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楽願・平山と美術 【青山学院大学文学部比較芸術学科】




はじめに

現在、私の数ある趣味の中でも結構今アツい感じになっている美術館巡り・美術鑑賞。
だが、こうなったのは大学生になってから。いや、なんなら「趣味」と呼べるようになったのは大学4年生の時、卒業論文を書き進めていっているうちにかもしれない。それまでは、小・中学校の美術の時間で絵を描いたりすることは好きだったものの、自分で美術館を訪れたことは一度もなかった。(でも、小学校の頃は絵で表彰されたことは度々ある。区役所やバスに飾られたこともある🚌)

青山学院大学文学部「比較芸術学科」というところに入って、そこで美術を好きになり、今の自分に繋がっている。前回の投稿からだいぶ時間が経ってしまったこともあり、今回はそんな私なりに「美術」の素晴らしさを、たっぷりお届けできればと思う。


青山学院大学文学部「比較芸術学科」への入学

まず時を私の大学入試まで遡ると、私は本当は青学の文学部の、「史学科」に行きたかった。「絶対青学!」というよりは、MARCHのどこかの大学の史学科に入って、元々好きな歴史をたっぷり学んでみたかった。
なので、高校3年間情熱を注いだ陸上の実績を利用してスポーツ推薦で大学に行くという選択肢は取らなかった。これを取ると、学部の選択肢が極端に狭くなってしまうからだ。
ただ現役の時は、インターハイが終わって部活を引退した8月まで日本史以外ろくに勉強してなかったもんだから、滑り止めも含め入試に全敗し、浪人することが決まった。

ただ、現役の時も浪人の時も、青学の史学科に行きたい。その軸は揺るがなかった。
そして全敗から1年後の入試本番。科目、配点、問題傾向も史学科と全く同じ入試スタイルで行われる唯一の比較芸術学科の個別入試(※今の入試スタイルは違う)を、半ば予行演習みたいな気持ちで受験した。そして蓋を開けてみたら、史学科には落ちていて比較芸術学科にだけ受かっていた。
全然、まじで、普通に、嬉しかった。大学自体は青学が第一志望だったわけだし、一応文学部だし、模試も良くてD判定、私にとっても歴史上でも最後のセンター試験も、普通にコケた浪人の私なので、素晴らしい逆転合格だ。倍率約8倍を勝ち抜いた(この年の史学科より高い)。

だいぶ話が逸れしまったが、嬉しさは感じつつも美術を意欲的に学びたい!という熱はこの時は正直、無いに等しかった。なんなら、映画や日本の古典芸能をメインで学んでみたいと思った。
比較芸術学科は、1〜2年まで西洋美術、日本・東洋美術、西洋音楽、日本・東洋音楽、日本古典芸能、西洋演劇、映画・映像を広くまんべんなく学び、3年次からいずれかの分野に絞りゼミに入り専門的に知識を深め、4年での卒業論文に繋げていく、という流れの学科だ。めっちゃ珍しい。ここだけかも。

ぶっちゃけ、私は映画のゼミが第一志望だった。もちろん映画は好きだったが、映画の授業を受けている周りの人たちはもう、生粋の映画ヲタクばっかり。そんな方々と最も倍率が高い映画ゼミを競って勝てるわけがない。それでしっかり落ちて、第二志望の西洋美術(時代は中世〜ルネサンスがメイン)のゼミに入ることになった。ただこれが、間違いなく大きなターニングポイントだった。今では、この時映画ゼミに落ちて本当に良かったと思っている。


ヒエロニムス・ボスという画家との出逢い

ヒエロニムス・ボス《快楽の園》 1503〜1504年頃 
油彩、板 220cm×389cm
マドリード、プラド美術館
出典元:Wikipedia

3年の前半、ゼミに入った時点では、ただ課題をこなすだけの大学生だった。今思えば、情けない。ただ、3年後期のレポート課題に際し、「ヒエロニムス・ボス」という画家に出逢った。彼という芸術家が、私に「美術って面白いよ!」と導いてくれた。

その時期は、翌年に人力舎の養成所・スクールJCAに入るために陸上部を辞め、意識高い系の周りの友人たちが次々に就活を始めていく中で、JCAの入学金60万円を稼ぐためにバイトに入りまくっていた時期。正直、不安を感じることも多々あったが、「生きている」という確かな手応えがあった。

そんな時に、そんな時だったからというのもあるのか、ボスのとある絵に出逢い、彼の絵から溢れ出てくる生命のエネルギーというか、「これが俺の人生だ!」と言わんばかりの、壮大な作品に沼ってしまった。ちなみにその作品とは、彼の代表作としても有名だが《快楽の園》。もっとこの絵から放たれるエネルギーの真髄を知りたい。彼の他の作品も見てみたい。この作品が、私が美術にどっぷり浸かることになるキッカケだった。いつか、ボスや《快楽の園》についても改めてnoteに書いてみたいと思う。

卒業論文は、ボスの作品も何点か取り入れつつ、お笑い養成所と文学部比較芸術学科西洋美術専攻ゼミの両方に所属している自分だからこそ書ける、いや自分にしか書けない論文を書いてやろうと思い、とても意欲的に執筆を進めることができた。25000字の力作を書き上げ、最後の論文発表の際には、教授からお褒めの言葉もいただくことができた。

