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「おカネの切れ目が恋の始まり」予定の1/3でどうまとめるのか?初回を観てもったいないと思った。
コロナ禍で、放送がのびたと同時に、三浦春馬さんの訃報で、どうなるのかと思ったこのドラマ。三浦の遺作という部分もあるだろうが、お蔵にするにはもったいないということの方が大きかったのかもしれない。初回を見る限り、後が観たくなるドラマである。
テーマが「お金」ということもあるが、まず主演の松岡茉優の演技がハマっている。「あまちゃん」で初めて見たときに比べると、本当に女優さんになっている。相手役の三浦春馬を上回る存在感なのは確かだ。そして、三浦も、「コンフィデンスマンJP」などで身に付けたチャラい演技が板につき、松岡とのコントラストはうまくできている。最後の蕎麦屋のシーンで、小使い帳に書き込むシーンで、次回への期待を十分に込めている。ここでの三浦の優しい顔に未来が見えるのだが…。
脚本は「凪のお暇」の大島里美のオリジナル。TBSは女性脚本家でドラマの主導権を取り返した感じだ。最近の安定感は、ドラマのTBSの名の復権を感じさせる。
舞台は、おもちゃ屋らしい。でも、社内の舞台が経理なので、おもちゃがまだ、あまり出てこないのは残念な気がする。どういう会社かいまいちわからない。が、あくまでも主役は「お金」の話なのだろう。それについては堅物と見せていた松岡が、最後に男に貢いでいるという流れも、話の持って行き方に興味が出る。お金は、貯めて、溶かすものなのか?
今回は、北村匠海が金に困っていて、交通費などの経費を細かく横領していた話である。こういう話は結構世の中にあると思う。そして、お金が人を動かしてしまっているという状況が、世の中を負のループに陥れる。このコロナ禍で、これを見て同じ方法を考える人さえいる気はするが、実際は出張自体がなくなっているし、新幹線の切符も高額で売れる状況ではない。本当にお金が動かなくなっている中でこのテーマはありか?なしか?とも思う。
ドラマは、結局4回分撮ったもので構成されるらしいから、ドラマ全体としては、どうやっても中途半端になるだろう。だが、三浦の最後の姿をファンに見せてのお別れというところなのか?彼の死因はよくわからないが、このドラマやコロナ、俳優としての立ち位置など、いろんなものが混沌とした中にあるのだろう。今回はそんな細かいことは考えずに、彼の笑顔溢れる演技を見てあげようというところ。
ただ、最初にも書いたように、松岡茉優の演技がなかなかキレているので、フルで見たかった感はやっぱりある。松岡自身も落ち込む状況にもあっただろうが、更に主演作をとも思わせるドラマだ。
主演俳優が亡くなって、代役を立てるということも考えたのだろうが、コロナ禍でのドラマの作りにくさもあったのだろう。そしてスタッフ、キャストの三浦春馬さんへの敬意も感じる4回のドラマ。十分に楽しめたらいいかなと思いました。