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【無料記事】基本書・演習書四天王(三大天)
こんにちはルナです🌙
司法試験に無事2桁合格できたわけですが、先日Twitterにて、ロー前期及び司法試験において自分にとっての四天王(たまに三大天)だった教材を列挙したところ、11月20日22:42現在で351いいね29リツイート413ブックマークのプチバズとなっています。
個人的レビューは前期雑感を見てねとしていたのですが、よく考えたら前期に授業がなかった科目のレビューは欠けていますし、司法試験の成績が出たことにより情報に一定の「箔」がついたことを踏まえ、再度こちらにレビューをまとめることとしました。前期雑感のコピペもありますが教材レビューだけまとめた記事ということで存在意義を見出させてください。一点ご注意いただきたいのが、初学者向け・上級者向けとか関係なしに載せていることです。ご自身の勉強状況に合わせてご活用ください。
友人が10位台合格をし、同じように教材についてツイート、note執筆をしたところ私以上にバズっていて悔しいので(笑)みなさまどうぞよろろすお願いするます!
さて、ラインナップはこちらです(当該ツイートと同じ画像)
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ちなみに三大天はキングダムですね、はい。せっかく四天王やら三大天やらカッコいい感じにしているので各書の能力値を①読みやすさ②網羅性③書きやすさ④レベルの4項目5段階評価で表します(完全なる個人の見解)。
憲法
・憲法学読本
①読みやすさ3
②網羅性4
③書きやすさ4
④レベル4
憲法の基本書枠から選出されました。最近サークルの後輩たちのために基本憲法の演習問題の私的答案例を作成したので基本憲法も軽く読んでとてもいい本だと思ったのですが、やはり総論・基本権・統治が全て込み込みで400頁未満という脅威的な薄さと、薄いながらに網羅的で細かい学説にも言及されているということで憲法学読本を愛用していました。
ただし憲法は本を読んでも書けるようにはならない科目の代表格なので基本書べったりは避けるべきです。
・憲法事例問題起案の基礎
①読みやすさ5
②網羅性2
③書きやすさ5
④レベル4
憲法の答案の書き方を岡大ローの先生方が教えてくださる神本です。独学の人は即買いしましょう。安いです。
わずか100頁ほどに(それゆえ基本知識の解説は全カットされています)あらゆる類型の答案の書き方が示されています。
直前期には同書を8頁に要約したドキュメントを日々見ていました。
・憲法判例の射程
①読みやすさ4
②網羅性4
③書きやすさ5
④レベル5
憲法の判例集として選出されました。あまりにも有名ですね。判例重視の傾向が続いているので同書の価値はますます高まるでしょう。他方で予備校だけで勉強してきた人にとってはここまで深く判例分析・学説の理解をしたことが少なく骨が折れるかもしれません。ちなみに今期憲法の授業がありますが親和性は非常に高いです。各章末のまとめ部分がとても良くできているので図書館でそこだけコピーするというやり方もあると思います。
頭から読むというよりは気になるテーマをつまみ食いがおすすめです。
・判例から考える憲法
①読みやすさ4
②網羅性3
③書きやすさ4
④レベル5
一昔前に天下を取っていたらしい演習書です。3者間形式の演習本で、解答例はありませんが、詳細な解説と最後に当事者の主張まとめという実質的答案構成が付いています。解答例をどうにか入手すると勉強効率が爆上がりします。
判例重視の傾向・3者間形式復帰傾向により本書の有用性が増していますが、法学書院さんがなくなってしまったので絶版・入手困難となっています。
その名の通り「判例から考える」ので、予備校的三段階審査及び概ね3種類の審査基準で片付けるというやり方とは違います。しかし目から鱗の判例の使い方が満載ですし、去年の予備憲法も今年の司法憲法も私は点数がかなり良かったのですが両方とも本書で扱ったテーマなんですよね〜。
