はじめてのぎっくり腰

はい。そうです。ぎっくり腰です。

自分には関係のない事だと思っておりましたし、「ぎっくり腰?ちょっとひょうきんな名前だね、可愛い。ぎっくり?ウフフ」位の認識でしたからね。

しかしそれは突然にやってきました。

夜にお風呂に入らなかったもんだから、朝、娘の暖さんをお風呂に入れようと。

シャワーで身体洗ってあげて、自分も洗って、じゃあ湯船漬かりましょうねえ、なんて抱っこして暖さんを湯船にそっと入れて、よしよし、可愛いねえと背中を伸ばした瞬間。

!!!!!!!!!

うぐぐ!

ぐ!

あれ?!

いたたたたたたたたた!!!!!いたーーーー!!!!!い!

と北斗の拳もびっくりのギックリのびっくりな声が出るとともに、そのまま湯船に崩れ落ちるアタシ。

あ!なんだこれは!

いてて!

体勢を!


うがー!!いてててててててててて!あたー!

北斗百烈拳です。

日頃、北斗の拳のケンシロウの神谷さんや小西さんは、あの、あたたたたを噛まずに言えるなあと思っていましたし、いくら練習しても舌が回らなくて全然言えなかったのですが。

言えた!オレ、はっきりと言えたよ!母さん!

なんて感動してる場合じゃない。


うぐーーー!

ダメだ!

暖さんは心配そうに見つめる!

「ひなちゃん!ちょっと佳代ちゃん呼んでー!!」

と妻にSOS。


妻飛んできた。


とりあえず暖さんをお風呂からあげてもらって、俺、ロダンの考える人のような状態から動けません。アートです。

あの、公園とかによくいる、じっと動かないパフォーマンスの人みたいに固まってます。

あ、もちろん全裸ですよ、みなさん。

ギリシャ彫刻ですね。だらしないギリシャ彫刻。

ダメなテルマエロマエです。


だめだこりゃ。

ドリフの銭湯のコントの最後でいかりや長助さんが言った一言と寸分違わない様相でこのセリフが出ました。

「とりあえず、動かないでね!」

とお風呂のドアを閉めたのですが、その閉塞感からなのかパニック状態からなのか、呼吸がおかしくなってきました。

ヤバイ。

そして視野が狭くなってくるのを感じる。

だんだん、ギューっと視界の円が小さくなって来る。

今度は息が出来なくなってきた。


ああ

渾身の力で、お風呂のドアを開ける。

うぐぐー!うぐー!

新鮮な空気を。

なんとかドアが開いた。ああ、スーッとしてきた。


しばらく様子をみました。


ダメだ。全然痛い。



こりゃ、病院に行かなきゃ仕方がないという事で、一生涯で1番の集中力で10分かけてなんとかジャージを着ました。ギャーギャー言いながら、かつモゾモゾと。這いつくばりながら。世紀の大マジック、水中大脱出みたいな感じです。



色々あって病院。



ああ、こんな時期に、よりによってこんな感じの事で病院にご迷惑をお掛けして恐縮です。申し訳ありません。


脂汗をかきながらなんとかレントゲンを撮る。

「はいはい、大丈夫よー、ゆっくりねー、はいはい」


なんか、赤ちゃん返りした気持ち。


ああ、ごめんなさい。世界。

おそらくホロホロと泣いていたでしょう。


先生「いわゆるまあぎっくり腰という事なんですけどね」

さてwiki先生。


そういう事ですね。

「魔女の一撃」というらしいです。

もうRPGの魔法です。

「くらえ!究極魔法!魔女の一撃!」

です。くらいました。魔女の一撃とはよく言ったものです。


本当、一撃くらった。

ギックリ腰、びっくり腰とも言うんですね。

そうだよ、これはギックリだよ。ギックリ。

よくこの音の表現考えたよなあ。誰だろう。このネーミングセンス。確かにギックリだ。確かに「ギックリ」と音が鳴った。凄い。ギックリ。


先生「治療としては、まずは痛み止めの強力なやつを試しましょう。でそれがダメなら背骨に注射。でそれでもダメなら入院ですね。」

ああ、なんてことだ。すみません、ホント。


先生「とりあえず、痛み止め試そうか。」

川本「はい、すみません…」

先生「座薬ね。」


ざざざ、座薬…


うう。情けない。


と、ドタバタと病院さまにご迷惑をお掛けしましてなんとか帰宅。


はあー。安静に。じっくりと治します。


みなさま。

ぎっくり腰、半端じゃないです。

可愛い名前だからといって侮れません。

俺はもう、これからは正式に

「魔女の一撃」と呼ぶ事にします。

ベホイミじゃあ治りません。























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