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「距離間規制」の先の私たち。「キス」も「ハグ」もなくなる世界。

毎日、毎日、底無し沼に入っていく感じを全世界の人が共有しているのではないだろうか?とりあえず、治り出したという中国でさえ、外出時の行動規制はいまだやっているし、飛行機で何も考えず国境を越えることはできない状況。地球というものが、いかに狭いものなのかというのも思い知らされている。

やらなければいけないことが多々あるのだが、手を付ける気合が入らない。新しい仕事も、皆、このミッション?が「終わってからね」、という感じである。世界を今までにいなかった異生物が侵略している。まさに、少年時代の読んだり見たりしていたSFの世界の中に私たちはいる。

だが、今まで見た小説の中に、人と人が1.8m以上離れていないと生きていけないとか、3人以上でつるんで外出してはいけないとか、そんなくだりを読んだ記憶はない。

時間があるので、家で、映画やドラマを見ていたりするのだが、彼らが近くで寄り添ったり、みんなでパーティーしていたりするのに、すごい違和感というか、恐怖感を感じるようになってきた。

そう、ドラマというものは、人が寄り添う中で生まれる。恋する話なら、徐々に心も物理的にも距離間を近づけていって、それがキスに繋がる。だが、今のリアルは、お互いに恋しても、1.8m以上近づけない現実。一緒に住むにしても、2週間隔離状態で、何もなかったら抱き合えるみたいな状況である。もはや、人間は本能的なものを規制するしかなくなっているのである。

だから、それを擬似的に行うキャバクラやナイトクラブやガールズバーは、もう元には戻らないかもしれない状況だ。極端な話、AVも今のような濫造はできない時代に入っていくと思われる。

この状況が、少し緩んできても、しばらくは、近しい人以外は距離を保つということになるだろう。ホテルのビュッフェや、皆が肩を触れ合うようなパーティーもしばらくはできない気がする。そして、コンサートも立ってはいけない、叫んではいけない規制がかかりそうだ。また、スポーツ観戦も、声援を送ると退場とかになってしまうかもしれない。もう、考えただけで頭が痛くなる。

今、皆が理解していることとして、エンターテインメントがなくなるかもしれないという状況がある。でも、それは、経済的なものである。だが、人の接触が常に規制される中では、役者通しが触れ合うこともできなくなるかもしれない。そう、常に1.8mの距離間が街のあちこちで当たり前になると、今までのドラマも、小説も、成立しなくなるような気がする。

先ほど、家に郵便屋さんが荷物を届けにきたが、手と手が触れないように注意しながらの配達であった。彼らも命がけなのだが、最後には置き配が当たり前になっていくだろう。そう、触れ合いはなくなるし、「ご苦労様」の一言も消去されていく。

人と人とが触れることが危険なら、キャッシュレスが基本になるし、スーパーやコンビニのレジ無人化は一気に進むかもしれない。そう、生活全てが、接触危険の基本の上で成立し、2020年以前のエンターテインメントコンテンツが一気に古典になる感じはする。

よく、人が「ふれあい」という言葉で癒しの空間を表すことがあるが、そういう吐息を感じる場所での空気が描けなくなると、人はどう変化していくのだろうか?ネットの中に書かれていたアメリカの話で「SEXは大丈夫か」というのがあった。安全を考えるなら、自分で慰めるのが一番安全だと書いてあったが、本当にそういう時代に入るのかもしれない。そうしたら、日本の少子化はなお進むのかもしれない。はたまた、人工授精が普通になる時代になるのかもしれない。

人と人の距離間の取り方というのは、生きる上でも、商売する上でも実に大事なことなのだと思う。その触感というものが全くなくなるとは思えないが、今回のことで、少なからず、そこに恐怖心を持つ人は増えるだろうし、人見知りの人が生き残る時代になるかもしれない。少なくとも新しい時代のコミュニティ能力というものが作り出される気はする。

それは、誰も書くことなかったSFの世界なのか…?

書きながら、恐ろしくなってきたが、「キス」や「ハグ」が何気なく、熱くできる日が戻ってくることを願うばかりである。

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