続・さよなら夏の日
このホテルは、戦後GHQが所有していた施設を、
何年か経って民間に払い下げられたものらしい。
鉄道系大手が買い取り、海に臨む立地を生かし、
全室オーシャン・ビューの客室といくつものプールを備えた
リゾート・ホテルとして確固たる地位を築いた。
細部までの徹底したこだわり、
30名ほどのプール監視スタッフは皆水連の資格保有者、
体格も容姿も優れた精鋭たちの集団だった。
「顧問は、第一期のプール監視スタッフだったらしい…」
顧問の部屋から監視員控え室に戻ると、先輩は話し始めた。
日本選手権に出場するほどの水泳選手で、英語も堪能で、
当時外国人客も多かったこのホテルでは重宝された。
大学卒業後そのままホテルに就職し、順調に出世し役員まで務められたそうだ。
それこそ、あのガタイとルックス、
同性愛趣向のある政財界の重鎮たちからさまざまな寵愛を受けたそうだ。
プール監視スタッフの採用も、最終承認は顧問、
リーダーの承認も顧問。顧問がNGを出してリーダーを再考したことも、
何年か前はあったそうだ。
「リーダーになると、顧問に挨拶に行き、先ほどのような洗礼を受ける」
これも慣例だそうだ。いつからかはわからないが何十年も前からのようだ。
スタッフが強く拒否し裁判沙汰になったこともあるらしいが、顧問は無罪。
政財界への強いコネクション。勝ち目はない。
どうしても嫌な人間は、何らかの理由をつけてスタッフそのものを辞めて行ったそうだ。
「洗礼の回数は、人による。就任の挨拶のとき一回だけだった者も入れば、
後任の紹介時含め二回の者もいる。監視期間中定期的に呼び出され計13回、
それが最多らしい。顧問が忙しく出張が多い年はラッキーなようだ」
先輩は、先ほど含めて6回だそうだ。これが平均的な数らしい。
必ず競パンとか際どいビキニを身に付けさせられる。そうして弄ぶのが好きなようだ。
ケツは撫でられたり、舐められたり、指を入れられる程度だそうだ。
何でも顧問自体がウケなので、スタッフにそれ以上の行為は求めない。
顧問のケツへの挿入を求められることもないそうだ。
自分のメガネに叶った若者を弄び、
羞恥と恍惚に歪む姿を見るのが悦びらしい。
「どうだ。現実を知って、嫌になったか?」
先輩に訊ねられた。
「いや、まぁ、別に」
曖昧に僕は答えた。確かに気持ちは悪いけれど、小・中・高とそれなりのレベルで
水泳を続けて来て、男と男がどうこうという例もそれなりに身近にあった。
僕自身、競パンを穿いている姿を人目に晒すのは恥ずかしいけれど
正直嫌いではない。だからこういう仕事をしているんだと思う。
昔の小さくてヨレヨレの競パンを尻に食い込ませて穿いて、
その姿を鏡に映し、誰かに弄ばれる自分をイメージしてオナニーすることもある。
こんな状況を乗り越えなくては、カッコイイ大人になれない!
人間として次のステージに行けない!
先輩の話を聞いた後、こんなことを考えながら帰宅した。
RRRRRRRRR〜
家に着いてすぐ、電話が鳴り出す。
「もしもし」先輩からだった。
「顧問から、明日夜7時、今日と同じ部屋に来るように」とのこと。
明日は僕一人で、だそうだ。
胸の鼓動が早まる。緊張…それだけではない。
アソコは固く大きくなり、パンツに染みをつくる。