漫画『月影ベイベ』と八尾めぐり
【私のユルユルな聖地巡礼日記ですが、よろしければユルッと見ていってください】
我が故郷富山の八尾町では、毎年9月に「おわら風の盆」というお祭りが開催されます。
https://www.yatsuo.net/kazenobon/
毎年おわらシーズンには他府県の方もたくさん訪れ、町全体で気合いを入れている富山の一大イベントです。
しかし今年はコロナの影響でおわらも残念ながら中止に…。
ということで今回はおわらについての思い出や大好きな漫画について振り返りたいと思います。
私は八尾町出身ではないものの、学生時代は八尾の学校に通っていたので、八尾にはたくさんの想い出と深い親しみがあります。
しかし黒部ダム同様、いつもそばにあるものゆえに「いつでも行けっちゃー(いつでも行けるわ)」精神のもと、そういえばゆっくり旧町を見て回ったことが一度もないなあとある時気がつきました。
おわらのお祭りもお友達と浴衣を着て遊びに行ったことはあるけどその時はおしゃべりや屋台の唐揚げに夢中で、ゆっくりおわらダンスを見ていないし、(それはそれで楽しい青春の想い出ですが)
おわらに触れたのは学校の運動会の時に全員でおわらを練習して踊るプログラムで、その時に本場旧町の子たちがステージの上で踊るおわらを見たのが初めてで。
そのステージ上の旧町の子たちのおわらは、私たちのような他の町や村からきた素人おわらと違い本当に素敵でかっこよかったので「せっかく八尾にいたのだから祭りの時にもっとおわらのダンスをしっかり見に行けばよかったな…」と今になって思います。
(お盆休みと微妙にずれるので、関西にいる今はおわらシーズンなかなかお仕事が休みじゃないので行けないんですよね…)
話は変わりますが、私は幼少の頃からずっと漫画が大好きで、京都に移り住んでからの大学生時代は近所のイオンに野菜を買いに行くたびに大垣書店に漫画チェックに行っていました。
表紙買いは中身が好みと一致しない事も多いので、大抵の場合は継続して買ってる漫画の新刊と好きな作家さんの漫画しか買わないのですけど、ある日とても惹かれる表紙の漫画を見つけました。
小玉ユキ先生の「光の海」という作品。
私の中でフラワーコミックスさんの漫画は
・ちゃお系の可愛いヤング向け漫画(やぶうち優先生やあらいきよこ先生が好きです♪)
・お姉さん向けのちょっとエッチな漫画(おませさんなお友達に借りて読んだことがあります)
に分かれているイメージで(あくまで私のイメージですすみません笑)、
お姉さん向けの方は自分にはちょっと刺激が強いのであまり自分で買うことがなかったのですが、これはそういう感じもなく、あまりに素敵な表紙ですので思わずレジに持って行きました。
家に帰って読んでみると、表紙だけでなく中身も美しい絵と素敵なストーリーで、表紙買いでこんなに素敵な作家さんに出会えるなんて奇跡!と嬉しい気持ちになり、それ以来小玉先生の作品は出るたびに買っています。
そしてしばらくして、小玉先生の作品
「坂道のアポロン」が連載されます。
私は幼稚園ぐらいの頃からピアノを習ってはいたのですが、練習サボリ魔だったので楽譜もよめないし、大学進学してレッスンをやめてからはますますピアノから遠ざかってしまっていました。
あまりお金に余裕もない中毎月レッスン代を払ってもらっていたのに、それが身になっていない、活かされていない、むだになっていて申し訳ないという思いがあり、ちょっとしたピアノコンプレックスになっていました。
のだめカンタービレなども面白くて好きな作品なのですがそういうピアノ関係の作品を見るたびに「この子はこんなに立派にピアノを弾いているのに私は…」的な感じで胸が締め付けられるのでアポロンも最初の頃は実はしばらく読めずにいました。
しかしそんなアポロンがアニメ化する!と知って、
デビューから好きだった作家さんの漫画がアニメ化するのはやっぱり嬉しいし
しかも主題歌はJUDY AND MARY時代からファンで、ファンクラブにも入っているぐらい大好きなYUKIちゃん(さん)!
しかも主人公はわたしと共通点のある名前だし、そしてピアノ弾き!
