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麻酔薬であるアナペインの供給が不足しています

現在の医療現場で深刻な問題となっている麻酔薬の供給不足について、その影響と対応策をまとめました。この状況は、患者さんの治療や手術に大きな影響を与えており、医療機関は様々な工夫を凝らして対応しています。😷


アナペインの供給不足💉

アナペインという局所麻酔薬の出荷制限が、この問題の中心にあります。アナペインは、がんの手術や無痛分娩など、幅広い医療分野で使用される重要な薬剤です。製造元の問題により、2024年6月頃から出荷が制限され、8月にはほぼ停止状態となりました。この影響は全国の医療機関に及んでおり、再開の見通しが立っていない状況です。

引用元:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241002/k10014598441000.html

医療機関での対策🏥

  1. 代替薬の使用:他の麻酔薬で代替していますが、これらの薬剤も需要増加により入手が困難になっています。

  2. 使用量の最適化:薬剤師が毎朝、無菌状態で注射器に小分けするなど、無駄を減らす工夫をしています。

  3. 優先順位の設定:治療が必要な患者さんの優先順位を決めて、限られた薬剤を効果的に使用しています。

特に影響が大きいのは、がん治療産婦人科の分野です。がん研究センター中央病院では、アナペインの使用を臨床試験や大腸がんの手術に限定しています。しかし、このような努力を続けても、早ければ12月には在庫が底をつく可能性があるとのことです。産婦人科では、無痛分娩の制限を検討せざるを得ない状況に陥っています。アナペインは胎児への影響が少ないため、無痛分娩に広く使用されてきました。その代替薬も入手が難しくなっており、医療機関は対応に苦慮しています。

日本産科麻酔学会の呼びかけ👨‍⚕️

  1. 麻酔薬を使用する手術に優先順位をつける

  2. 無痛分娩の際、少量の鎮痛薬と組み合わせてアナペインを節約する

  3. 出産を控えた方に、不安にならずに待つよう呼びかける

この影響は歯医者にも・・・🦷

  1. アナペインの代替薬の問題
    歯科では現在、アナペインの代わりにキシロカインという局所麻酔薬を使用していますが、効果の持続時間に大きな差があります。アナペインの効果の持続時間が4~5時間に対して、キシロカインは2時間ほどで効果の持続時間は半分以下になってしまいます。

以下のような処置への影響が考えられます。

患者の不安:麻酔薬不足に関するニュースを聞いた患者さんから、不安の声が上がっています

代替策の模索:医療機関では、麻酔が切れた後の痛みに対して、痛み止めや点滴で補うなどの対策を取っています

長期的な影響の懸念:供給再開の見通しが立っていないため、今後の歯科治療のスケジュール調整や治療方針の変更を迫られる可能性があります。

この状況は歯科医療の質と患者さんの治療体験に直接影響を与える可能性があるため、歯科医療従事者にとって大きな課題となっています。早期の供給再開が望まれる一方で、代替策の検討や患者さんへの丁寧な説明が必要となっています

麻酔薬の代替について💉✨

キシロカイン:アナペインの代替として使用されていますが、効果持続時間が短いという課題があります

ポプスカイン:がん手術などでアナペインの代替として使用されていますが、こちらも供給が不足しています

エピネフリン非含有のキシロカイン:一部の処置で使用可能ですが、すべての手術や処置で代替できるわけではありません

院内製剤:キシロカイン注射液にエピネフリンを混ぜて使用する方法もありますが、これは緊急的な対応策です

テトラカイン塩酸塩:長時間作用性の局所麻酔薬ですが、神経毒性が強いため使用には注意が必要です

しかし、代替薬にはそれぞれ課題があります。

  • 効果の持続時間が異なる

  • 副作用のリスクが異なる

  • 心臓などへの負担が大きい場合がある

  • 供給不足が他の薬剤にも波及している

医療現場では、これらの代替薬を使用しながら、薬剤の無駄を減らすための工夫(1本の薬剤を2人の患者で使用するなど)や、痛み止めや点滴での補完を行っています。完全な代替は難しく、各医療機関や診療科で状況に応じた対応が求められています。早期のアナペイン供給再開が望まれる状況です。

アナペインは、私が看護師時代、急性期病棟でよく目にしていた薬剤でした。特に強い痛みを伴う手術や、痛みが不安な患者さんによく使用していた印象をもっています(あくまでもわたしの印象)。アナペインは患者さんの疼痛軽減に重大な影響をもたらしていました。術後の疼痛コントロールは、患者さんの不安の除去やせん妄のリスクを軽減するために大事なことです。そのアナペインが供給不足となると、わたしの病院ではフェンタニルの持続投与などがあげられますが、フェンタニルか医療用麻薬のため嘔気などの症状を訴える方が多いです。また麻薬の取り扱いに関しても厳重な注意が必要です。看護師時代は薬の供給不足について深く考えたことはなく、医療現場から離れた今、働ていた当時資源に恵まれていたと感じます。いち早くアナペインの供給が戻ることを祈っています。

まとめ

  • アナペインという重要な局所麻酔薬の供給不足が深刻な問題となっている

  • がん治療や無痛分娩など、幅広い医療分野に影響が出ている

  • 医療機関は代替薬の使用や使用量の最適化など、様々な対策を講じている

  • その影響は歯科領域にも影響を及ぼしている

ハッシュタグ

#アナペイン不足 #代替薬 #医療現場の対応 #対策 


参考文献

https://anesth.or.jp/files/pdf/local_anesthetic_20190418.pdf


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