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「天国と地獄 ~サイコな2人~」入れ替わり刑事ドラマ。綾瀬はるか&高橋一生というキャスティングの魅力

やる気はあるが周囲の信頼に薄い刑事の綾瀬はるかと、サイコパスな殺人鬼の高橋一生の身体が入れ替わるという刑事ドラマ?というよりは、この設定から、人の深層心理的なものを描くのだとは思う。脚本は、日曜劇場ではさまざまな傑作を残してきた森下佳子のオリジナル。初回の加速の付け方は流石である。そして、主題の入れ替わりシーンは、「転校生」からのお決まりで階段落ち。まあ、ここを凝っても意味はないのだろう。あくまでも、男女の俳優の演技にかかってくるドラマだと思う。

綾瀬はるかという女優さんは、特に私の好みではないが、みていて安定感がある芝居ができる方だと思っている。それは、どちらかといえば、立ち姿や演技が男っぽいからだ。そして、雰囲気は少しボケたようなところもあり、その唇には色気も感じる。そう、綾瀬はるか独特の雰囲気があるのが、それが長い間、主役を張っていける理由なのだと思う。そんな、彼女だからこそ、心が男になっての変わり身は見事だった。そして、女になった高橋一生を追い詰める姿も気持ちいいくらいに強さを秘めている。

対する、高橋一生は、二枚目をやってもどこかつかみどころがないような芝居をする人である。そして、金持ちも貧乏な弱者も、さりげなく演じられる人であり、存在感をなくすこともできる俳優さんだと思っている。映画「スパイの妻」の役などは彼にぴったりだと思った。そんな彼がサイコパスというのはぴったりなのだが、女になってからの演技はさすがという感じだった。女々しいような感情を表情に出すのはうまいですよね。

その、2人が刑事と犯人として対峙し普通に追い詰めるだけでも、かなり面白かったが、結果、身体が入れ替わることで先が見えなくなる。初回は心の入れ替わった通しのやりとりの中で綾瀬が高橋に手錠をかけるまで。これから心理的にも、慣れない男女の身体に対しても、さまざまなイレギュラーなことが起こってきそうであるのがまず見ものであり、展開は想像するだけでも複雑化しそうな感じ。そして、入れ替わった身体が元に戻った時には何が起こるのか?いろいろと遊べる話だと思う。

とにかく、主役の二人が敵役すぎるのだ。入れ替わりドラマは、キャストに尽きると思っている。男女のどちらかがうまくても、差分が気になって仕方がないのが常。このキャストは多分絶妙であり、演出にも勢いがつく感じがする。脚本は書ける人が書いているので問題なし。脇役陣も北村一輝や柄本佑などの安定感がある人が揃っていて問題なし。中村ゆりさんが高橋の秘書的な役で出ていたが、いつもの通りでお美しいこと。この人、もっと主役としてフューチャーされてもいいと思うのですけどね…。

前のクールの「危険なビーナス」は推理劇としては、複雑さが観ていて面倒臭かったが、今回のこのドラマはなかなか初回からしっかり引き込まれた。今までの入れ替わりドラマは、どちらかといえば知っている人と入れ替わることが多かったが、今回のこれは、生活で接点がなかった人との入れ替わりである。そういう意味でも、今までにはやっていなかったドラマがさまざまに書けるのだろうと思う。まずは次回が楽しみ!

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