読書メモ メタバースとは何か
遅ればせながら、メタバースとは何か、学んでみた。そもそもSNSに全く興味がない身からすると、そもそもなぜSNSがこんなに隆盛なのか(フィルターバブルの居心地の良さ)、その先、つまり仮想現実に何があるのか、おぼろげながらに見えてきた気がする。著者の言うように、フィルターバブルという井戸に入ったカエルという立場を受け入れ、楽しくやっていく人は多そうだ。
・メタバースは現実の模倣ではなく、つらくつまらない現実から、いいところだけを抜き出した場所、すなわち、「自分に優しい世界」「都合の良い世界」を提供するサービスである。あたかも今日に満足していないから夜更かしをするように、人は、リアルに満足できないから仮想現実に潜るのだ。
・「自由と平等」は、本来は相いれない。自由を追求すれば格差が生じ、平等を実現するには制約と再配分が必要となりもはや自由でなくなる。現代は「自由」に重きを置いている。「もう一つの世界」では、リアルの格差はリセットされるものの、やはりそこももう一つの自由な世界であり、その世界に適した能力を持ち、発揮する者が得をする。メタバースであっても、満足度には大きな格差が生じることだろう。
・ネットは、資金と設備を擁するものが勝つ、重厚長大産業と化している。古くからの政治権力やしがらみから個人を解放したものの、より強固なテックジャイアントの新たな支配構造を生んだ。メタバースはそれを強化するだろう。
・SNSは友達とつながるサービスではなく、合わない人を切り捨てるサービスである。あつれきを生まない人だけを切り出し、快適な空間を作り出すことにこそ価値がある。
・正義は、結局は多数派の支持を得た者の手にある。ネットによる動員合戦に勝てるのは、より大きな声を、四六時中発信し続けて倦むことのない者に移行しつつある。そして、ネット言論やSNSのフィルターバブルが意見の同質性を強め、先鋭化させていく。
・技術革新が進めば、いずれ、AI/アバターが、「決して自分を否定しない最高の伴侶」となるかもしれない。
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