【木戸さんが1秒でブチ切れたのは何故?】
⚫︎続きを失礼します
乗り込んだエレベーター内で、高まる心臓の鼓動をおさえながら木戸さんにすぐ訊ねた。
「私だけ突っ立てるままですみませんでした😭数秒の間に何があったのですか」
すると、意外にも教えてくれなかった。さっきまで大男をぶちのめそうとした人とはまるで別人の様子で、私への配慮か全てをお話にならなかったのですよ。
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するとほどなくしてこう仰った
👩🏫「あの方はね、私がフランス語がわからないと思って…とんでもない人ですよ。ごめんなさいね留美子さん」
そのひと言で、だいたいの事が把握できました。
🇫🇷私と木戸さんは、フランスといってもパリではなくストラスブールにいた。だいたい地方のホテルに宿泊する人っていうのは観光客である確率が高いから(パリだとビジネスで滞在する人も多いからまた雰囲気が異なる)
☠️清掃員の大男は木戸さんを〝 おのぼり観光客でフランス語がわからない人 〟だと見たわけです。しかも、木戸さんは私と日本語で会話してたから、大男からすると断定的だったのでしょう
それでエレベーターに乗り込もうとした私達に、何故か配慮の欠けた汚いフランス言葉を吐いた…という事件です。
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さっきまで日本語で会話してた人が、淑女然として仏語で対抗してきたもんだから大男も、のぼせあがっちゃってみたいな事で
よりにもよって、木戸さんを的にしてしまったのは天罰だという他ない。
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✈️木戸さんはまだ学生の頃に〜日本の大学には行かなくていいから代わりにフランスに行かせてほしい〜 と親御様に何度も懇願し、泣いて引き留めようとするお母様をふりはらい、許しを得ないままご自分の力で渡仏した。
私とは30あまり歳が離れているから、木戸さんがフランスに行きたいと願った時代は、外国=怖いところ でしかなかったわけです。お母さんがご不安に思われるのも無理もないそんな時代を経ての今だから、相当な覚悟と誇りをもってフランスで生きてきた事は明確。
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💀木戸さんが〝クソ野郎〟って言い負かしたままドアを閉めたから、わたしは翌朝になりホテルのロビーに出るのが恐怖で仕方なかったのは言うまでもないです。
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