「姉ちゃんの恋人(第6話)」事実を話し、心を整えて、恋人になる一時間
今回が、第6回。その割には話は進んでいない。先週は、林が自分が犯した罪について有村に話し、「自分はあなたと付き合える人ではない」という。そして、二人の心が閉じたわけではなく揺れ始める。
林の保護師でもある光石研、演じる有村のおじさんも、自分もどうしていいかわからないと言う。ここでの光石研の芝居がたまらなくよかった。若いいい二人なのに。なんで「おめでとう」と言ってあげられないのだろうという芝居である。ここに真実がある。普通にみんなの知っている林はいい人である。ただ、暴力で捕まったことがある過去が引っかかる。でも、それは過去の話だ。そこをどう飛び越えるのかが今回のテーマ。
私は、「過去は過ぎたことであり、振り返っても仕方ない」ということを日頃思っている。私たちが変えられるのは、現在と未来だけだ。だが、このドラマの今回のテーマは「過去へのこだわり」。観ている誰でもが何かしら近い思いの経験をしているだろうから、このドラマの今回はすごく愛おしい。
皆が、二人の心のありかに近づいて励まそうとする。有村も弟たちや、職場の女性陣たち。それが、押し付けがましくない感じがとても良い。この辺りは岡田惠和脚本の優しさか?
そして、観覧車の中での二人の再会。林が自分の過去についての思い、そして今の思いを明確にして、有村は涙する。かなりわかりやすい脚本なのだが、それが観客にすごい訴えるのは、今の日本の状況と関係あるような気もする。最後の有村の笑顔はたまらなく素敵だった。なんで、こんなベタな話に感動してるんだ?と思う自分がいたりする。
その前後に、壊れた椅子を直す話が出てくる。ラストで直った椅子が出てくる。壊れたり、もやもやしたりしたら、修理すればいい。それは、椅子も人間も形あるもの全てに言える。多分、そんな簡単なことを今年を生きた日本人も世界の人々も忘れかけている気がする。脚本家がこのドラマに込めた思いは、あくまでも、人の生き方、寄り添い方みたいなものではないか?そんな原点に戻ろうよ!というような。
次週の予告には、林の昔の恋人が出てくるようだ。そして、奈緒と弟の恋バナもわかってしまう。そんな最後の一波乱で、この真っ直ぐな二人の心がどう揺れるのかは、とても楽しみだ。クリスマスに向けてドラマは一気に終着点に向かう。とにかく、今年はハッピークリスマスなドラマが観たい気がする。そういう意味では、ひねりのないくらい真っ直ぐな恋物語は格別である。