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一味くんと七味ちゃん

小学生の時に書いたお話のタイトルが、確かこれだったはず。
急に思い出した。
いつも隣に並ぶ一味と七味を見て思いついたお話。

もう原本は残っていないので
記憶を辿りつつ、書いてみようと思う。
10年前の私と今の私の合作をどうぞ。




一味くんと七味ちゃん

お隣同士になってからどれくらい経っただろう

「あなたの名前はナンバーワンの一ね」
「君の名前はラッキーセブンの七だ」

減るスピードが、違う。

「なんだか最近、あなたの減りが速くなっている気がするのだけれど、気のせいかしら」
「ああ、最近あの子が僕の素敵さに気づいたらしいんだ」

「それは素敵ね」
「さぁ、それはどうだろうな」

僕は君の隣にいたかった
あの子に嫌われたくて仕方がなかった

「最近、あの子は私の魅力にも気づいたみたいで嬉しいわ」
「負けちゃいられないな」

君がどんどん減っているのが目に見えてわかった
僕は焦っていた

ある朝目を覚ますと、僕の右にはぽつりとした空間だけが広がっていた。
ある瓶の形をした空気が存在していて、でもそれは目には見えなかった。
ああ、こうなるから
何かを好くことはこわいことで、何かを求めることはかなしみを生むのだった

「いっそ僕のほうが早く」

そうして過ごすなかで、減っていく自分自身にすら何も思わなくなった

「はじめまして」

新しい隣人は、若々しい声をしていた

「あなたはベテランさんなのね」
「君もいつかはそうなるさ」

僕の右では、いっぱいいっぱいの新米七味さんが目を輝かせている

「負けちゃいられないや」

もう少しだけ、君と君を思ってみよう
温かいものは、自分の中にまだあるはずだ
選ばれることを、誇れるように

暖房の効いたリビングからは、家族の香りがしていた。



わーーー、こんなかんじだったなぁ
めちゃめちゃ恥ずかしいけど、なんかすっきりした。上手く書けた気はしないけど、まあいいでしょう。
もともとは七味ちゃんがいなくなるところで終わるお話だったけど、付け加えてみたら案外ポジティブな雰囲気になった。
こんな夏に書く話じゃなかったかもしれないけど、冬にふと思い出せるように。ね。



💡今日のおすすめ曲
アポロドロス / Mrs. GREEN APPLE

今回のパリオリンピックのテーマソング。「静」と「動」の対比を意識して作られたらしい。たぶんすぐ聞いたらわかると思う。
10年前に大森さんがリオオリンピックをイメージして書いた「命に花」という曲があって、静かな部分にはその曲がそのまま使われている。一方で動くロックセクションは今の大森さんが書いたもの。そのどちらもが共存しつつも、散らかることなく聴けるのすごい。
切り取る箇所を変えれば、盛り上げたいときにも感動したいときにもハマる曲になるようにと、あの構成にしたらしい。よく考えるなぁ…

10年前つながりでこの曲にしてみた。


あ、ちなみに私は七味より一味のほうが好きです。なんかすみません。

おやすみなさい。

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