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「あの頃、文芸坐で」【53】文芸坐で観るロマンポルノは少し異次元だった「団地妻肉欲の陶酔」「ズームイン暴行団地」「女教師汚れた放課後」「狂った果実」

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「あれから10年…ロマンポルノの新しい担い手たち」という特集の中から、「ズームイン暴行団地」「団地妻肉欲の陶酔」「狂った果実」「女教師汚れた放課後」の四本を観る。別途にロマンポルノの話は書いているが、文芸地下で観るそれは、少し違って見えた。観客がいわゆる裸だけを観にくる観客ではなかったからだろう。逆に考えれば、成人映画館に入る勇気がないものがそこにいたのかもしれない。

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まずはコラム。「タフでなければ生きられない 優しくなければ生きている資格がない」という言葉から、「グロリア」の話に。最近、この映画の話をする人は少なくなった気がする。ジョン・カサヴェテス監督、ジーナ・ローランド主演のハードボイルド。世の中はかわり、最近は女の方がハードボイルドのような気がする。こういう映画作る時期なのかもしれないなと思う。久しぶりに観たい一本ですね。

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プログラムは、文芸坐は先週から変わらず、文芸地下は、ポルノの特集の後にアニメ特集という混沌。まだ、スタジオジブリという名がない頃に、大塚康生、高畑勲、宮崎駿の特集をやっている。宮崎駿が三番目というのもこの頃だからだ。「アニメへの招待」というタイトルがついているが、この頃はまだまだアニメは子供向けという考え方から抜けなかった時代であると懐かしむ。そして、その後に「名称と文学」という特集。すごい流れだなと笑ってしまいました。でも、それが文芸地下の醍醐味だった気がします。オールナイトでは、日本映画監督大事典は関本郁夫、曽根中生と、なかなか過激な監督が続く。関本郁夫の特集は観に行っているので次回書きます。

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そして、このプログラムで観た4本ですが、根岸吉太郎の二本「狂った果実」と「女教師汚れた放課後」については、以前に書いたので割愛。多分、2回目のこの日も満足して帰ったのだと思います。そういう映画は最近でも少ないですよね。それをロマンポルノでやっていた根岸監督には、現役として映画を撮っていただきたいと思っています。

そして他の二本

「ズームイン 暴行団地」(黒沢直輔監督)

黒沢直輔監督デビュー作。黒沢監督は、鈴木清順的な、少しシュールな画面作り、色の使い方などができる人で、この当時の新人の中では好きで観ていた監督だ。映画は、連続暴行犯にレイプされ快感を覚える主婦の話。レイプ後に火をつけられ殺されるという話で、上の写真にあるような画面がラストだったと思う。主演が宮井えりなであり、片桐夕子も出ていたので、それなりに満足した感じだったと思う。実際にこの監督を好きになったのは二作目の「愛獣 襲る!」だったと思う。

「団地妻 肉欲の陶酔」(伊藤秀裕監督)

今はプロデューサーとして活躍している、伊藤秀裕監督のデビュー作。鹿沼えり主演で団地妻役。そして、暴走族の古尾谷雅人と、肉欲の陶酔に溺れる話だ。多分、後に結婚する二人に出会いの映画だったのだと思う。伊藤監督はその後、SM映画をよく撮っていた記憶があるが、バイオレンスな演出家だったのだと思うが、この時の作品評価もいまいちだったから、演出は凡庸という印象。

とにかくも、根岸吉太郎監督がデビュー以降、にっかつは多くの若手監督に演出の機会を与え、それが現在の日本映画の源流になっているのである。そういう意味では、この時にこれらの映画を観た時には、本当に新しい時代に遭遇している触感はあった。だが、周囲にそれを一緒に話せる人は皆無だったのも覚えている。


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