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突然訪ねてきた『ヤツ』
あれは昼食のパスタを食べている時だった。
『LINE♪』
着信音がなった。
なんだろうとメッセージを確認すると
ヤツからのメッセージが届いていた。
着く?
走るのはいいんだけど...着く?どこに!?
まさかと思って玄関に出ると、ヤツがそこに立っていた。
兄である。
状況が理解出来ず、ポカンとしている僕に兄はひと言、
「感染拡大しないように家の中には入らないよ!外で待ってるね!」
んーっと。
ちょっと待って、そこじゃない。
そうだけど、そうじゃない。
普通、連絡してから来るだろ!笑
と思いながらも、僕はもぐもぐしていたパスタを一気に飲み込んだ。
◆
今回は『おバカ兄弟』の、ただの休日の出来事です。
史上最高に益のない無駄話かもしれませんが、無償の愛で読んで頂けると嬉しいです。
(⚠️走る際は人混みを避け、人とすれ違う際も十分に距離を取るなど感染対策に配慮しました。
ただ、兄と2人で走っていることは事実です。気分を悪くされそうな方はここでお引き返し下さい。)
◆
『ちょっと』走ろうぜ
「天気も良いし、ちょっと走ろうぜ。」
そう言って、突然兄が家に押しかけて来ました。
僕はすでに朝にも走っていましたが、『ちょっと』その辺を走るくらいだし、天気もいいし、せっかく兄が来てくれたし!と思って走り出しました。
・
兄は美容師なので、休みはだいたい平日です。
そして僕もこれまでずっと陸上競技にドップリでした。
そのためこれまでなかなか予定が合わず、会える機会もかなり少なかったもので、一緒に走るなんて何年ぶり?と言う感じ。
コロナの影響によりお互い時間が生まれ、急遽珍イベントが発生。
だから事前のアポなし、そしてパスタの消化が追いつかず腹痛を抱えながらのランニングでも、気持ちは『らん♪らん♪』でした。
ランだけに。
◇
海まで行こうぜ!
ランニングをしていると気分が良くなってきて、『もう少し行けるんじゃね?』ってなる事ありませんか!?
その日も走り出してすぐ、2人揃ってスイッチが入ってしまいました笑
「海まで行っちゃう??行っちゃお!!」
そんなノリと勢いで『ちょっと』東京湾まで行くことになりました。
こっちは大丈夫だけど...兄貴、大丈夫!?
若干心配に思いながら走ってるうちに、目の前に大きな登り坂が見えてきました。
...と次の瞬間。
兄の姿が視界から消えたんです。
なんと、登り坂でダッシュをし始めたんです。
「マジかマジかっ!💦」
と驚きながらも冷静に対処。箱根の坂でもそうでしたから笑
僕に追いつかれた兄は、息を切らしながら一言。
「くっそ〜追いつかれた!離せなかった!笑」
兄に追いついた僕は、たいして息も切らさず一言。
「箱根ランナー舐めんなよ!笑」
舐めんなよとは言っても、登り坂でダッシュする人は僕の知る限り『大迫傑選手』(マラソン日本記録保持者/NIKE)か、『米満怜選手』(箱根1区区間賞/コニカミノルタ)くらい。
兄の背中に、何かキラリと光るものを見た気がしました。
...が、それはただの汗でしたぁ!笑
でも、僕も登り坂を見てテンションが上がるタイプ。
やっぱり兄弟なんだなぁと感じた場面でした。
登り坂の度にそんな茶番を繰り返しているうちに、東京の名所の1つ『東京タワー』が見えてきました。
◇
東京タワーと鯉のぼり
普段なら観光客でごった返しているであろう東京タワー。
しかし、鯉のぼりだけが「パタパタ〜」と寂しそうに泳いでいました。
ただそれがまた悲哀で、皮肉にも味わい深い光景でしタワー。
東京タワーだけに。
おっと。せっかくの雰囲気をぶち壊してしまっタワー!