これはもう勝手に運命を感じて、急いで一気に読みました。
これがまた、切なくて、アツくて、とてもいい作品!!!
アニメ版も、ラストは原作とちょっと違うんですが、こっちもまた素晴らしい!
YUKIちゃんの主題歌も、菅野さんの音楽も、作画もキャストもみんないい!!
ピアノコンプレックスの傷はうずくけど、それでもやっぱり大好きな作品になりました。
そんな時、お歌の相棒ぴんくたんと、ギターの馬様と一緒に高槻ジャズストリートに出ようよ!という話になり(高槻ジャズとは、町全体がジャズの演奏会場になっていろんなお店でそれぞれ素人さんやプロが入り乱れて演奏をするお祭りです。)、
ハーモニーユニット「る~ぴ~」の原点となる伝説の(笑)、「しるぴ~」が結成されました。
しかし、相方は少しジャズを習ったりしているものの3人ともほぼジャズは素人だし、
クラシックピアノしかやったことのないるんたんはコードもアドリブもチンプンカンプンで何をやったらいいかよくわからないし
一体何の曲をやったらいいんだろうと困っていて
そんな時にアポロンのサントラを2人におすすめしたところ、
馬様は菅野よう子さんの大ファンだし、ぴんくたんも気に入ってくれて、
アニメ坂道のアポロンから「坂道のメロディ」、「My Favorite Things」「バードランドの子守歌」のアポロンバージョンをやろう!となりました。
その他にも「Fly me to the moon(エヴァンゲリオンバージョン)」「はじめてのチュウ クレモンティーヌさんボサノババージョン」「HEAVEN(ペルソナから)」「馬様の押尾コータローさんギターソロカバー」など、
ジャズの猛者たちの中、ジャズとはとても言えないけれど私たちらしいラインナップでお届けしました。
これが私たちには初めてのライブだったので、みんな本当に必死に取り組んでいたし、ぴんくたんはメインボーカルのほか、大変な豪華水玉フリルもりもり衣装を作ってくれました。
わたしのピアノがあまり多くは入れられないので伴奏のほとんどは馬様が負担してくれましたが、慣れないジャズ曲もたくさん練習してすてきな演奏をしてくれたし
私も「今まで習ってきたピアノはこのためだったんだ!」と人生で一番ピアノを練習して、チラシも張り切って作りました。
本番は本格ジャズの猛者達の中でナンチャッテすぎて浮いていたし緊張や練習不足もあって動画公開できないぐらい失敗もしてしまったけど、
初めてのライブはとても達成感があったし、(その後、馬様が抜けてるーぴーになってしまったけど)今の活動の原点にもなっていたので非常に思い出深いものとなりました。
★せっかくなので「しるぴ~」の「fly me to the moon」(エヴァンゲリオンバージョン)♪
https://www.youtube.com/watch?v=SjSP_O6Ofjk
前置きが長すぎましたが(笑)
そしてしばらくしてある日、また小玉先生の新刊が出るということで、いつものように本屋さんへチェックに行きました。
単行本派なので内容もわからずタイトルだけをたよりに「月影ベイベ」を探していると、なんだか見覚えのある服装・背景の表紙…
えっ…おわらっぽいけど、、、
でも似た衣装の盆踊りとか全国にたくさんあるし…
有名って言ってもそこまでみんな知ってるもんじゃないし…まさかね!
などと半信半疑であらすじなどを見てみると、なんということでしょう!
ただでさえ前述のアポロンの時に(勝手に)運命を感じていた小玉先生が!
わが母校とその町を舞台におわらを題材にした漫画を描いてくださっている!!!
