その腰痛、骨折かも!?~@介護現場~
皆さん、こんにちは(^^)
滋賀県にてリハビリデイサービス責任者/整骨院院長、2足のわらじで早10年の奥村と申します。
この記事では、
① ご利用者様・ご家族様に資すること
② この知識を得ていただくことで、あなたの信頼構築に資すること
をテーマに、私の経験談を交えたお話をさせていただきます。
少しでもお役に立てていただければ幸いです。
今回は、「腰椎圧迫骨折」についてです。
皆様は、高齢者の「腰が痛い」という訴えに毎日現場でどのくらい出会われているでしょうか?
もちろん高齢者にとって腰痛はつきものです。
姿勢や廃用から、実感的には9割近くほとんどの方がお持ちのようにも感じます。ちなみに私は毎日お聞きしています(^^;)
では、どのように応対されるでしょうか?
「シップを貼りましょう。」「温めましょう。」「リハビリ頑張りましょう。」「様子を見て、痛みが続くようであれば再度検討しましょう。」 など。
一歩踏み込んで、「腰への負担軽減の為に、環境設定を福祉用具さんやセラピストさんにお願いしましょう。」などでしょうか。
(ちなみに私共のデイサービスではベッドでの施術時間があるので、そこで専門職が対応しています。)
他業務にも迫られ、ただでさえ多忙なこのお仕事です。
その対応で十分とも言えると思います。
ただ、ここで注意すべき点は、
その陰に「腰椎圧迫骨折」が隠れていることが稀にあるということです。
もちろん、骨折なのでやはり相応に痛みます。ご自身・ご家族で受診され発覚することがほとんどです。
しかし中には、
「昨日から腰を痛がっていて(腰が痛くて)…でも同じようなことは何回かあったし。まあいつものこととは思うのですけれど。」と、ご家族・ご本人から相談を受け、よくよくお話を聞き、よくよく診てみると、「圧迫骨折」だった。何てことも。
私もこのようなケースで、何度か遭遇しました。
「いつもの事」で片付けてしまっていると…専門職としては冷や汗ですね。。
では、そもそも「腰椎圧迫骨折」とはどのようなものでしょうか。
腰椎圧迫骨折とは?
昨今では「いつの間にか骨折」とTVCMでも流れていました。多くの書籍・専門書、テレビなどでも扱われているので、ここでは詳細はそちらに譲ります。
概要を簡略にまとめると、
・転倒、特に尻もちをついた時に起きやすい。
・直接打った場所ではなく、衝撃が背骨に伝わり潰れるように骨折する。
・背中の真ん中辺り(胸腰椎移行部)、腰とお尻の境目辺り(第4・5腰椎)に多い。
そして、そのチェック法は、
① 背中の真ん中~お尻との境目まで背骨を背中側から押す
② 両肩に手を添えて、お尻の方向にギュっギュっと縦方向に押さえる
①と②で痛みが出て、場所が一致するようなら疑い濃厚。
以上のようになります。
現場での実際
「目の前で尻もち。その時から明らかに腰痛を訴えられている。」
このようなケースでは迷うことなく医療機関の受診となるでしょう。
しかし、このような目の前で起きるケースは稀かなと思います。
(目の前で起きれば、転倒事故ですね…報告書…汗)
前述の通り、大抵は痛みの為に受診され、発覚する場合がほとんどです。
しかし中には、我慢強い、痛みに鈍感、受診が大変(面倒くさい)などで、そのままにされている場合もあります。
お聞きしても、記憶があいまい。「イス(ベッド)に座っただけ」「ベッドからずり落ちただけ」など相応の外力があるにも関わらず転倒と認識されていないこともしばしば。
私の経験談では、あきらかに症状はあるのに原因がなく。聞いて、聞いて、「んー、そういえばみかんのカゴを持ち上げたわ。」ということがありました。農業一筋60年の曲がったお腰。中々の剪断力だったのでしょう。
業務は待ってくれない!そこまでじっくりと話を聞いている時間はそこまでない!という方。
前述のチェック法が有効です。
ご本人・ご家族から相談を受けられた時、迷うことは多いと思います。
様子を見ていいのか…受診をおすすめすべきなのか…でもそもそも腰痛持ちの方だし…経過観察して痛みが続くようなら受診…
迷ったら、まずはチェック法を実践してみて下さい。
もちろん100%ではないかもしれませんが、スピーディな判断の一助になるはずです。
早く見つかったからと言って、早く治る訳ではありません。
しかし、大事なのは見逃さないこと。ずるずる先延ばしにしないこと。
コルセットや服薬での疼痛コントロール、環境の再設定など。早い段階でこれらを行うことで、疼痛等による廃用を防げます。そしてそれは、ご本人・ご家族の苦痛・負担軽減に繋がります。
訴えのアクションがあったら、まずチェックをしてみて、「お答え」する。
結果、見つけられれば御の字です。時には、それでも見逃したり、疑ったもののシロだったり。そのようなこともあるかもしれません。
しかし、この流さずに、「お答えする」があるかないかでは大きな差があるように感じます。
この積み重ねが、あなたの、施設の、「付加価値」を生みます。頼れるスタッフ・頼れる施設へと繋がっていくのではないでしょうか。
チェック法自体、複雑なことではありません。経験豊富な皆さんが行うことで、大きな武器になるのではないでしょうか。
今後も介護現場におけるリハビリや外傷について、発信していきます。
今後ともよろしくお願いいたしますm(__)m
最後までお読みいただきありがとうございました。