
銀河卵
なにかを始めようとしたとき
それまでの「わたし」が一つの銀河で
それだけで大きな「かたち」になっていたことに気づく
もういいじゃない
動きださなくても
完全じゃないかもしれないけれど
いままでやるだけやってきた
いままでのダメなところも
いろいろやってきたことも
そのどれもがひとつの銀河になって
もういいや
このままで
銀河はどんどん卵みたいに丸くなり
静かに閉じていく
そのなかでうとうとしかける
すべてが閉じようとする
その最後のすきまから
ひゅっと風が
吹いてきた
どこかへ行かなくちゃならない
すきまから飛び出し新しいハシゴに足をかける
暖かな銀河が怖い闇に変わる
すこしでもひるんだら足を取られるだろう
なにも見えない
でも何かが突き出てくる
暗い胸の奥から
ああ銀河が見えない心臓になってるんだ
だからそのままふわふわの足どりでそれでも今
行くんだ
ElementEyes11 2017/03 2019©Hosoki Rumiko
写真・文 Hosoki Rumiko