あまりのできごとにレジに持って行く手がふるえました(笑)
見覚えのある風景に、3年間慣れ親しんだ校舎、聞き覚えのある方言…
それだけでもうありがたい気持ちになりますが、内容もミステリアスで切なくて美しい素晴らしい作品です。
しかもさらに感動したのが、おわらという題材をとても丁寧に描いているばかりか、ヒロインの蛍子さんの着ている制服と回想で出てくるそのお母さんの制服がちゃんと新制服と旧制服で描き分けられていて。
そんなのって実際に通っていた生徒や先生ぐらいしか気が付かないし、きっと今の生徒たちも昔の制服なんて知らないのに、
おわらや制服を単なるモチーフとしてではなく、そこで生きるキャラクター達が本当に実在するかのようにリアルに丁寧に描いてくださっているところに、胸がいっぱいになりました。
じつはこの制服、私たちの代の時に新制服と旧制服が入れ替わったので、私はその両方を持っているのです😎(得意気)(シワシワ)
そんな八尾でおこなわれた月影ベイベ展に、以前帰郷して足を運んだのですが(なんと2014年の写真)(画素数…笑)
その時はゆっくり町を散歩できなかったので、聖地巡礼リベンジを!と思い、その後1人八尾めぐりをしたのが2015年。
田舎、富山は車社会ですので、まず八尾にたどり着くのも一苦労!
実家から最寄りの駅が、まず、徒歩で1時間弱(”最寄”とはいったい…)
そこから、休日でも2両しかない懐かしい高山線の汽車にのって、いざ、八尾駅!(しっかり月影ポスターも貼られています!)
なつかしい駅!駅前のコンビニはまだやっているかな?と思って寄ってみると、なんと、この日はお休みでした(笑)
でもあの時のお店のお母さんのお姿が見えて懐かしい気持ちになりました。
朝にお友達と寄ってお昼ごはんのおにぎりやパンの争奪戦をしたことや、ソフトクリームを頼むとお店のおばあちゃんが機械から出てくるクリームを巻いてくれたこと。
それがへたくそですごい形になってしまうんだけど、おばあちゃんとお友達と思わず笑ってしまったり、もう戻らない時の楽しい思い出が蘇ります。
本当は母校にも寄りたかったけど、何せ徒歩移動なので時間がなく、断念!
今回は旧町のあたりをお散歩することにしました。
懐かしい景色!!!
月影ベイベにも出てきた、あの橋!!!
ぼっちのため、自撮りしかできない…と思ったら、一眼レフを持った凄腕そうなおじさまを発見し、
「ちょっとこのあいふぉーんを…」とシャッターをお願いしました🙏
さすが一眼レフユーザーのおじさま、構図がとってもお上手です!ありがとうございました♪
そして、諏訪町のあたりへ…
おわらシーズン以外も曳山会館ではおわらが見られるのですが、
この日は残念ながらおわらのない日でした…残念!
でもかわいいお土産などをゲットしました。
月影の作中でも描かれていた、あの町並み!(この時めっちゃ痩せてる私…😂)
第五話の扉絵になっていた、あの階段で、お地蔵様にご挨拶をして
セルフタイマーで、扉絵を再現!
(ご近所の方とかが歩いていてとてもはずかしかった😂)
本当はどこかでランチとかお茶とかしたかったけど、何せ電車を逃すと平気で2時間待ちとかになるので(笑)断念。
結局あまりゆっくりはできませんでしたが、町のおじさまおばさまも皆さん温かく、この辺は学生時代も数回しか来たことはないけど懐かしい感じがして嬉しかったです。
お土産屋さんや道端で「旅行ですか?どこから来られたがですか?」と何度か聞かれるたびに
「あの、京都から来たんですけど実家が富山で学校は八尾だったので…」と、ややこしいくだりを何度か説明することになり、なんだか申し訳なかったです(笑)
そして、こうなるとまた次はおわらシーズンに今度こそおわらを見に行きたい!と思い、地元の友達と一緒に久々のおわら参戦!をした2017年。
おわらダンサーの皆様、本当に美しい😭!!
私もおわらの輪に加わってみると、体が踊りを覚えている!!と何だか嬉しくなって自然と笑顔がこぼれます(笑)
学生時代は同じクラスの八尾の子達がおわらシーズンに早退していくのを不思議な気持ちで見送っていましたが、その友人達にも一人一人色んなドラマがあったのかなと、そんな身近にあったはずの故郷のお祭りを漫画を通してもっと好きになって、初めて隅々楽しむことができたように思います。
改めて小玉先生、わが故郷を素敵な漫画にしてくださり、ありがとうございました。
我が家に飾ってある複製原画。
最後に、小玉ユキ先生の最新作「青の森 器の花」も最高にドキドキして面白いので超オススメです!
是非読んでみてください。