太平記 現代語訳 5-6 護良親王、危機一髪

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この現代語訳は、原文に忠実なものではありません。様々な脚色等が施されています。

太平記に記述されている事は、史実であるのかどうか、よく分かりません。太平記に書かれていることを、綿密な検証を経ることなく、史実であると考えるのは、危険な行為であろうと思われます。
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大塔宮・護良親王(おおとうのみや・もりよししんのう)は、奈良の般若寺(はんにゃじ:奈良市)に潜伏しながら、笠置寺攻防戦の情勢をうかがっていたが、

護良親王 ナニッ! 笠置はすでに陥落、陛下は、囚われの身になられたと・・・うーん・・・。

虎の尾を踏むがごとき危機、親王の身に迫り、天地広しといえども、我が身を隠す一寸の場所も無し。明らかに輝く日月の下にありながら、冥土の闇の中にさ迷うかのごとき心地。昼は野の草むらの中に隠れ、露おく緑の床に涙を落とし、夜は人里離れた村に佇んでは、人を見て吠える里の犬に悩まされる。安心して身を落ち着ける場所は、どこにも無い。

護良親王 (内心)しばらくの間だけでもえぇから、どっか、身ぃ隠せれるようなとこ(所)、ないかいなぁ。

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どこからどうやって探り当てたのであろうか、ある日の未明に突然、興福寺の一乗院(いちじょういん)の按察法眼・好専(あぜちほうげんこうせん)が、500余騎を率いて般若寺へ押し寄せてきた。

おり悪しく、親王に付き従っている人々が全員出はらっているので、ひとまず防戦し、それから逃走、というわけにもいかない。寺内くま無く、捜索隊の者らが押し入ってきているから、何かに紛れて脱出することも不可能。

護良親王 (内心)こないなったら、自害あるのみや!(モロ肌を脱ぐ)

護良親王 (内心)いや、待て、待て! 腹を切るのなんか、簡単な事やんか。もう、どないしょうもないっちゅうトコまで、行ってしもてからでも、切れるやんか。万に一つの希望に賭けて、どこまで隠れ通せるもんか、とことん、やってみよ!

そこで親王は、仏殿にかけ込んだ。

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