虹の向こうに ~①誕生~
昭和45年、結婚して2年目のトモさんとヤスコさんのお家に、マコちゃんが誕生しました。生まれたときの体重は3025グラム。大きくもなく、小さくもなく、よく眠る元気な赤ちゃんでした。
ヤスコさんのお仕事は看護婦(今でいう看護師)さん。大きな病院で働いていて毎日大忙し。マコちゃんを産んでからも、短い産休の後、すぐに仕事に復帰しなければなりませんでした。
トモさんのお仕事は盲学校の先生。トモさんは生まれつき右側の目が悪く、いわゆる半盲といわれる盲人(目の不自由な人)。
盲学校では、按摩、針灸、マッサージを教えていました。
そんな二人の間に生まれたマコちゃんは、ゼロ歳から保育園にあずけられました。担任の先生はトシコ先生。毎朝、マコちゃんはとても早く保育園にあずけられました。
そしてもう一人、とても早く保育園にあずけられている男の子がいました。
3歳のシゲちゃんです。シゲちゃんは毎朝マコちゃんが登園すると、
妹が来たみたいに喜んでマコちゃんを迎えてくれました。
しかし・・・
ヤスコさんはとても忙しかったので、いつも帰りが遅く、延長保育の時間を過ぎてもマコちゃんをお迎えに行けませんでした。
でも、園長先生夫妻はとても親切な方だったので、保育園を閉まった後、
マコちゃんは園長先生のお家で過ごしていました。
そして・・・
ヤスコさんは、いつも遅い時間にマコちゃんをお迎えに行っていたので、
園長先生に対し、感謝の気持ちと申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
マコちゃんに対しても「いつもお迎えが遅くなってごめんね」という
気持ちでいっぱいでした。
そこで・・・
ヤスコさんは、少しでも早くお迎えに行けるよう、休みの日に教習所に通い車の運転免許を取ることしました。トモさんも「ヤスコさんが運転出来たら助かるね」と大賛成でした。
ヤスコさんは数カ月後、運転免許を取り、職場にも保育園にも車で行けるようになりました。
- 続く -
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