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消費者は情報を食べているという真実。そして松井玲奈の事。「行列の女神〜らーめん才遊記」(3杯目)

このドラマ、回を追うごとに面白くなってきている。主人公をボスが鍛える様はスポ根的でもある。そして、今回はライバルとして松井玲奈が登場。鈴木京香と黒島の母の高畑淳子が、ある意味ライバルという関係とシンクロさせることで、話を盛り上げているのが、ドラマの勢いをよくしている。

しかし、高畑敦子といえば、金八先生の保健室の先生であり、その脚本を書いていた小山内美恵子の息子が、高畑の夫の役をやっている利重剛。さすがにこの夫婦を考えた事はなかった。調べたら高畑さんが8歳年上。それを考えると、高畑さん若いのか?いや、利重さんが老けて見えるのか?まあ、不思議なキャスティングである。

その高畑と鈴木の因縁の対決の構図から、黒島が新たなクライアントのつけ麺屋にでむくも、そこには商売敵の松井玲奈がいた。鈴木も巻き込んでの結果、コンペを行って勝負することに。その裏に、鈴木の計画が進んでいたという内容。

結果的には、料理人の腕と舌は確かな黒島だが、フードコンサルティングとなると素人。店を作って、地域での差別化をはかり、顧客が選んでくれて、リピーターが続く店を作るとはどういうことなのか?を鈴木が黒島に教育するという回になった。

しかし、地域に10件ものつけ麺屋があって、ラーメン屋がほとんどないという地域は結構シュールな感じがするが、本当にあるのだろうか?まあ、つけ麺ファンが集まるという前提なら、ありうるか?

オチは、つけ麺屋をとんこつラーメン屋にするというもの。他の地域で困っているラーメン屋とのメニュートレードというマジック。まあ、これはありうるし、ラーメンという単純な品物だからこそ、成立する面白さか?

ドラマとしては、わかりやすく、最後はすっきりする作り。そんな中、黒島のライバルとして出てくる松井玲奈がよかった。にわか広島弁みたいのを喋りながら、主人公を追い込む様は印象的な演技。そして、彼女の眼力がここのところ際立っている。

SKE48、乃木坂46のアイドルだった彼女が、今期のドラマ三本に出演している。NHK朝ドラ「エール」、同じテレビ東京の「浦安鉄筋家族」と、この作品だ。みんな、どこか強気のセリフが似合う役だ。個人的にお気に入りは、ヘビースモーカーに文句を言うファミレスの店長役(「浦安〜」)であるが、とにかく、眼力と、滑舌の良い台詞回し、そして雰囲気が突然強気の感じに転換する面白さであろう。普通に優しい美人さんが、突然、豹変する感じが可愛いと言うか、魅力的である。

多分、当分は、こういう役柄で重宝される感じがするが、私的には、主役で何か演じさせたい。アクションもこなせそうな雰囲気もあるのだが、どうだろうか?今回のメガネをかけた姿もなかなか似合っていたし、振り幅は大きい女優さんになれる気がするのだ。とにかくも、注目である。

いわゆる、AKB派生グループや、坂道グループからの女優転身はこれからさらに多くなっていくだろうし、今の状況ではグループでの活動が難しく、ソロでいかに売っていくかという路線に切り替えられるだろう。アイドルの世界も大きく転機を迎えることになる。その中で、その渦中でドラマ3本に出演している松井玲奈は、ある意味、何かを持っていたのかもしれない。

このドラマ、1話ごとのゲストが変わるので、もう松井が出る回はないのかもしれないが、再度、黒島と対決させるのも面白いと思う。そういう、因縁めいたものを入れながら、ビジネスの話をうまく伝える的な感じの塩梅が欲しいと私的には思う。

今回のオチとして、「消費者は、味とかの前に、情報を観て感じて、店を決める」というような話。とても大事だと思う。コロナ禍の後のマーケットはその前のものが大きく変化するものになるというのは誰もが思っていること。安心して食べられるというフラグのなかで、行列のできるラーメン屋って生き残れるのか?という不安は、今の人気店にもあるだろう。もはや、その先まで考えないといけない時代になっている。

そういう意味では、ここで描かれる、フードコンサルタント業務というのも、大きなチャンスであると同時に、新たな解析が必要になるわけである。まずは、このドラマで、現状のビジネスの基本を学び、そこにこれからのあり方を加えて考えるのもアリかと思う。まずは、冷静に未来を見極めることである。

とにかく、最後まで観ることになるドラマであろう。


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