「隕石家族」今の日本の状況にリンクする、SFホームドラマ。終末観の共有。
先週から土曜深夜に放送されている、東海テレビ制作のドラマである。半年後に地球に隕石がぶつかり、この世が終わるという設定の中でくりひろがれるホームドラマと言っていいだろう。今の世界の状況とは違うが、そこに描き出される終末観的なものは、同じに見える。
脚本は、NHKの大河ドラマも手掛けた小松江里子。音楽も同じく「西郷どん」などの音楽を手掛けた、富貴晴美という、地方制作の深夜ドラマにしては、豪華!そして、小松さんが手掛ける題材としては、とてもユニークである。それが、何故か、予期したことではなかったとは思うが、この時期にオンエアしていることは、なんなんだろうね?と思う感じ。観ている人は、様々なことを考えるでしょうね、というドラマですので、新ドラマ渇望症の人には、それなりにお勧めできる。
まず、1回目は、ママ(羽田美智子)の高校の時の憧れの人(中村俊介)との不倫話、今回は、遠い過去の過ちを思い出す、おばあちゃん(松原智恵子)の苦悩の話、多分、家族一人一人が過去の精算をしていく流れなのだろう。
まあ、半年後に地球がなくなるという「妖星ゴラス」みたいな話になったら、皆、過去のことが気になったりしますよね。そして、息子と娘が通うビリヤード屋?では、過去の思い出の歌を歌い続ける老人たちがいたり、そこのマスターのブラザートムも、様々に終末のネタを入れてくる。今回はスーパーで万引きセールをやってるというネタ。そう、昨今の混んでるスーパーでも面倒臭い万引き騒ぎもおこってそうでありますね。
そして、今回は、街の掃除に余念がない、光浦靖子が、ゴミのルールを守らない主婦を埋めて肥やしにしようとする話とか、いろいろとシュールな話をさらりと突っ込んでくるのは、なかなか面白い。
そして、ドラマ全体の骨格を作るのが、羽田の不倫相手の中村が、パパ(天野ひろゆき)のNゲージのオタク仲間だというところ。いつどこで、三人が会うのかということも含め、いろいろとテレビドラマ的な次回を観たくなる楽しみとして突っ込んであるのは、普通にうまい。
半年後に隕石がぶつかるという割には、皆にあまり緊張感がないのも、ドラマとしてはいいところ。今のリアルな世界も、緊張感なしに篭れる状況ならいいのですが、緊張感ないと、いつになっても終わらない感じですよね。そう、リアルとドラマは違うというものであります。
ドラマでおばあちゃんを演じている松原智恵子は私が最初に好きなった女優さんである。当時小学校4年くらいであった。その美しいスチル写真に惚れてしまった。現在75歳。流石に細身なのでシワは目立つが、整った美しい顔はそのまま、お綺麗であるのと同時に演技する姿を観て安心した次第。今回、その幼なじみのエキストラ役として出演した岡本麗さんも、久しぶりに見た。私にとっての彼女はロマンポルノの脇役としてのイメージが大きい。違う時代の日活を背負ったお二人がこういうところで一緒に演技しているのは嬉しい限りでした。
とにかく、毎回、出演者の過去が、終末の地球でシンクロしていく感じであり、それなりにまとまった脚本は、結構、私的にはお勧め。今の、ウィルス問題も笑ってドラマにできる時が早く来て欲しいと思いますが、今はお家でドラマや映画を見て辛抱の私であります。
しかし、この状況で隕石ぶつかってきたら、どうしましょうかね?
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