3者間形式の問題集として予備校本の合格思考憲法があり、前半に論証集がついているのでこちらも非常におすすめですが使い込み度の観点から判例から考える憲法を選出いたしました。
行政法
・基本行政法
①読みやすさ5
②網羅性4
③書きやすさ5
④レベル3
説明不要の大将軍教材として基本書枠から選出です。行政法の試験対策はこれ一冊でなんとかなるレベルです。ただし、最初から個別法を読ませてくる、定義や概念の説明が薄いなど、本当の初学者向けではないので入門書等を読んでから用いると良いと思います。1冊で全範囲扱っている弊害として、理論的説明や学説紹介は薄めです。判例分析の薄さは後述の姉妹本が補っているのでノープロブレムです。
・基本行政法判例演習
①読みやすさ5
②網羅性3
③書きやすさ5
④レベル4
新たな傑物です。判例集枠で選出です。重要判例のガイドブック・演習書・論証集を兼ねたようなヤバすぎる本です。国定教科書なので即買いしましょう。前期の授業との親和性も非常に高かったです。
判例解説の後に関連問題とその解説があるのですが、これが判例の射程を問う演習書で、判例重視傾向にある司法試験行政法対策になります。
・ファーストステップ演習行政法
①読みやすさ5
②網羅性4
③書きやすさ4
④レベル3
演習書枠で選出しましたがおそらく京大生以外ほぼ知らないと思います。著者が学部の授業を担当者で、その先生は復習課題という形で毎授業簡単な事例演習をやってくださっていたのですがその書籍化です。初学者でも使える難易度の問題集でありながら個別法も読ませる形になっていて、行政法という科目の基礎力向上になります。
・行政法解釈の技法
①読みやすさ4
②網羅性3
③書きやすさ5
④レベル4
予備論文過去問の解説本として有名です。本書の前半部分は試験頻出テーマの解説があり、書き方がわかるようになっています。少なくとも予備組は読んでいない人がいないレベルに普及してきているので差をつけられないためにも読んでおくと良いと思います。予備過去問がいい練習問題なので予備組ではなくても演習書として使えます。
民法
・ストゥディアシリーズ
①読みやすさ5
②網羅性4
③書きやすさ5
④レベル1+α
神を超えた国定教科書として必須です。京大は民法のイメージがあると思いますが、ローの民法総合の授業を設計された山本先生ご本人が監修されている入門書で、授業との親和性が異次元です。
初学者でもスラスラ読める口調、言葉選び、豊富な具体例を用いた説明でありながら、要件事実(京大生は要件事実で答案を書きます)に最大限の配慮がなされており、民法のコアとなる概念を徹底的に叩き込まれます。その結果、難問に対してもコアから考えることができるようになるという応用力まで身に付きます。素晴らしいです。かなり慎重な記述であるため、ローの授業で出てくる細かい学説への配慮が助詞等に表れていることもあり、到達レベルは高いです。冊数は多いものの読みやすすぎるので負担にはなりませんし安いです。京大ローに入学予定の方は入学前に通読してください。
時折受験通説とは異なる学説上の通説・多数説で書かれており全く未知の概念に出くわす人もいるかもしれません(不法行為・不当利得など)。そこはご自身の判断で。
・Mullerさんのまとめノート(https://note.com/muller727/n/n4f480918710a)
①読みやすさ4
②網羅性5
③書きやすさ5
④レベル4
無料ではいけないクオリティです。京大出身の方が作成されているのでストゥディアとの親和性は高いですが受験通説とは異なるところも多々あります。司法試験までずっと使えるまとめノートです。驚異的網羅性・正確さ・書きやすさを兼ね備えています。
・大島本(上巻)
①読みやすさ5
②網羅性3
③書きやすさ3
④レベル3
最近大島本が改訂されすぎて私の持っている上巻が今の何に相当するかよくわかりませんが、要件事実の本です。
最近の予備試験・司法試験では明らかに要件事実的発想を要求してきており、京大生や予備組は有利なのですがしっかり勉強したことがない人は本書を一読くらいしておくと安心だと思います。京大ロー入学予定者は絶対に入学前に数回読んでおいてください(民法の初回の授業から面食らいかねません)。
