黒目が外にずれる【間歇性外斜視】について
眼科に来る斜視の患者さんの中で一番多いのが【間歇性外斜視 かんけつせいがいしゃし】です。
「あれ?うちの子視線が合わないな。」
「目がまっすぐ向いたり、外にずれたりしている。」
「友達に指摘されて嫌だった。」
こんな経験はありませんか?
以下に書くことは、最初の記事に書いたことと重複する部分が多々ありますが、大事な共通項ですのでもう一度書きます。
間歇性外斜視とは、どちらかの目が時々外を向いているという状態です。時々ですのでまっすぐのこともあります。子供のころから発症する人もいれば、大人になってからの人もいます。
眼科に来たらまず問診を取られます。
・いつから
・どちらの目が
・時々?それともいつも?
・遠くを見たとき?近くを見たとき?
・眼鏡をかけている?
・外で片目つぶりがある?
・目が外にずれているとき、物が一つに見えるのか、二つに見えるのか
など、現在の斜視の状態を聞かれます。今後の治療方針を決めていく上でとても大切な項目となってきます。
間歇性外斜視になっているのが子どもさんの場合、治療は早ければ早いほど、今後の両眼視機能の向上に治療効果が発揮されます。
※急に発症した場合などは、脳の疾患が隠れていることもありますので頭の検査も必要になってきます。
斜視治療の最終目標は【目の位置をまっすぐに向かせ、両眼視機能を高めていく】というところになってきます。
ではどのような検査をして、どのような結果が出たら、どのような治療を選択していくかを見ていきましょう。
1.屈折検査・視力検査
屈折検査で近視、遠視、乱視を調べ、それを基に視力検査をします。視力が1.0出ない場合は弱視となりますので、眼鏡をしっかりかけるという弱視治療も大切な要素になってきます。そして間歇性外斜視の場合、きちんと合った眼鏡をかけていなければ、物がぼんやりと見え、ますます目が外にずれやすくなってしまいます。どちらにしろ、きちんと合った眼鏡をかけるというのは治療の第一段階となってきます。
2.眼位検査
眼の位置をチェックします。内側に寄っている内斜視なのか、外側にずれている外斜視なのか、時々なのか、いつもなのか、右目左目交代で物を見ることが出来るか、それとも右目(左目)ばかりが外にずれるのか、遠くを見たときだけか、近くを見たときだけかを調べます。
また、眼が外にずれているとき、物が一つに見えるのか二つに見えるのかも確認します。物が一つに見えているとき、脳が勝手にずれている方の眼の像を消しているのです。これを抑制がかかっていると言います。
そして眼のずれの性質が分かったら、どのぐらいのずれがあるのかをプリズムバーという光を曲げるバーを眼の前に当ててずれの角度を測っていきます。
このとき私の施設では、間歇性外斜視の場合、25△(プリズム)というずれの角度を基準に、手術を選択するのかトレーニングを選択するのかを決めます。一般的に25△以上で手術を選択する人が多いです。
3.眼球運動検査
左右上下斜めに視標を動かし、眼で追いかけてもらい眼の動きを見ます。左右を見たときに内側を見たほうの目が斜め上に上がっていないか、上を見たとき下を見た時でずれの角度に差はないか、どこかの方向を見たときに動きに制限はないかなどを見ていきます。
4.両眼視機能検査
両眼視機能の働きとして、
・同時視 (両方の目で物を同時に見る力)
・融像 (両方の目で見た物を重ね合わせる力)
・立体視 (重ね合わせたものを立体的に見る力)
同時視→融像→立体視の順に、高度な両眼視機能となっています。
以上1~4の検査結果をドクターに提出し、ドクターの診察に入ります。
5.診察
診察室では目の中に疾患がないかをしっかりと隅々まで見てもらいます。
疾患がないことが確認されたら、斜視の治療に専念できるというわけです。
【間歇性外斜視の治療】
・眼鏡が必要ならかけましょう
・角度が大きくなく、たまにずれるぐらいなら経過観察しましょう
・角度は大きくないけど、ずれていることが多いならトレーニングをしていきましょう ※トレーニングについては別記事に書きますね。
・角度が大きく、ずれていることが多いなら手術を検討しましょう
・物が二つ見えて困るというときは、プリズム眼鏡(光を曲げて物を重ね合わせるレンズ)を装用するか、25△以下の場合は融像幅増強トレーニング(二つの物を重ね合わせるトレーニング)を選択肢に入れましょう。
以上どのような場合でも、共通の最終目標として眼の位置をまっすぐに向け、両眼視機能を高めていくということになります。