...失礼しました笑
でも雲ひとつない青空に鯉のぼりが泳いでおり、それはそれは綺麗な光景でした。
小さい頃に家族で一度だけ来たことのある東京タワー。
そんな思い出話に花を咲かせながら、写真を数枚パシャリパシャリ。
なかなか兄と会えていなかった時間を埋められたような気もしました。
◇
『増上寺 × 区間賞』知られざるエピソード
東京タワーに別れを告げ、再び走り始めるとすぐに大きなお寺が見えてきました。
増上寺です。
増上寺と言われて『ピンっ💡』と来た方、箱根オタク検定2級を差し上げます。
増上寺と言えば、箱根駅伝の1区と10区のコース上にある大きなお寺です。
そして、これまた知られざるエピソードがあるんです。
・
箱根駅伝に出場できる大学はわずか20校。
出場できない大学の部員は黄色いウインドブレーカーを着用し、寒い中コースに背をむけて走路員をします。
創価大駅伝部は今年、3年ぶりに箱根駅伝に出場しました。
3年ぶりということは、去年とおととしの2回、出場を逃しています。
つまり、2年間コース上にて走路員をしていました。
走路員は大学ごとに担当場所が割り当てられ、その場所の交通整備やゴミ拾いなど、大会を円滑に進めるために協力するのが役目です。
そして創価大が任された担当場所、それが『増上寺』でした。
走路員をした時のあの屈辱は、今でも忘れません。
そして今年、その悔しさを晴らし箱根駅伝に出場。シード権の獲得。
中でもシード権獲得に大きく貢献した2人の選手。
左:米満怜(区間賞) 右:嶋津雄大(区間賞・区間新)
2人とも、それぞれの区間で区間賞を獲得しています。
この2人が走った区間が『パッ💡』と分かった方、箱根オタク検定1級を差し上げます。
そう。
この2人は1区と10区を走り、2人とも区間賞をとりました。
...1区と10区?
そう!
走路員をした、あの増上寺の前を走る1区と10区です。
悔しい思いをしながら交通整備・ゴミ拾いをした『増上寺』。
その増上寺を通過する2つの区間で区間賞。そしてシード権獲得。
あの時の経験や行いが、少しは役にたったのでしょうか。
増上寺も味方してくれたような、なんとも不思議なエピソードでした。
(☝️2年前に走路員をした時のツイート。)
...んで!
そんな増上寺の大きな階段を兄と共に駆け上がり、今年の箱根のお礼と、来年の箱根の善戦を祈願し、お参りしてきました🙏
◇
兄弟の盃
増上寺を過ぎたら海はもう、すぐそこ。
海を前にして喉がカラカラな『おバカ兄弟』。
そこで何を考えたかというと...
兄「海を見ながら、一杯やっちゃう?」
僕『いいけどちゃんと帰れる?まぁ帰りは少しアルコー(歩こう)か。アルコールだけに。』
兄「1本じゃ酔わねぇよ。なんなら2本目アンコールしちゃう?アルコールだけに。」
僕『箱根のスポンサー、サッポロビールで大人エレベーター登っちゃおっか!』
くだらない会話が飛び交うあたり、やっぱり兄弟なんだなぁと思った場面でした。
青い空と青い海。潮の香り。
それらをツマミにグビっと一杯。
『乾杯をもっとおいしく』サッポロ。久しぶりの兄弟の盃。
それは、これまで飲んだビールの中で一番美味しいビールでした。
◇
その後、(多少色々ありながらも)無事それぞれの家にたどり着き、ノリと勢いの男旅ランニングを終えました。
兄の「ちょっと走ろう」から始まった、自宅⇆東京湾往復ランニング。
兄の『ちょっと』は二度と信用しません。
信用はしないけど、いつかまた一緒に『ちょっと』走りたい。
そしてその『いつか』は、意外とすぐにやってくるのかもしれません笑
◆
今回の男旅ランニングで、
『家族っていいなぁ。兄弟っていいなぁ。』と改めて思いました。
モンゴル800の小さな恋のうたの中に、こんなフレーズがあります。
♪ほら、あなたにとって大事な人ほどすぐそばにいるの
会いたい人に会えない、行きたい所に行けない日々。
でも、家族と過ごせる時間が増えた人も多いはず。
今のあなたにとって大事な人は、すぐそばにいる人。
逆に一緒に過ごす時間が多くなったことなどもストレスとなり、DV被害も増加しているようです。でも、
今、すぐそばにいる人は、あなたにとって大事にすべき人。
行動範囲が極端に狭まったことで、これまで灯台もと暗しだった身近な所に目を向ける良い機会。
(☝『ペットボトルに反射した虹を捕まえた』の図🌈 )
『ちょっと』した身近にある、『ちょっと』した小さな幸せに気づくのが、自粛期間を乗り越える『ちょっと』した秘訣なのかもしれません。
僕の言う『ちょっと』なんて、説得力がないのかもしれませんが!笑
・
今日もつっきーの無駄話を聞いて下さりありがとうございました。