一を聞いて十を知る【巻二⑥】
本シリーズ巻二も、折り返して今日から後半である。
巻一では、「一を聞いて十を知る」の出典である『論語』を中心に孔子の教えを読み解き、最終的に「仁」についてまとめる形で終わった。
では、巻二の中心的なテーマは何か。
前半を振り返って、だいたいお分かりのことと思うが、女性の生き方がテーマになっている。
今回の舞台はフランスだが、ジャンヌ・ダルクとオランプ・ド・グージュに加えて、もう一人、注目したい人物を挙げておこう。
サザンオールスターズの歌や堀内孝雄の歌から、ジャンヌ・ダルクが出てきて、途中でフランス人権宣言からオランプ・ド・グージュが出てきた。
オランプ・ド・グージュと同時代に生きて、彼女と同じ年に、最期はギロチンにかけられて刑死したフランスの有名人をご存じだろうか。
フランスの歴史については、もうこれ以上の知識を吸収するのはしんどいという方もいるだろう。
そんな人のために、とっつきやすいきっかけを与えよう。
漫画の名作を知っている人ならお分かりのことと思うが、『ベルサイユのばら』の登場人物である。
ちょうどタイムリーな話題もあるので、下記サイトもご覧いただけると良いかと思う。
そう、3人目の女性は、マリー・アントワネットである。
すでに、1月31日に公開されているので、観たという人もいるだろう。
マリー・アントワネットは、1793年に37才の若さで亡くなったのだが、ルイ16世の王妃だった。
1789年にフランス人権宣言が発表されたことはすでに触れたが、この人権宣言が発表される数ヶ月前に、フランス革命が起こった。
ルイ16世は、当時の絶対王政の時代の最後の君主であり、絶対王政の終焉と共和政の開始という2つの時代のはざまで、ギロチンによる斬首刑で亡くなった。
マリー・アントワネットも、ルイ16世の処刑の9ヶ月後に刑死した。
女性の権利のために命を賭して戦ったオランプ・ド・グージュは11月3日、マリー・アントワネットは10月16日に刑死したので、2人の死期は2週間ほどしか差がなかった。
実は、オランプ・ド・グージュは、ルイ16世の死刑に反対していた人である。
『ベルサイユのばら』といえば、どうしても宝塚歌劇団とかオスカルのほうのイメージが強くなりがちだが、オスカルは架空の人物であることを知っているだろうか。
実在したマリー・アントワネットについて、漫画の世界だけでなく、彼女の実際の人生にも触れることで理解を深めれば、もっと視野が広がり、おもしろさが倍増するだろう。
この続きは、明日である。