本で「薄底シューズ」で「フォアフット着地」ならケガしにくいと信じた私
今回は、初めて本格的なランニングシューズを買った時のお話。
さかのぼること7年前。糖尿病を改善させるための運動習慣づくりとしてランニングを始めた私。
とりあえずはスポーツショップでランニングシューズを買い、家にあったジャージを着て家の周りを走るようにしていました。
この時に買ったシューズは Nike ということは覚えていますが、型は忘れてしまいました。靴底が柔らかく、グニョグニョした感覚があったことだけは覚えています。
『42.195 km の科学』という本を読んで「フォアフット」が良いと知る
走ることに対する知識をつけようと思い、書店で目にしたのが『42.195kmの科学 —マラソン「つま先着地」vs「かかと着地」』という本。
2012年7月16日に放送されたNHKスペシャル「ミラクルボディー」の第3回『マラソン最強軍団』で取り上げられた、東アフリカのランナーたちのマラソンの強さの秘密を明らかにするという内容が本になったものです。
アメリカ・ミネソタ州にある全米屈指の病院・メイヨー・クリニックのマイケル・ジョイナー博士は、マラソンの記録を左右する要因は主に以下の3つがあるとマラソンを左右する要因と書かれていました。
1.最大酸素摂取量(VO2max)
2.乳酸性作業閾値(乳酸閾値)(LT:Lactate Threshold)
3.ランニング・エコノミー
「最大酸素摂取量(VO2max)」は、走っている時に体内に酸素を取り込んで消費できる量の最大値のことで、最大酸素摂取量が大きいほど、走りながら多くの酸素を体内に取り込めるので、より速く走れるようになります。
「乳酸性作業閾値(乳酸閾値)」は血中の乳酸濃度が急に上がり始める地点のことで、値が高いほど、速いペースをより長く維持して走ることができます。
ランニング・エコノミーとは、走っている時にいかにエネルギーを使わず、効率的に走ることができるのかという考え方です。
この走り方について、取り上げられていたのが「着地の仕方」。
一般的に多い「かかと着地」より「つま先着地」(フォアフット)の方が着地時の脚への衝撃が少ないので披露が蓄積しにくい。また、ブレーキ作用もかかりにくいので、走る時の効率が良いと紹介されていました。
今でこそ多くの方に知られるようになった「フォアフット着地」について、この頃はまだ情報が少なかったこともあり、素直に「なるほどねぇ」と受け止めました。
『BORN TO RUN』を読んで「薄底シューズ」が良いと知る
『42.195km の科学』の次に読んだのが『BORN TO RUN』。ランナーの間ではとても有名なベストセラーの一冊です。
ランニング初心者の私はまったく知らず、ただ Amazon がおすすめ書籍として紹介してきて、読者評価も高かったのがきっかけです。
なにより、本の紹介文にこう書かれていたことに惹かれました。
この冒険は、たったひとつの疑問からはじまった。
「どうして私の足は走ると痛むのか?」
著者のクリストファー・マクドゥーガルさんはランニングをしながら常にケガに悩まされていたことから疑問をいだき、調査を開始。その謎を突き止めていった内容が本となり、大ベストセラーとなっています。
特に印象的だったのが「ベアフットラン」。裸足のように薄い底の靴で走ることが、逆にケガしにくくなっている、というのです。
それまでのランニングシューズはランナーの脚を守るために底が厚いのが当然で薄底はありえない、というものでした。
しかし厚底であるがゆえ、着地が乱れて脚に不要な負荷がかかったり、かかとから着地することで脚への衝撃が大きく、結果としてケガしやすくなっているというのです。
薄底であればかかとから着地して脚を痛めないよう、自然とフォアフットやミッドフットで着地をするようになり、脚が地面を捉えて走るようになるため、自然な走りが身につく、というものでした。
今思えば「アスファルトで舗装されていない土の道や、山道だから通じることじゃないの?」という疑問も浮かぶのですが、当時何も知らない私は純粋に「靴底が薄いシューズなら自然とフォアフットになって、走ってもケガしにくいんだ」と信じてしまいました。
私が買った最初の本格的ランニングシューズ
『42.195kmの科学』で東アフリカの選手たちが強いのは「フォアフット着地」だからと信じ込み、『BORN TO RUN』で走ってもケガしにくいのは、裸足のように靴底が薄い「ベアフットシューズ」だからと信じ込んだ私。
そして、本格的にランニングを始めるにあたって買ったシューズは...
『ビブラムファイブフィンガーズ』でした。
『BORN TO RUN』を読んでベアフットシューズに引き込まれた多くのランナーと同じ道を初心者の私が歩んだわけです。
靴底はペラペラのゴムのように薄いシューズ。履いて歩くだけでアスファルトの硬い地面の感覚が伝わってくるため、絶対にかかと着地なんてできません。
今なら「かえって足を痛めるかも」、「ふくらはぎやアキレス腱へのダメージが大きい」、「薄底といっても他にもある」とアドバイスしちゃいそうですが、何も知らないランニング初心者の私は、このビブラムファイブフィンガーズでランニングを本格的に開始しました。
結果として、自然とミッドフット着地が身につき、7年たった今でもランニングで大きなケガをしたことがないのは、『42.195kmの科学』と『BORN TO RUN』、そしてビブラムファイブフィンガーズのおかげなのかもしれません。
かくしてランニングを開始した私。
しかし、ただ走るだけでは長続きしないだろうとも思っていました。
そこで私はランニングをする上での目標を設定することにしました。
次回は「初めてのハーフマラソン大会」について。