口述試験前には数時間で1周できるほど暗記しました。なので正直思い出枠の選出であることは否めません、、、。
・京大ロー民法総合(民法総合・事例演習)
①読みやすさ1
②網羅性3
③書きやすさ1
④レベル10
民法版事例演習教材ですが他大生は買っても解説が1ミリもない上に司法試験より数段難しい問題集なので使えません。
京大ロー生はこれと日々格闘しています。
商法
・紅白本
①読みやすさ4
②網羅性5
③書きやすさ4
④レベル4
会社法の基本書枠で選出です。会社法の基本書といえば、LQ、紅白本、田中会社法が有名ですが、そのうち1番噛み砕いた説明が特徴なのが本書です。会社法版基本刑法なんて言われています。具体例が多く日本語も読みやすい上に司法試験対策が意識されています。注意点は、会社法総則部分が省略されているので、商法総則の教科書を別途用意する必要があることです。
・会社法判例の読み方
①読みやすさ4
②網羅性3
③書きやすさ3
④レベル4
会社法の判例集枠で選出です。重要判例について、基礎知識、背景、関連判例、学説等からなる解説が付されています。授業で当たりそうなところや気になるところをつまみ食いしていました。
・京大ロー商法総合(会社法事例演習教材)
①読みやすさ3
②網羅性5
③書きやすさ3
④レベル5+α
会社法事例演習教材は巷でも有名でユーザーも多いですね。京大本と言われる通り、ヘイローの教材です。前期で第一部、後期(現在)第二部をやっています。
Qがある分、民法事例演習教材よりはマシですが解説はほぼないに等しいので解説を手に入れられない場合は手を出さないが吉です。
余談ですが最近の予備・司法は第二部からの出題が相次いでいる模様です。
民訴
・長谷部民訴
①読みやすさ4
②網羅性4
③書きやすさ4
④レベル4
民訴の基本書枠で選出です。LQが有名ですが分厚いかつ難解で、本書は薄く比較的読みやすいです。この薄さで充実度が高く、判例掲載も網羅的で、学者名が記載してありどの説を取ろうか考える時の参考になり、本文は穏当な記述で流してあり、定義は太文字で書いてあるという素晴らしい本です。当然ストゥディア様には読みやすさは負けますし、文末がピリオドで慣れるまで見にくいですが、それを差し引いても傑作だと思います。ストゥディアを2周ほど読み本書に移行・心中するのがベストだと考えています。
・ロジカル演習民事訴訟法
①読みやすさ4
②網羅性4
③書きやすさ5
④レベル4
民訴界最強の演習書です。試験委員経験のある先生が書いておられます。基本的な問題なので難易度はそこまで高くないですが(しかし若干の「ひねり」がなされており、これがまあまあ前に出た本なのに最近の予備・司法で的中しまくっています)、出題趣旨に相当するパート、解説(ソクラテス形式)、なんと解答例がついています。典型・重要問題を深く正しく理解し論述できるようになります。苦手意識を消しとばしてくれました。
「民訴は大嫌いだけど長谷部民訴とロジカル民訴は好きなんだわ」と周りによく言っていました。
・最新重要判例250民事訴訟法
①読みやすさ4
②網羅性5
③書きやすさ3
④レベル4
民訴の判例集としてランクインです。つまみ食いしかしていませんが、網羅性と読みやすさ(と解説の短さ)が良いです。
刑法
・徹底チェック刑法
①読みやすさ5
②網羅性5
③書きやすさ5
④レベル4+α
熱烈に推しすぎてとうとう著者の先生に見つかりました。国定教科書です。現三大天の李牧なんかよりずっとすごいです。
端的にいうと、新進気鋭の学者が本気を出して作った論証集兼演習本です。素晴らしいですね。総論各論の論文試験に必要な知識がわずか300頁ほどにまとまっています。しかも事例問題形式で。摩訶不思議です。
答案に必要な構成要件の定義・規範が明記されているのはもちろん、学説問題に対応可能な程度に反対説や基本刑法ではあまり対応できない近時の議論などがフォローされています。実践的なので基本刑法の要約というよりは応用刑法の要約に近いのではと思います。また、各章ごとに章末にまとめ欄があり、結局何を最低限理解すればいいかが一目でわかります。事例演習本でもあるため、当てはめまで学べます。凝縮されているので「一文字一文字に魂が込められている」ので最初の通読は意外と疲れますが、それ以降は高速復習教材として最後の最後まで重宝することになるはずです。
