと感じてしまうところがある。そういう、現実との重ね合わせができるからこそ、面白い原作なのだろう。
そして、推理劇的な脱走計画。最後にハンガーを使ったロープわたりは危なすぎるが、まあそこはファンタジー。そして、映画のテイストとして原作をうまくまとめあげたことで、それなりの成功をしている感じだ。このテイストが嫌いな方もいるとは思います。
とにかく、私たちも出口がない中で、また今日にも「緊急事態宣言」などというものが出そうな世界にいる。映画館も、流石に人が少なかった。鬼が世界で立ち振る舞う中で、その奥底ではいろんな約束がかわされているのだろう。でも、そこに、子供たちの未来を奪うようなものがあってはならないと思ったりしながら、帰路についた。
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