ショートショート【クリスマスの夜】

「いいよ〜華、目開けて!」


優しくて大きな手につられて歩いていた私はその一言でゆっくりと目を開けた。
すると見たこともないくらい大きなツリーと、視界いっぱいに広がるイルミネーションが飛び込んできた。

輝いているところ以外何も見えないくらいにそれは美しかった。


呆気にとられている私に低い声で彼が何か言っている。
どうやらこの景色を私に早く見せたかったようだ。

暖かい格好をしていたつもりだったが少しひんやりしてきた私の手を再びとった彼と、気づいたら見慣れたレストランでディナーを待っていた。

目の前で料理をしているシェフ。
さっきのツリーも見えるここは特等席だ。

ほっぺが落ちるほど美味しい料理に加えてケーキまででてきた。これこそ完璧なフルコース。


毎年この日にはとても素敵な思い出ができる。
そして私は期待を込めて2人に尋ねるんだ。











「パパッママッ、サンタさん来てくれるかな??」



「明日の朝にはこのツリーの下にプレゼント置いてくれてるよ」
「じゃあもう寝よっか、華ちゃん」




大大大満足な私に優しく微笑みかける2人を見ていると後ろのイルミネーションがなんだか霞んで映った。

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