コロナ禍の環境下でどうやってムービー撮影をしていくか?
5月も終わりに近づき、二十四節季は小満を迎える。もう、外が気持ち良い季節、梅雨に入る少し前。やっと日本全国で緊急事態宣言は終わりそうではある。東京でも、解除前にデパートなどが再開し出している。
しかし、昨日の東京発表の感染者11人。まだまだ、あちらこちらにウィルスは潜在的に散らばっているのだろう。ということで、ここから、普通の生活にすぐには戻れないことが確定している。だが、流石に、経済を回さないとみんなが死に至る状況。商店は開いていくだろうし、そこに人も呼び込まないといけない。とりあえず、密な環境を作らぬようにアイデア勝負の商戦。もちろん、ネットの最大活用が必要である。
そんな中、私の仕事の中心はビデオ撮影である。どうするか?という難問が多々ある。テレビ業界も、映画業界も、CM業界も、AV業界も、止まっていた動画業界が動き出すのだろうが、まずはガイドラインを考えないといけない。
私が個人的に小規模のビジネスとして動画を撮る時に最低限の規制事項をまとめてみた。
◯ 撮影スタッフは、基本2人以内で行う(屋外撮影の場合は5人までは必要に応じてOKとする)
◯ 被写体に関しても、ワンカットに映る人間を3人以内とする(ただし、なるべく距離はとる。抱擁や手を繋ぐシーン、接触シーンをとる時には撮影前後に消毒喚起。外の撮影で多人数をとる場合はやはり距離をとる。また、クロマキー、CG合成など効果的に使って多人数撮影を回避する)
◯ 撮影機材は、事前、事後に消毒の上撮影に臨む
◯ 撮影時、被写体とカメラのソーシャルディスタンスを2m以上とることとする。(事前に、撮影場所を訪ね、可能かどうか確認する。十分な間隔が取れないと判断したら、撮影は中止、別の場所での撮影を考える)
◯ スタジオ、等の撮影場所で人の接触がなきこと
◯ 撮影現場での、2人以上での写真の記念撮影は禁止とする(意味のない接触の禁止)。
◯ スタッフは、必ずマスク着用のこと
◯ 撮影場所の換気を考えて、撮影を行う。換気の悪いところでの撮影は行わない。カット毎のこまめな換気を行うこと。
◯ スタッフ、キャスト共に、撮影前に手洗い、もしくは手の消毒を怠らないこと。撮影後も必ず行うこと。
◯ マスクをつけないで、飛沫が飛ぶような大声を現場で出さないこと。(必要なセリフ、等は別)
◯ あくまでも、相手に対し、自分が感染させないという心持ちで常に作業にあたること。(自分は感染しないという意識感覚はNG)
◯ 撮影が終了したら、速やかに片付け、現場から離れること。
◯ 8時間を超える長時間の撮影は基本禁止(適度に休みをとること)
とりあえず、気を使うところはこんなところかと思う。あくまでも、ネット用の小規模な撮影の話なので、TVや映画はこんなものではできない話だと思う。最も難しいのは、撮影の時に人の配置をどうするかだと思う。まず、余計なスタッフは削るしかないし、少数精鋭はマストである。
また、ロケで通行人が集まってしまうようなことは避けるべきだと思う。また、この辺は道路使用許可が関わってくるので、警察が許すかどうかは、疑問がある。これからガイドラインが発生してくる気がする。
そして、人が接触するシーンをどう処理するかというのがすごい難しいところ。大河ドラマの合戦シーンなどは、割り切って最短時間で撮るというしかないとは思うが、もっと一般的なシーンの方が難しい気がする。
私など、店舗CMをとったりする時に、いかにリポーターから離れて撮るか?お客様が入っている時の撮影はどうするのか?とか、カット&ペーストで距離感を測りながらやるしかない。
スタジオにしても、それなりの大きさのところでないと撮れないのが問題である。今までは、四畳半みたいな中で撮ることも多く、その中で人が数人動くという行為はもうできないことである。もう一回り大きいところでやるしかないのが現実的である。この辺りは、AVの現場なども同じだと思う。少し気の使い方は違うが、性的問題以外もしっかりやらないと業界が生き残れない気がする。
とにかく、緊急事態宣言が終えたところが、新しい時代のスタートである。テレビ局は、今リモート撮影になった部分の経験を生かしながら、元に戻していくと思うが、今までの雛壇番組などはできないと思う。そう、視聴者側も密度の高いものを観るのが今までも辛かったが、これからはもっとであろう。現場で感染が起こった瞬間に、テレビ局全てに影響が出ることは、今回経験しているのだから。
映画撮影にしても、やってみなけれなわからないが、感染防止担当を一人つけないとどうにもならないかもしれない。とにかくも、ゆっくりと普通のものを取れる環境にしないといけない。
映像作品は、中間的な大きなの画を作り込むのが難しくなることは確かだ。アップとロングが多くなり、カットバックのシーンも増えていく?視点を変えれば、小津安二郎監督が今の世界にいたら、普通に自分の映画を作ってしまう気もする。そういう映画ばかりはやめていただきたいですが…。
ハリウッドなどは、もう、グリーンバックでどう繋ぐかという段階から考えるのかもしれない。それぞれの役者をここに撮って、最後に組み合わせていく。まあ、アニメーションにどんどん近づいていきますね。あと、大きなカメラが邪魔なら、iPhoneやGoProだけで撮られる映画も増える可能性がありますね。
映像でお金を稼ぐためには、とりあえず1年くらいは新しいガイダンスのもとで撮影するしかないだろうと思っている。何かあった時に、ちゃんと説明できることが必要だ。別にウィルスに感染することは犯罪ではない。「だから、いいではないか?」という心持ちの業界人も多いだろう。だが、そういう現場からは質のいいものはできないし、商売としてやっていくにも、良いビジネスにはならないと思う。
リモートで無理に作品を作った人にしたら、このガイドラインでも十分自由だと思う。そして、リモート作品を見ていても、人って、いろいろ制限を与えられたところから、アイデアが出てくるもので、そういう意味ではここ1.2年以内の映像コンテンツには、歴史的にも違う味わいのものができてくる可能性がある。
とにかく、映像が好きなら、ガイドラインを自ら作って撮るのみである。全ての映像業界の皆さんにエールを送ります。
※14日に日本映画製作者連盟が出した製作ガイドラインですご参考に!テレビ局も似たような内容になる感じがします。
http://www.eiren.org/img/guideline_covid19_200521.pdf