自習室を見渡すと結構ユーザーが多いと思うのですが、なぜかTwitterや予備界隈ではあまり知られていません。中華統一するポテンシャルは絶対にあるのでいずれ有名になるのではないでしょうか。即買い不可避です。
予備試験後に刑法が苦手だと自称する友人から相談を受けたので本書を買わせたのですが、その後TKC模試刑法5位、司法試験総合10位台合格しているので私より刑法が得意になられてしまいました。
・基本刑法各論
①読みやすさ5
②網羅性5
③書きやすさ5
④レベル4
説明不要の大将軍です。口述前には大島本とともにこちらも無限周回暗記し数時間で1周できるようになりました。直前期の私の口癖「刑法は体が覚えとるからなんとかなるやろ」はこの無限周回で細胞が基本刑法各論を覚えていたためです。
・刑法事例演習(メソッド本)
①読みやすさ5
②網羅性3
③書きやすさ5
④レベル3
去年まで試験委員だった共犯の専門家の十河先生の本です。基本刑法の共著者でもあります。そのような先生の答案の書き方指南本というだけで必読です。将棋の格言のごとく、メソッドを用いで順序立てて分析していくのが特徴です。基本刑法を教科書として読んだら徹底チェック片手に本書にトライするのが王道になっていくのではと思います。
・刑法事例演習教材
①読みやすさ4
②網羅性4
③書きやすさ4
④レベル5
刑法版事例演習教材です。事例演習教材といえばここまで京大本でしたが刑法は京大本(授業教材)ではありません。演習書としてあまりにも有名なのでここで説明する必要はないと思います。
余談ですが最近の予備・司法では同書の最新版になって追加された最後の方の問題から出ていることが多いようですね。
刑訴
・基本刑事訴訟法論点理解編
①読みやすさ5
②網羅性4
③書きやすさ5
④レベル4+α
刑訴の基本書枠で選出です。LQを追い越しそうなシェア拡大を見せていますね。日本評論社さんの基本シリーズなので、わかりやすいことや設問つきで問題演習も兼ねていること、試験対策が意識されていることは当然です。手続理解編も、短答・口述でお世話になりました。
本書は簡単にいうと全国の法科大学院の学習指導要領的なものに即して書いてあるため、本書のマスターすなわちロースクールの授業内容マスターです。授業で出てくる細かい学説の要点もかなり出てきます(従って古江本がなくてもいい時代になってきています)。
天秤の図はコピーしてご自身の一元化教材に貼り付けましょう。
・ロースクール演習刑事訴訟法
①読みやすさ5
②網羅性4
③書きやすさ4
④レベル3
刑訴の演習書枠から。学部時代から愛用していますが、法学書院さんのものなので絶版・入手困難となっているのがとても悲しいです。どこかの出版社で転生できませんかね、、、
基本刑訴の設例に毛が生えた(≒学部期末試験・簡単な年の予備試験レベル)の問題が30問掲載されており、出題趣旨、論点の解説、本件への当てはめ、答案上の注意点から構成されています。答案例はありませんが、学者演習本の中ではかなり丁寧な解説で使いやすいです。正直本書に勝る刑訴の演習書はないと思っています。信じられないという方は図書館で見てみてください。
・事例でわかる伝聞法則
①読みやすさ5
②網羅性4
③書きやすさ5
④レベル3
伝聞が苦手すぎたので春休みに読みました。端的に説明するならば伝聞版基本刑法です。伝聞ノックの愛称の通り、伝聞の基礎理解をノック形式で得られます。論述はそのまま答案に反映できるものになっています。後半は司法試験の伝聞の問題の答案が載っています。
終わりに
以上で四天王・三大天の紹介を終わります。私はこれ以外にも学部時代にいろんな基本書等を読んでいるので決してこれだけで合格したわけではありませんが、特に合格に寄与したものを選抜しました。少しでも参考になれば幸いです🌙。
今回もモチベ維持の観点から(あと授業料引き落としが迫っているので)投げ銭方式を採用します。これを最初に生み出した友人は天才です。それではまた。
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