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56 自分の絵に個性を見つける方法
20代の頃、絵を描いてよく悩むことがありました。
それは「自分の個性、絵柄がない」ということ。
どれが自分の個性、絵柄かわからなかったのですが、
今なら昔の自分に言えることがあります。
それは3つ。
沢山描いているか
決めているか
必要性があるか
絵柄 というものを感じるためには、途方もないほどの描く量が必要だと思っています。それは10000~20000と描いてようやくなにか偏りが見えてくるようなイメージです。
例えば、模写などをしていても100%真似ることはできません。
なにかしらその人の好みや癖が滲み出るものです。それは技術以外のもので。
例えば目に特徴が出たり、下半身が大きくなる、手がやたら繊細など。
自分の好み、または避けたいものが表面に出てきます。
描きたいモチベーションの元みたいなものが残滓として出る、川から砂金を掬い取るように、数をこなしてその小さな粒を知覚していく感じです。
知覚したら「これでいく」と決める必要があります。
描き慣れている人は 勝手にこうなったという方もいると思いますが、それは数をこなした結果なのではと推測しています。
私は物量が足りずそうではありませんでした。
継続をすることで「これはどこかで決めないと自分の絵の方向性は固まらない」と思うようになりました。
そして「必要性もないと固まらない」とも思いました。
イラストが商品、看板となる時には「私はこんなのを描いている人ですよ」とアピールする必要があります。
「この作家、女性メチャクチャかわいく描く」とか「料理描かせたらこの人ピカイチだ」というように特化させる必要があるのだと考えるのです。
食べ物に例えると「味噌ラーメンを食べていたら途中から味がカレーに変わっていた」というのは一見面白そうに見えますが「ほしいものが途中から変わってしまった」と大半のユーザーが思うのではないでしょうか、そんな感覚です。
ユーザーは満足する味噌ラーメンが食べたかったはずなのです。
漫画家だって、何年も連載して変わっていくなら話は別ですが、毎ページ毎ページ主人公の顔が変わっていたら読者もストーリーに集中できずに離れてしまうと思います。
自分の癖を知覚し、何を残していくかを決める。そして、絵柄を固定化する必要があるからそれを描き続ける。
私は、これが個性だと思っています。