ちなみに、少し脱線するがJCAの授業を休んだのはこの論文発表の際のみ。JCAではずっとAクラスに所属できていたことで、ゼミの曜日と被ることなく、なんとゼミも皆勤で青学を卒業できた。これは本当にもう、相方・茂木くんのおかげというほかない。茂木くんのおかげで大学もJCAもしっかり卒業できました。ありがとうございました。

これはもはやコンビでもらった証書🎓


そして卒業する時にはもう、展覧会開催情報をこまめにチェックするほど美術が大好きになっていた。比較芸術学科に入ったから、今の自分がある。

ただ、ここで得た財産は自分の感性だけではない。今もライブに来てくれたり、定期的にご飯や飲みに出掛ける友人にもこの場所で出逢うことができ、本当にこの学科に入ることができて良かったと、心の底から思っている。1年間、プロスピを断ち勉強を頑張ったあの頃の自分を、心の底から褒めてやりたい。
改めて、これからの人生で大学受験を控えていて、このnoteを読んでくださったそこのあなたには、是非オススメさせていただきたい学科です。


平山流・美術館の楽しみ方

2024年夏、東京都美術館で行われた「デ・キリコ展」にて
32期の美術好きメンバーと共に。左から同期の
サモエズ下田、ぶれんどしっぷ藤原、パンダジア神谷

私はまず、美術館の空気がとても好きだ。落ち着いていて、当たり前だけど室温も本当にちょうど良くて、匂いも好き。

そして、比較芸術学科で学んだからこそ得られた感性なのか分からないが、私が思う音楽や舞台、映像芸術と比較しての、特筆すべき美術の素晴らしさは(もちろん他分野の芸術も本当に素晴らしいし好き)、「好きな作品を好きな角度から、好きなことを考えながら、好きなだけ味わえること」だ。

時間が永遠なのは、美術ならではの醍醐味。「ああ、見逃しちゃった!」「聞き逃しちゃった!」みたいな事を感じることはない。心を乱すノイズが全くない状況だから、好きなだけ、目の前の作品だけに没入できる。
そして、そんな作品が沢山集結した美術館、さらにテーマや画家で絞られ整理された展覧会は、もはや今の私にとっては天国だ。

ただ私は、作品だけに没入する以上の楽しみ方をしている。比較芸術学科で学んでいた時に「展覧会批評レポート」という課題があり、そこで美術館や展覧会そのものについてもじっくり考えながら周る癖がついた。その経験があり定着していたおかげで、展覧会ごとの特色や違いに気づき、「ここをこうしたらもっと良くなるかもな」という一歩踏み込んだ楽しみ方を実践できている。これがうれしい。

作品が時代順で並んでいるものもあれば、ジャンルごとに並んでいるものもある。そのスタイルは本当に展覧会によって様々だったり。
子供でも楽しみやすいように、作品についての説明がひらがな多めだったり、目線がちょうど良くなるような位置に表示されていたり。
階を移動する時の階段の壁に、作品とは直接的に関係のない、作者の小噺が載ってたり。
なるほど、こういう団体もこの展覧会に後援として携わっているのか!と驚いたり。

個人的にはこういった、細かい思いやりや、より良く作品を楽しんでもらいたいという美術館側が施してくれた工夫の発見に、とても心が震える。

さらには、この並んでいる順番は、どういう会議で決まっていったんだろう。順番全てに意味があるのかな。壁の色はこれ、展覧会ごとに変えているのかな。この壁の色があって、ここにこの作品を置いているのかな。
そういった、作品ではない部分にも興味をそそられる。こういう、作品以外の美術館や展覧会そのものにアンテナを張って周ってみるのも、とても楽しいので、これは是非オススメさせていただきたい。


おわりに

いかがでしたでしょうか。大学のゼミでは、時代としては西洋の中世〜ルネサンス期にかけてを専攻して、そこに沼ってしまった私ですが、こうなってしまうと、もう美術の流れを、歴史を学びたい!そういう意欲に駆られ、現在私は「美術検定」の2級の勉強をコツコツですが頑張っています。

最後に、私が日々触れている美術系のメディアを紹介させていただいて、結びとしたいと思います。
私も、知識も興味もゼロから入ったので、初心者の方でも、なんなら初心者の方だからこそ楽しめるものを紹介させていただきます!私も今も欠かさず見ているものです。ぜひご参考に!!🖼️


本→「西洋・日本美術史の基本」

美術検定の参考書にも使わせていただいている本。西洋だけでなく日本の美術についても、その歴史をざっくりと網羅できる。カラーで見やすく、美術とだけあって作品もたくさん載っているから勉強本という感じもしないで知識をつけることができる。


テレビ→「はじめての美術館」

村山輝星ちゃんと元ラーメンズ・片桐仁さんが美術館を訪れる番組。本当に、美術への興味の入口としてピッタリすぎる。日曜日の朝にやっているというのも嬉しい。その日放送された美術館に「え!よし、今日行ってみよう!」と思って、行けるから。


YouTube→「山田五郎 オトナの教養講座」

本当に、ただ見ているだけで美術への興味も造詣も深くなっていく。ただの知識のひけらかしではなく、初心者目線に寄り添って一つ一つを丁寧に教えてくださる山田五郎さんの優しい人柄も相まって、心までほっこりする。めっちゃオススメ。

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