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「思い、思われ、ふり、ふられ」青春の恋の具現化。綺麗な空気感を呼び寄せる浜辺美波

咲坂伊緒の人気少女コミックの映画化。浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二の4人の中で、好きという気持ちがいろいろに動く。4人が一緒のマンションにいることと、浜辺と北村が昔、恋していて、親が結婚したことで姉弟になってしまったという事実がドラマである。

そのイレギュラーなところを利用しての心模様が、静かに、丁寧に描かれる。映画として特に新しい試みはないが、こういう恋模様は時を越えても変わらぬもので、遥か昔にそれを感じた私のようなものでも、スッと入って行ける。少女漫画的な気恥ずかしい部分もあるが、綺麗な映像の積み重ねは心地よかった。雨が、有効に使われているが、それは心のもどかしさをうまく表現している。冬の外におけるクリスマスパーティーなどもそうだ。気温や湿度で、恋心のありかがわかる感じは良い。

そして、もうすぐ20歳になる浜辺美波。こういう役は今のうちに思いっきり演じるべきだと思う。まだまだ制服がよく似合うし、周囲を護るために自分を犠牲にするこの役は、彼女にぴったりな感じがした。身体一杯で主人公の朱里を表現する姿は、言うまでもなく、今後の期待あるのみの女優さんである。

そして、それに呼応するように他の3人の表情もとても良い。若い役者たちが昔よりも数段上のステージにいるような気が最近する。北村以外は、皆、「映像研には手を出すな」にも出ているんですよね。それは楽しみです。

メディアでも予告編でも取り上げられている浜辺美波のキスシーンだが、高校生のそれらしくて良いと思った。まだまだ、そういう色っぽいシーンを演じる状況ではないが、そのとば口にいる彼女の記念すべきキスシーンになるだろう。

この映画は、とにかく、高校生の恋心をうまく映像の中に落とし込んでいると思う。多少、セリフに頼る部分があるが、大人たちを「こんな感情の時の戻りたいな」と思わせるものにはなっている。

高校生の時に、こんなに友人を護るという気持ちがあったかどうかはわからない。今の子たちはそれぞれにイレギュラーな家庭も多いから、こういうことも考えるのか?そんな現代性も感じながら、ベタな青春の画によった125分だった。

そう、難をいえば、この上映時間である。少し、長い。20分くらいはカットできる気がした。「恋などというものは、無駄な時間が動かすものですよ」というならこれでもいいのかもしれないが。

とにかく、これが浜辺美波の20歳前の最高の演技なのかもしれない。そう考えると大事な映画になる。今年、これから「映像研には手を出すな」「約束のネバーランド」と出演作がラインナップされているが、とにかくここから2、3年の浜辺美波にはまだまだ注目であります!


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