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乳児血管腫の治療、はじめました

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まるりには、生まれつき血管腫がある。

乳児血管腫とは赤あざの一種で、新生児期に多く見られる良性の腫瘍だ。まるりの血管腫は比較的目立たない所ではあるが、治療できる時期は産まれてから1歳になるまで。遅くとも10ヶ月までに始めないと効果が期待できない。

病院への相談当時まるりは3ヶ月。夫と共に色々考えた。薬には当然副作用があるし、血管腫の大きさは必ず治療が必須な程ではない。そもそも昔は小さいものは放っておくのが基本だったし、まだ予防接種も終わっていない小さな身体だ。
しかし今治療をしなかったとして、将来まるりがどう思うか。もし血管腫があることで悩んでしまったり悲しい思いをしたら、我々が手段があるのに選択しなかったことを後悔するに違いない。

コロナ禍の中、悩んだ末治療を始めることに決めた。

1 乳児血管腫とは

乳児血管腫、昔はいちご状血管腫という名前で呼ばれていた。血管があるところにはどこでも出る可能性があり、皮膚上だけでなく内臓にもできることがあるそうだが、頭や顔、首にできることが多いらしい。円や楕円の様な形で、大きさは数ミリから10cm以上の大きなものまで様々ある。新生児の100人に1〜2人位持っており、男児に比べて女児の方が3〜9倍多いらしい。

良性の腫瘍であるため、昔は命の危険がない場合は放っておいたものだが、2008年にフランスの医師が心臓の病気の薬が乳児血管腫にも有効であることを発見し、日本では2016年から乳児血管腫の適応で使用できるようになった。現在は積極的治療を推奨する病院もある。

血管腫は大きさの経過は個人差があるが、産まれてから1歳頃までに急激に大きくなり、その後は5〜7歳位までに少しずつ赤みが引いてきて、最終的には瘢痕(はんこん)と言われる痕が残る。とても長い付き合いだ。

乳児血管腫については、皮膚科の製薬会社マルホのサイトがわかりやすい。現在まるりが使っている薬もマルホのものだ。

乳児血管腫(いちご状血管腫)の治療 | 患者さん・一般の皆さま | マルホ株式会社乳児血管腫(いちご状血管腫)についてご紹介しております。マルホがお届けする乳児血管腫の情報サイト。www.maruho.co.jp

2 乳児血管腫の変化について

まるりが産まれてからすぐ、数ミリの赤い小さな傷のようなのを発見した。その時は、産まれる時に傷付いたか自分で引っ掻いたのかなと思っていた。
1ヶ月後、それは少し大きくなっていた。検診で乳児血管腫ですね、7歳位までに薄くなるので放っておいて大丈夫ですと言われた。
2ヶ月から3ヶ月にかけて血管腫はどんどん大きくなり、膨らみも出てきた。良性とはいえかなり心配になり、予防接種の時に小児科医に聞いたところ、経過次第では大学病院など大きな病院で治療できることを知った。心配だったので産まれてから1ヶ月ごとに血管腫の写真を撮っておいたが、これがよかった。経過がわかりやすくて判断しやすいとのことだった。
4ヶ月の時紹介状をもらい大学病院に行った。治療はすぐに開始できるとのことだったが、当時はコロナで緊急事態宣言が出ており、病院は最高レベルの厳戒態勢。1週間の入院で1日面会は30分、一人のみと言われた。私か夫かどちらか一人が30分......一回の授乳分位しかいられない上、7日も続くのだ。4ヶ月のまるりは親の顔もわかるし、喋るし、置いていかれると思うと激しく泣く。そんな状態で1週間も預ける訳にはいかない。また何よりそんなことしたら私がまた乳腺炎になるため、一旦コロナの様子を見ることにした。
5ヶ月に入り、緊急事態宣言も解除、徐々に街に人が増えた。病院の面会時間は1日1人3時間までとなっていたが、それでも少ないと悩んでいたところ、付き添い入院ならできそうだと知った。付き添い入院と言うと、親が子供と一緒に入院し、部屋は洗濯機もキッチンもベッドもなく狭いので不便でとても大変だと言う。それでも少ない面会時間とまるりと乳腺炎の事を考え、付き添い入院することにした。血管腫は5ヶ月目に入ってからは大きさはほとんど変わっていなかったが、4ヶ月の時より厚みが増したように感じていた。

3 乳児血管腫の治療法について

レーザー治療かヘマンジオルシロップ(プロプラノロール塩酸塩)の服用による治療が一般的だそうだ。血管腫が内臓にできて気道を塞いだり、眼球の近くにできて視力障害を引き起こしたりする重篤な時は、すぐに外科的治療を行うそうだが、命の危険性がないものはヘマンジオルシロップで血管腫を小さくし、最終的に気になる様であればレーザーで薄くするらしい。

まるりの血管腫は小さく命の危険性はないため、まずヘマンジオルシロップを服用することになった。

ヘマンジオルシロップは副作用に低血圧、低血糖があるため、服用する時は万が一副作用が出た時すぐ対処できるように24時間態勢で経過観察する必要がある。今回1週間入院になったのも、何か検査や治療をバンバンするのではなく、毎日薬の服用後に低血圧や低血糖になっていないか、身体にモニターを付けて細かく経過を観察する必要があったからだ。

入院中に問題なく服用できることが確認できたら、退院後は1歳まで毎日2回薬を服用する。その後退縮する過程は人それぞれで、定期的に通院して経過を見守るそうだ。

4 退院後の経過について

退院してから1か月弱経ったが、経過は良好だと思う。入院中から厚みが薄くなってきた様に感じ、深く黒っぽかった赤みも鮮やかな赤色に変わって確実に薄くなってきた。輪郭はくっきりだったものがぼんやりとしてきた。ここまで早く効果が出るとは思わなかったので、入院した甲斐があったと嬉しい。

まるりは入院中に血液検査やら血糖測定で足を押さえられて痛かったり怖い思いをしたのか、退院してから1、2日は寝ている時に突然ワッと泣くことがあったが、1週間もすると気にする様子もなく、今日も元気に自分の足を掴んでなめている。退院後は夫の顔も一瞬忘れかけていたが、今は入院のことを完全に忘れている様なので本当によかった。

あと半年間、血管腫がどんどん小さくなり、将来的に良い思い出話になることを願っている。

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