「トップガン マーヴェリック」大画面で体感する戦闘機の震えに高揚感を感じさせる、正義の映画。
前作が公開されたのが1986年。それから36年経っての続編。前作は1968年の話として、冷戦化の海軍の話であり、敵はミグとして、明確に描かれていた。そして、冷戦も終わり、今回のミッションは秘密裏に作られた核施設の壊滅。国は明確にされていないが、いうことを聞かない第三国というところなのだろう。そして、敵のパイロットが黒づくめなのは、アメリカだけが正義だと言いたいわけだろう。海軍の協力なしにはできない映画だから、ある意味広報映画のテイストはある。見終わった後には、なんか、昔懐かしいハリウッドの勧善懲悪的な映画な感じが、個人的には心地よかった。そう、最近のマーベルなどのヒーローものの、悪と正義の領域の曖昧さがあるようなものよりは、私はこういうのが好きである。ただ、こういう描き方をすると、戦争を鼓舞するものだとか難癖を作る人も最近は多いわけで面倒だったりもするのはわかっている。
まずは、前作をビデオでおさらいしてから、見にいった。トム・クルーズは確実に歳をとっているが、今の方が男らしい感じもする。自分の役名をタイトルにつけてるわけで、彼が主役なのだ。そして、冒頭のマッハ10を狙うシーンで、まずは、映画の観客を戦闘機の疑似体験に誘う。IMAXで見たわけだが、震える感じが堪らなく、映画の中に一気に引き込んでいく。4DXだと、また違う体験ができる映画なのはよくわかる。
そして、そこから、トップガンの教官に戻されて、若者たちを教育していくわけだが、ラストまで、トム・クルーズが無敵のヒーローであり、若者たちがそこに迫れない感じは、少し格好良すぎではある。そう、若者たちは、性別も人種も関係なくいるわけだが、もう少しマーヴェリックに迫るライバル的な強さを持った者がいたら、また違った展開もできる気はするが、それは考えたのだろうか?
とにかく、ドラマはシンプルである。そして、盟友で前作で死んでいったグースの息子との確執を描きながらも、最後はお互いに助け合う、親子鷹的な描き方は、日本の戦争映画にもよくあるような話だと思った。そう、なんか、マーヴェリックの向こうに武士道的なものも感じるのですよね。
最後に敵の倉庫にあったF14で逃げるわけだが、こんな古い戦闘機によくもまあ、弾丸がそれなりに入ってたなと思ったりもしたし、弾丸がなくなるのをカウンターで見せていくのはわかりやすかった。そして、ラスト、誰かが助けに来るのだろうなと思ったが、引っ張って引っ張って助けに来る時間の塩梅もまたわかりやすく興奮いたしました。
で、ただの男くさい映画にしないように、ジェニファー・コネリーとの恋模様も描かれ、最後は、二人のシーンで終わらせたりしているのだが、これは明らかにハリウッドの王道の映画の作り方ですな。
とにかくも、総論として、見終わって爽快だったし、映画を見たという達成感みたいなものもあった。3年公開が遅れたわけだが、ある意味、パンデミックの雰囲気が緩和したところで、こういうもの見せられると心が勢いづく感じですよね。あと、前作に比べ、ここまで映像化できるんだという差異を見てみるのも面白いところで、まあ、色々シナリオ的には雑なところも感じるのですが、エンターテインメントとして、完成度は高い一作でした。